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Will you marry me?
ロンドンは今日も雨だ
雨はとても憂鬱な気分にさせてくれる
孤独な気持ちを高めてくれて、すこぶる罪悪感がせりあがる
でもそれも慣れたものだ
いや…でももう、慣れなくても良くなったのだ
「は…….っ、やっ…..んぅ」
わざとらしく声を上げる
それが俺にとってとても気分が良かった
「ここが良いのか?」
知ってて聞いた
相手は少し不満げな顔をする
「ばか….っ」
汗が頬の線に沿ってしたたり、とても妖艶だった
この愛くるしい男は、俺の恋人___キクだ
初めて会ったのは日本でいうところの江戸時代だ
日本__キクはその当時キリスト教の禁止をきっかけに鎖国をしており、完全に外国との関わりを避けていた
だが、俺の弟(仮)アメリカことアルフレッドが強引にキクの鎖国___引きこもりを辞めさせ、
「hey!キク!開国するんだぞ!開国しなかったら怖いんだぞ!」
「わかりましたから日光は当てないで下さい!!!」
それからキクは他の国と関わることが多くなった
そうして俺とも関わることが増えた
___
「こうして….、こうだなっ!」
「わぁ…すごく上手いですよ」
キクは俺に色々なことを教えてくれた
そして俺もキクに色々なことを教えた
「ありがとうな、日本」
「いいえ….」
スコーンの作り方、紅茶の淹れ方を教えて、残した
今では誇りでしかないな
さらに時を遡って1902年
その当時は、俺はロシアが邪魔でならなかった
だから仲間が欲しかった
「結構だ」
そう断られた
最初に訪ねてみたのはドイツだった
だがあっけらかんと断られた為、数秒間は間抜けな面をしていたと思う
あの頃の俺はツンをおもむろに出しすぎていたから(今もだけど)ほぼ大体の国に嫌われていた
色々考え、たどり着いたのはキクの玄関前だった
ガラッ
「てってめぇッ!何の用だ、名を名乗れ!!!」
「い、いえ….うちの玄関先に立っていたものですから」
威嚇する猫のように身体中の毛を逆立てた
その姿はなんとも滑稽だっただろう
今考えると恥ずかしくなるな…
ひとまずキクが出してくれたお茶を飲んで気を取り直した
「東の考えは、あーでこーで…」
キクは俺のことを素直に受け入れてくれて
少し、嬉しかったんだと思う
今までは誰も俺のことなど受け入れずに、顔を顰めるばかりなのに、
「….スさん、イギリスさん?」
名前を呼ばれはっとする
「あ、いや、すまん……ぼーとしてた」
「….すみません、爺の話ばかりでつまらないでしょう」
っ、そんなことはない!
そういえればよかったのに、何が起きてるのか、頭で処理できなくて、つい黙ってしまう
そうして、つい会話を貧しくさせてしまったのだった
___
自国に帰り、部下に言われた
「イギリスさん?顔どうしたんですか?」
部下であり秘書であるハワードに、皮肉でも言うかのように鏡を渡された
鏡に移った男は表情筋が崩れており、なんともいえなかった
「な、なんでもねえよ」
キクと少し、いい感じになれた
その嬉しさに心臓がダンシングしていた
自分自身さえも、喜びのをダンスしそうだった
でも部下はあまりいい顔をしていない、言いずらそうにして
覚悟を決めたかのように俺に告げた
「日本の上司が、ロシアと仲良くなろうとしています」
「はっ?、」
さっきまであんなに上機嫌だった筈なのに突如身体中に稲妻が走ったように固まった
なんで、なんで、なんで、なんで、なんで
別に1人は慣れてるし、問題は無いんだ!!
でも動悸が止まらない
それはただの意地っ張りでしかなかった
どうしても不気味に暗くなる気分を晴らしたく外に散歩に出た
いいさ、別に
今まで一人でやってきたから問題はない__
だが俺は後ろで必死に後を追う人物に気づくまでに時間がかかった
「スさん…..イギリスさん!!」
「日本…..?」
なんで
俺なんか必要ないと思ってる癖に
なんで、追いかける?
「なんでお前ロシアとッ!!あ、いや…..別れの挨拶なんか要らないんだからな__っ」
「そうではなくて!!!」
あれは上司が勝手に行った事なんです
はあ??
意味がわからない
どういう事だ
どうしてそこまで俺に縋る
でも
俺は____
「私は是非ともイギリスさんと、同盟が組みたいのです」
「に、日本….」
お前がその気なら、明日にでも同盟を結ぼう!
自然とその言葉が出た
その時の記憶は覚えていないようで覚えているような曖昧さに染まったが、目の前の菊が少しぼやけて気づいたら俺は泣いていたんだと自覚した
そして菊も泣いていた、星夜空の天幕の下で2人はいつの間にか抱きしめ合っていたのだった
・・・さん、アーサーさん!!
はっとして目を覚ます
「ど、どうした菊?」
「どうしたってなんですか!今日は珍しく晴れですよ!!」
だからハリ〇タの聖地巡礼に行こうと・・・
まだ甘い朝の時間を過ごしたかったが、菊が「昨日は散々やってくれたんですからね!仕返しみたいなものです・・・ッ!!」っていうものだから言い返せなかった
はああああ、にしても可愛い
なんなんだこの天使は
「アーサーさん!!」
「はいはい、わかりましたよプリンス?」
「プリッ・・・?!」
バカにしないでください・・・
その呟きがアーサーにはよく聞こえていた
引っ張られる素朴でいてしたたかな手の温度はとても熱く感じられる
英国にしては眩しい太陽が、2人を輝かしく照らしていた
ロンドンは晴れ
知らぬ内に憂鬱という気持ちは消えていたのだった