青side
雑談中、
「んあ~、」
俺の話を聞いている君。
「大変ねぇ、」
気怠そうに返事をする君をじっと見つめる。
「まぁ、がんば~って感じねぇ、」
適当な返事を返す君が好きで、
何もない日だったとしても、いつも下らない雑談をしていた。
「アイスおいしい。」
ゆっくりとアイスを頬張る君が愛おしくて。
「ふははっ、」
髪の毛を優しく耳にかける、
そんな他愛ない君が好きで。
襲われたいとか。
思ってないよ?
…本当はちょっと思ったりしてる。
でも君がこちらの好意に気が付いたりする、そんな様子は全くない。
「あ、それなぁ…、」
今日も、
明日も。
こんな幸せな日常が続いていくんだろうと、
そう思っていた。
幸せって薄っぺらいものでしかなくて、
それが少しでも破けた瞬間、
少しでも不幸という棘が刺さってしまった瞬間に、
その幸せは壊れていく。
傷や穴はどんどん広がっていき、
どんどん幸せを蝕む。
それに気が付けなかった。
それに気が付けなかったから、
だからこんなことになってるんでしょ。
不幸の始まりは小さな棘で、
「いふさ~ん、」
君との雑談中に邪魔が入って。
「少し来てもらえますか~?」
その棘は、お手伝いさんの言葉だった。
「ごめんないこ、」
「ちょっと席外すね?」
「あ~い、」
にこやかに返事をする君。
それを尻目に声の主への方へと向かった。
それが運の尽きだった。
元気な君を見られたのは、
それで最後だった。
「…そんで、何?お父さん。」
呼び出しは父からだった。
「なんか暇そうだったから、農業の勉強でもして来い。」
「…は?」
暇じゃないんですけど。
「それからあのないこ…とか言ったか?」
「あの桃髪と関わるなと前にも言ったはずだが。」
うっせぇ黙れジジイ。
「あんな低級な輩と絡んでもお前にいいことなんか一つもない。」
「格下に同情する気持ちは分かるが、止めろ。」
「黙れよ、クソ死ねよ。」
気が付くと口から言葉が出ていた。
「ないこを低級とか言うな。」
「…なにが良いんだか…、」
父は呆れたように頭をかきながら部屋へ戻った。
「ふぅっ、」
怒りで少し息切れをしていた。
「ふっっ、」
完璧に息を整え、ないこのいる部屋へと戻った
「ないこぉ、戻ったよ。」
ドアを開き声をかけるも返事はなく、
不信感を覚え覗き込んでみると、
そこにはないこの姿はなかった。
ただ、そこには、
ないこが食べていたはずのアイスが落ちていた。
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