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勉強終わったあとにめっちゃ尊いものが見れた👀 ニヤけてしまう… 続き楽しみにしてる〜〜!
『タイミング』
Tg視点
校舎を出た瞬間から、先輩の横顔ばっかり見てしまう。
夕焼けの光が先輩の横顔を照らして、なんか、ずるいくらいカッコいい。
「……そんな見るなや」
「み、見てません……!」
「見てるやろ。耳、真っ赤やで?」
ぐいっと手首を掴まれて、指先が触れた瞬間、頭の中が一瞬真っ白になる。
鼓動が、変に大きい。歩幅まで合わなくなりそう。
「さっきの続き、言うてたよな?」
「……はい……」
返事、震えてるの自分でもわかる。
なんか……逃げ場ない。嬉しいのに、苦しい。
「ほんなら――」
先輩が急に立ち止まった。
俺もつられて止まる。
距離が近い。近すぎる。
夕方の風がちょっと冷たくて、でも先輩の手があったかい。
「ちぐ、おまえ……今日、俺のこと何回考えた?」
息、止まった。
「な、何回って……!」
「正直に言えや。嘘ついたら、すぐわかるからな」
にやっと笑いながら、俺の目を覗き込んでくる。
反則レベルに優しいのに、意地悪い。
「……たくさん……です」
「どれくらい?」
「……数えられないくらい……」
「はは。そんなん言われたら、俺どうすればええん」
そう言いながら、先輩の手がそっと俺の頬に触れた。
指が柔らかくて、あったかくて、震えが止まらない。
「……俺もな、きょう、ずっとタイミングうかがっとってん」
心臓がドクン、と跳ねる。
顔が熱くなる。
「タイミング?」
「おまえに、ちゃんと言いたいことあって」
先輩の声が、いつもより低くて、真剣で。
胸の奥がぎゅうっと縮む。
風の音すら止まったみたい。
先輩の視線が、俺だけに向いている。
「ちぐ。俺――」
その瞬間。
後ろから友達の笑い声が近づいてきて、空気が一気に破られた。
「やっべ、誰か来た……」
先輩も小さく舌打ちして、俺の手をぎゅっと握ったまま歩き出す。
言おうとしてた言葉が飲み込まれて、胸がじんじんと痛い。
でも――
歩きながら、先輩が小さく呟いた。
「……タイミング、また来るから。逃がさんで」
その声が、耳の奥にずっと残った。
(どうしよう……こんなん、期待してしまうやん……)
夕焼けの帰り道。
先輩の手はずっと離れなかった。
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