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「ねぇねぇこの後さーカラオケ行こうよ!」
「いいぜ!なんなら女子も誘ってく?」
「それいいね!ぜったい楽しいじゃん!」
今日の授業が終わり、クラスの男子2人が僕の机の前で楽しそうに放課後の予定を話している。
高校に入学してまだ数日なのに、もう友達できたのかよっ!と内心そう思った。勿論声には出さない。いや、出せない。
ここは、私立百龍高校。共学で全校生徒は800人弱。名前はゴツいが一応、進学校だ。
なぜ僕がこの学校を選んだのかというと、、、進学校で、家から近かったからだ!決して名前がかっこいいからじゃない。
僕の家から百龍高校までは2キロもかからない。チャリ通ができる!と思ってこの高校を受験した。勿論、高校入試の面接ではそんなことは言わなかったが。
そして僕は今、この学校に入ったことをひどく後悔していた。
だってこの学校陽キャしかいねぇだもん!
そりゃー私立だから男子の制服はかっこいいし、女子の制服は可愛いし?そりゃ陽属性が集まってくるだろ!なんでこの学校選んじゃったの中学の時の僕!
「あ、清水も来る?」
そんなことを考えてると前の方で僕を呼ぶ声がした。放課後の予定を話していた男子の1人が僕に声をかけてきたのだ。
「いや、清水は来ねぇだろ笑」
もう一方の男子が、僕の応えを聞く前に素早くツッコミを入れてきた。
「確かに、人が多い所は苦手そうだしなー笑」
「すまん、忘れてくれ!」
グサッッッッ。その言葉は僕の心に深く刺さった。
「は、ははっ、い、いいんだよ!」
「た、楽しんできて!」
僕は下手くそな作り笑いをして、絞り出すように言った。
「お、おう」
そう言って男子2人は教室を出ていった。
相手引いてるじゃねか!なにしてるんだ僕!まぁ今さら後悔しても後の祭りな訳だが。
・・・放課後何しよ。
授業が終わって30分は経過してる。大体のクラスメイトはもう教室を出てる。部活動見学か、家に帰ってるかだろうな。それかあの男子たちみたいに放課後を満喫してるのか。
流石に今家に帰ってもやることないしな、、、
部活動見に行くかぁ?流石に3年間帰宅部ってのも悲しいし。なんでもいいから部活動には入っておきたいものだ。とはいえ1人で見に行くのにも勇気いるしな、、、
・・・取り敢えず教室でよ。
教室を出ると先輩たちが沢山いて、1年生を部に勧誘していた。
げっ。どうしよ、こういうの苦手なんだよな。いやこんなメガネかけて、いかにも陰キャ感満載な僕に話かける人なんていないよな笑。通り過ぎることなんて簡単だよな!
案の定そうだった。声掛けてもらったら話だけでも聞くというのに!嗚呼、悲しっ!もう帰る!
そう思い、急いで生徒用玄関に向かい下駄箱から自分の外靴を取り出そうとした時だ。
「ねぇキミっ!」
誰だろうか?ここには僕しかいないから、僕に向けて言ったのだろうけど。
そう思い振り返るとそこには綺麗な女性が立っていた。その女性は仁王立ちで腕を組み、まっすぐな瞳でこちらを見ていた。
か、可愛い!こんなにも笑顔が似合う女性にあったことがない!先輩だよな!
そんなことを思っていた僕だが、次彼女から発せられた言葉に耳を疑った。
「キミっ、虫好きそうだね!」
沈黙が数十秒続いた。
「…はい?」
僕の聞き間違いだろうか。
「キミっ、虫好きそうだね!」
聞き間違いじゃなかった。何を言っているのだろうか。虫?無視?蒸し?
この中だったら虫だろうな。
「えーと」
僕が返事に困ってると、彼女はこう言った。
「キミっ、まだ入る部活決めてないならうち来てみてよ!」
唐突すぎる。でも、こんな真っ直ぐに言われたら断れるわけないじゃないか。
そんな勇気僕にはない。虫というワードは気になるが取り敢えずここは、、、
「まぁ、見るだけなら。」
言ってしまった。すると彼女は、目を輝かせて言った。
「ありがとう!私は2年3組の一ノ瀬咲。」
「君は?」
咲先輩は続けて僕の名前も聞いてきた。
「い、1年2組の清水春樹です。」
緊張しすぎだろ僕!
「よろしくね!春樹!」
こんな人に僕は会ったことがない。あって数秒で、こんなにフレンドリーに話してくれる人なんて滅多にいない。不思議な人だ。
「じゃあ、案内するから着いてきて!」
咲先輩の言われるがまま僕は歩き出した。