テラーノベル
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ー1話 夜と私といつかの右側。
夜の誰もいない一人の部屋。
狭い天井をぼーっと見つめる。
決まってこんな時はいつも余計なことを
考えがちだ。
思い出してしまうこと、
思い出さなくていいこと。
忘れたいこと、忘れられないこと?
ううん、忘れたくないことかもしれない。
それは、しばらく私の胸の奥を
ちくりと突き刺すからだ。
夜はふと思い出す顔がある。
もう二度と会えない人の顔だ。
それは、生きている人の顔も
今はもう生きていない人の顔もだ。
生きているのに、もう会えない人。
生きていないから、もう会えない人。
意味合いは違うが、時にそれは
私を寂しくさせるのには違いはない。
私には幾つもの思い出してしまう
顔がある。
一人は、離れてからまだ数ヶ月しか
経っていないけれど
当たり前のように必ず私の右側に
いる人だった。
久々にドキドキして、 見つめられるだけで
思わず照れてしまうくらい。
愛おしい人。
今でも思い出すあの優しい笑顔を。
それと同時に君の言葉で傷ついたことを。
そして、それが最後になってしまったことを。
ーねぇ、あの夜の電話の声はどうして
君は震えていたの?
どうして、私の言葉で怒ったの?
君はこれからどう生きてゆくの?
私にはまだ知らないことだらけだったね。