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あの日、私は気づけたここへ立っていた。



自分がどこにいるのかも分からず、名前以外の記憶もはっきりしない。



耳に入ってきた会話から、ここが”地獄”であることや悪魔の暮らす場所だということは分かった。




治安なんてものはまず存在しなくて、



大通りを一本歩けば、あちこちから暗い誘惑が手招きしている。




〇〇(とりあえず、寝床・・・住むところ探さないと・・・)



街中をなるべく目立たないように歩き、宿泊施設を転々としてひたすら彷徨った。



そうしているうちに分かったのが、この世界には”魔力”が存在するということ。



そして私の使える魔力は、修復や癒やしに特化したものであること。



魔術は戦闘に使えなくても、何かに絡まれたときには得物である”二丁拳銃”を呼び出す事ができるということだった。



〇〇(自分から何か仕掛ける必要はないけれど、これだけ荒れた街なら自衛の術は持っておかないと)







〇〇「―――はぁ、こんな時のためにね」



コーヒーを片手に苦笑いを零す私は今、複数の屈強な男たちに囲まれていた。



一目惚れして通うようになった馴染みの仕立屋と、その隣にある喫茶店。



ここのブラックコーヒーは香りも味もたまらなく良くて、すぐにファンになった。



仕立てをお願いしていた洋服の仕上がりを待つ間に喫茶店で一息



・・・のはずだったのに。



ニタニタと私を見下ろす彼らは、どうやら私を今夜の欲望処理のお相手にと見定めたらしい。



悪魔「なぁ、聞いてる?もしもーし」


悪魔「澄ました顔してねぇで楽しもうぜ?イイ薬もあるからさぁ」


悪魔「飛ぶくらいヨくしてやるって!お姉さんもこれ飲んだらすぐに欲しくてたまらなくなるぜ?」



ギャハハ、と下品な笑いに包まれ、腕を乱雑に掴み上げられる。



あいにく、そんな行為にもこの男たちにも興味は一欠片も湧いてはこない。




〇〇「ハハッ、おあいにく様。アンタ達に誘われたって、これっぽっちもそそられないわ」


〇〇「これ以上不快にさせないで。惨めさを慰めるなら他を当たってくれる?」



パシン、と手を払いのけると、今度は顎を鷲掴みにされた。



怒り心頭といった様子だ。どうやらかなり怒らせてしまったらしい。

その感情を、愛と呼ぶなら――

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