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たくとside
高校二年。
たくとは初めてりゅうきを見た。
昼休み。
中庭のベンチ。
一人で音楽を聴いていた。
風で髪が揺れていた。
ただそれだけ、
本当にそれだけだった。
なのに。
気付いたら目で追っていた。
廊下ですれ違う。
教室の窓から見かける。
体育館で見つける。
気付けば探していた。
「また見てる。」
友達に言われる。
「誰を?」
「りゅうき。」
「見てない。」
「嘘つけ。」
最初は話したいだけだった。
友達になりたいだけだった。
でも。
話せば話すほど。
知れば知るほど。
好きになった。
「たくと先輩。」
名前を呼ばれるだけで嬉しい。
「ありがとう。」
笑われるだけで嬉しい。
「また明日。」
それだけで一日頑張れた。
重症だった。
自覚もあった。
でも。
りゅうきは優しい。
誰にでも。
だから勘違いしたくなかった。
放課後。
たまたま見てしまった。
校門前。
りゅうきが同級生の男子と笑っているところ。
楽しそうだった。
いつもの自分には向けない笑顔。
胸が痛かった。
「好きな人いるの?」
友達に聞かれた。
たくとは笑った。
「いるよ。」
「告白しないの?」
「しない。」
「なんで。」
たくとは窓の外を見た。
「困らせたくないから。」
本心だった。
りゅうきが笑っているなら。
それでいい。
そう思っていた。
なのに。
「たくと先輩。」
放課後の教室。
りゅうきが来た。
珍しく。
自分から。
「どうした?」
「相談があって。」
心臓が嫌な音を立てた。
なんとなく。
分かってしまった。
「好きな人いるんです。」
ああ。
やっぱり。
「そっか。」
笑え。
笑え。
笑え。
「応援してください。」
りゅうきは少し照れながら笑った。
その顔が好きだった。
だから。
「もちろん。」
そう答えた。
その日の帰り道。
たくとは初めて泣いた。
失恋したわけじゃない。
告白もしてない。
付き合ってもない。
なのに苦しかった。
好きだったから。
ずっと。
誰よりも。
好きだったから。
だけど翌日。
学校で会ったら。
「おはようございます。」
いつものりゅうきがいて。
たくとは笑った。
「おはよ。」
それでいい。
好きな人が笑っている。
それだけでいい。
そう言い聞かせた。
でも本当は。
たった一度だけでいいから。
「俺を選んでほしかった。」
そんな片想いの話。
「届かないなら、それでもいいと思ってた。」
コメント
1件
あ〜、もう、これ……胸が苦しくなったわ。「笑え、笑え、笑え」のとこで一気に心臓掴まれた。好きだからこそ一歩引いてしまう、でも選んでほしかったっていう本音が切なすぎる……。たくとの優しさが泣ける。この第1話ですでに好きなキャラになったわ。続き、絶対読みたい🔥
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