横浜の街が闇に染まり、街の光がキラキラと反射しただし、仕事終わりお酒を飲みに大人が増えた。眩しいネオンの光に目を細めていたら、ポケットから振動とともに着信音が鳴った。電話主は森さん。ある組織のパーティーに行くから用心棒でついてきてくれとのこと。珍しく今日は仕事が早く終わったので織田作たちと飲もうかと思ったのに、森さんは本当に人使いが荒い。
渋々森さんの部屋に向かうと中也が森さんの横に立っていた。驚きのあまり声を上げてしまった。
「まぁまぁいいじゃないか。それと太宰くんは仮にも戦闘向きの異能じゃないのだし。」
と森さんはなだめるが、私は中也とにらみ合い火花を散らしていた。するとパンパンと森さんが手をたたき私達を引き剥がした。
「ほらほら。太宰くんは着替えて!中也くんは部下たち呼んでまとめなさい。エリスちゃんは太宰くんの着替えを手伝ってあげてね」
「はーいっ」と元気良く答えるエリス嬢に背中をグイグイ押された更衣室の中に連れ込まれた。エリス嬢が勢いよくクローゼットを開けると、私が普段着る服と違って真っ白の衣装がずらりとならべられていた。私は苦虫を噛んだような顔をした。するとエリス嬢が頬を膨らませて私にこういった。
「おえらいさんのパーティなんだから仕方ないでしょ?ちょっとだけだから我慢して!」
ということで、私は普段着の白バージョンを着せられた。はあと大きくため息を付きながら更衣室を出ると中也はいつもよりちょっと上品ぐらいの服を着ていた。私が中也に文句を言おうとした時丁度迎えの車が来たようでいつものような言い合いには発展しなかった。
会場は、横浜のど真ん中の高層ビルにあり会場まで登れば眺めは絶景。透明な強化ガラスに張り付いている中也を置き去りにして森さんについていった。
会場ではビュッフェがならべられて、スタッフがシャンパンを配り歩いている。パーティーに参加している人たちは全員裏社会の人間。みんなしてジャケットが膨らんでいた。私たちポートマフィアがお呼ばれする理由は、十中八九森さんの暗殺もしくは交渉。それに気づいているのか居ないのか中也は警戒の「け」の字もない。酒はもらうは、飯は食うは、彼は毒というものを知っているのか怪しいぐらい。わたしは中也にとことん呆れた。かと言ってその場に突っ立ってても意味がないので会場の端にある椅子に腰を掛けた。
あのクソ野郎がさっきから俺を見下すような目で見ているのは知っている。どうせ人から渡されたものを警戒せずに飲み食いしやがってとでも思ってんだろう。まぁ命令だからやめないけど
「いいかい?中也君今度ののパーティーである組織のボスが私を殺そうとするだろう。そいつをあぶり出すために協力してくれないかね?なにぃ簡単なことさ、その場にあるビュッフェをだべるだけさ。」
と言われたのはいいものの、やはり心のどこかで本当にこれでいいのかと疑ってしまう。あれこれ考えていたら「パンッ」と銃声が奥から聞こえた。すると奥の部屋から軍服の人が次々と会場に流れ込んできた。戦闘態勢を整えボスが外に避難したことを確認したところで、戦闘開始。
太宰と背中合わせになり、向かってくる敵を次々とぶっ飛ばしてやった。血飛沫と死体が飛び交う中普通の銃声とは違う聞き慣れない音が聞こえた。「パシュッ」という音だ。自分の記憶をたどると答えが出てきた。サイレンサーだ。銃声を消すための道具。今俺の真ん前にいる敵は、笑ってる。意味がわからない。前にいる敵は地面をめがけてもう2発撃った。俺は打たれた先を恐る恐る振り返ってみると、赤い衣装を身にまとった太宰が横たわっていた。
「太宰っっ!」
そこから先はよく覚えていない大方キレた俺は汚虫を使って太宰が力を振り絞って解除してくれたんだろう。自分の意識が戻った頃には壁が真っ赤に染まっていて太宰は虫の息だった。俺は自分の外套を太宰に被せ低体温になることを防ぎながらを防ぎながらバイクで拠点まで急いだ。ボスに太宰を預けるまでずっと時間が止まっていすように感じた。とても長かったように感じた。あんな性格の悪いやつでも死んでほしくないと思った。
「パンッ」と銃声が奥から聞こえた。すると奥の部屋から軍服の人が次々と会場に流れ込んできた。戦闘態勢を整え森さんとエリス嬢が外に避難したことを確認したところで、戦闘開始。
中也と背中合わせになり自分に向かってくる敵を次々と倒すが時々中也の倒しきれなかった敵がこちらに流れ込み中也の無能さを再認識する。いくら使えなくても居ないよりかはマシだ。さっさと片付けていい川を探しに行こう。そう思った時「パシュッ」とサイレンサーの音が聞こえた。ぽたぽたとしずくが床に落ちて音を立てている。目線を腹に落とすと衣装は真紅色に染まっていた。たちまち足の力は抜け膝から崩れ落ちるともう2発おまけをつけられた。
こんな事日常茶飯事だし3発打たれたって大したことないのに体が動かない、自分の息がだんだん弱くなっていくのがわかる。中也が叫んでいる声もよく聞こえない。視界がかすみ始めたその時中也がを汚虫使った。
「無理させるなぁ相棒」
中也の汚虫を止めた後からの記憶はあまりはっきりとしていない。
「中也君終わったよ。」
「ボス…」
手術室から出てきたボスは前髪をかきあげた。
「中也君ありがとうね。後少し遅かったら、手遅れだったよ。」
俺は胸をなでおろした。何時間も続いた緊張が溶けた。その後ボスに太宰の今の容態と今後の話を聞いた後今回の報告書をまとめた。
「太宰くんはいつ目覚めるかわからない。しばらく太宰くんの任務と君の任務は省くよ。太宰くんの監視係を頼んでもいいかい?」
ボスの声が頭をよぎる。一山過ぎたとはいえまだ何かが心臓を締め付ける。
太宰が意識を失ってから、2ヶ月経った時、横浜の街でもプール日和だ。そして明日は花火大会。本当だったら二人で行く予定だったけどこの状態だとどうしようもないので俺は朝からパソコンを片手に抱えて太宰の部屋で事務作業を行った。
太宰が居ない間俺はずっと心に穴がぽっかり空いていた。酒を飲んでも任務に出てもその穴は埋まらなかった。胸が焼けるように苦しく締め付けられるように痛い。でも太宰のそばにいるといつも和らいぐし落ち着く。だからずっとそばに居た。
コンコンコン
太宰の病室を3回ノックしたのはボスだった。エリス嬢もそばに居た。きょうは鮮やかな緑色のドレスだ。
「中也くんは明日の花火大会に出席するのかね?私たちは近くの公園で見に行く予定だが…」
「いや。俺はここに居ます。この部屋からも見えますし。」
「ざーんねーん。じゃぁチュウヤのお土産買ってくるね」
少ししょんぼりしているエリス嬢だがすぐにいつもの笑顔に戻って病室を出ていった、その後ボスも後追をうように部屋を出るといつもの二人だけの部屋になった。息抜きといってはなんだがまだ包帯を取り替えていなかったので、太宰の服を脱がせ包帯を取り替えた。
太宰の体は傷はよくなったものの数が月食べ物を口にしていないのでやせていた。頬をなぞると太宰の体温がじんわりと手のひらにしみる。首筋を触るとどくどくと脈を打つ。生きている、ちゃんとここで生きている。太宰を触ると胸が張り裂けそうになる。
「好きだ。」
口からポロッとこぼれた一言だった。
花火大会当日…
他の皆は公園で待ち合わせている。俺はカーテンを開けて太宰の横に座った。一緒に見たかったなぁなんて無理なことを思いながら外を眺めていると、観覧車のイルミネーションがいつもよりきれいに彩られていた。太宰の方に振り向くと炸裂音が響いて花火が始まった。病室の中もカラフルに光る中、俺は太宰の唇に優しくキスをした。すると太宰が目を細く開いた。
「中也…私も同じ気持ちだよ。ありがとう好きだよ」
弱々しくかすれた声でよく聞こえなかった。でもこの二文字だけははっきり聞こえた「好き」っと。
その日、その時間、その部屋で時間が止まった。
「うん。だいぶ良くなったね。後はちゃんとバランスよくご飯を食べること、激しい動きはしないこと起き上がらないこといいかい?」
「太宰くん」
「わかってるよ森さん。中也じゃあるまいし」
俺のことをけなしつつ自分のことを棚に上げる。太宰はベットに横になりながら不貞腐れたいつも道理で嬉しいが少し腹立たしい。 ボスがはいはいと言いながら部屋を出ようとするので俺もついていこうとすると服の裾がぐっと重くなった。
「中也…ウサギさんは寂しいと死んじゃうんだよ?」
わざとらしいが濡れた目で見つめてくるものでその手を振り払うことはできなかった。
「何が望みだ?」
「やだぁ中也怖いぁい。いたたたたっ」
「動くな莫迦!早く言え。仕事があんだよ」
すると太宰は細い人差し指を自分の唇にあててこういった。
「キス…」
何事もないように振る舞っているが耳が真っ赤。お姫様の望みどおり唇を重ねると背中に手を回された。ぐいっと引きつけられそうになるので抵抗すると「もうちょっと」とか言うから仕方なくそのままにした。
そして中也が太宰を惚れたときの話は別の話
コメント
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こういう系すっき です。
尊すぎて固まってた☆
おふほへはふひっw( ?