テラーノベル
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すみませんいつもより1000文字くらい文字数多いです…🙇🏻♀️😭😭
俺たちはあの激しい雨の中を駆け抜けた。 家に着き、カードキーを使って扉を開けてからバタンッ、と激しく扉を閉める。
髪や衣服から水滴がポタポタと落ちて、玄関が水で濡れていく。 全てがびしょ濡れで、濡れた服が肌に張り付いて気持ちが悪い。
「ッはァっ、!はっ、…雨ぇ”、ッ強すぎんだろっ!!」
「ちょっと走っただけなのにせんくうちゃん体力ミジンコすぎない?」
隣から、マラソンでも走ったのかというほどの息切れが聞こえてきた。せんくうちゃんの様子を見ようと顔を向けてみると_
「…ぇ?はぁ!?せんくっ、ちゃ…!?」
「ッぁ”あ〜??っん、だよ…」
いつもの逆さヘアーじゃなく、雨で濡れたせいか下に垂れている髪型のせんくうちゃんがそこにいた。
(走ってるとき、せんくうちゃんの方全然見れてなかった…)
びしょびしょに濡れたその髪の毛がせんくうちゃんの視界を遮っている。せんくうちゃんが、『鬱陶し…』とボソッと呟きながら左手で前髪をかきあげ、整った綺麗な顔立ちがあらわになった。
そのときにチラっと見える、少し濡れた二の腕から目を離せなくて。
その状態はまさに、”水も滴るいい男”だった。
これがギャップ萌えってやつか。と、肩で息をしているイケメンを見つめながら勝手に納得をした。
(つーか、…エロい、かも)
ゴクン、と唾を飲む。
「…ヘンな目で見てんじゃねぇ、エロガキ」
せんくうちゃんが左手で服をぎゅっと握って肌を隠すようにしてから、唇を尖らせ上目遣い気味でそう言った。その顔は若干赤くなっていて、目にはうっすら涙が浮かんでいる。
その瞬間、頭を瓶でかち割られたような衝撃と、心臓を殴られたかのような大きい鼓動が耳に響いた。
「ッはぇ、っ!?!?な、ッぇ、ッ…メンゴ!!!」
「ッククク!冗談だわ、焦りすぎだろ!」
さっきの情欲をかき立てるせんくうちゃんが嘘だったかのように、いつも通りの純真無垢な表情にパッと切り替わった。まだ心臓がドクドクと激しく波打っていて、どれほど焦っていたのかを嫌という程分からされる。
(千空ちゃんて演技派だったんだ…心臓にわる…)
「…ッくしゅ、っ…」
小さく、抑えきれなかったようなくしゃみをせんくうちゃんが零して、濡れた肩をぶるっと震わせた。
「…ぁ”ー、さみ…っ」
「せんくうちゃん風邪ひいちゃう…お風呂先に入りなよ」
「あ”ぁ??テメーだって風邪ひくだろ。一緒に入んぞ」
(…一緒?)
「はあ!?!?」
しれっと衝撃発言を口にしたせんくうちゃんに驚愕して、想像以上に大きい声が出てしまった。突然大声を出した俺に対して、せんくうちゃんは渋い顔をしてこちらを見つめている。
「うっせー、あんだよ」
「だってお風呂一緒に入るとか…!!」
「何が悪ぃんだよ」
「悪いとかじゃないけどさぁ…!」
今のせんくうちゃんの表情を一言で表すとしたら、まさに『はぁ?』だった。そんな顔をしながら、せんくうちゃんの癖である耳をほじる動作をしている。
(もう雰囲気でそう言ってる。非合理的すぎんだろって)
「俺は風邪ひかないから平気だし…」
「あ”ぁ??んなわけあるか!人間辞めてんだろそれ!」
「ジーマー、だっ、て…っへ、」
「っくしゅん、っ!」
せんくうちゃんのくしゃみじゃない、他でもない俺のくしゃみが玄関に響く。
「…」
「…」
そして、沈黙が流れた。
ちゃぷ、と、つま先から湯船に足をつけ、溢れ出して流れるお湯の音を聞きながら身体を湯船に沈めると、雨ですっかり冷えきった身体が芯から温まっていく。
隣を見ると、リラックスしている様子で息を吐いている無防備なせんくうちゃんが居て。せんくうちゃんの顔が熱さで火照って赤くなり、お湯で濡れている髪やら身体やらで色気がマシマシになっている。
入浴剤のおかげで湯船のお湯より下の身体は見えないが、首筋、鎖骨、肩、腕…細いのにしっかり筋肉がある男らしいそれに見惚れていた。
(…俺、さっきから顔とか体ばっかり見てない?)
「っふ、…クク…!あ”ーダメだ、おもしれぇ…」
「風邪ひかないって言った直後にくしゃみとか…」
「フラグ回収早すぎんだろゲンテメー!」
「ひぃー恥ずかしっ、やめて〜!」
ケラケラと笑うせんくうちゃんの笑い声が浴室に響く。
『風邪ひかないから平気』、という小学生でもつかないような分かりやすい嘘をついた挙句、風邪の前兆であるくしゃみをしたなんて…恥ずかしさで、顔と耳が熱くなっていく。
せんくうちゃんが思い出し笑いでこんなに笑うのも当然だと思うくらい。
せんくうちゃんの楽しそうな笑い声を聞く度に、『あぁ、好きだな』と再度惚れ直してしまう。でもその度に『この人を逃がしたくない』というドロドロした気持ちも大きくなっていって、深くなっていって…取り返しがつかなくなっていた。
_このままだと本当に、この人をここに閉じ込めてしまう。
「ゲン」
「っあ、何?」
不純な考えが頭をぐるぐると回って、上の空になっていたらせんくうちゃんが俺の名前を呼んだ。
「ぼーっとしてたぞ、もうのぼせたか?」
そう言ったあと、せんくうちゃんの左手がゆっくりと伸びてきて、指先で俺の濡れた前髪をそっと整えるように触れた。そのまま流れるようにアシメントリーのサイドの髪にゆっくりと触れて、すくい上げ耳に髪をかけた。
手が近づくとき、指先が耳に少し当たって…そこに触れられた感覚が残り、じんわりと熱を感じた。
指先が離れたその瞬間_ちゃぷんと、お湯が揺れる音がして。
「…こっちのが、顔見やすいな」
少しの間俺をまっすぐに見つめてから、口元を緩ませて、ふっと柔らかく微笑んだ。
その瞬間、ぷつんと糸が切れたような感じがして、自分の中の感情が抑えきれなくなった。
(…あぁ、この人は…本当に…)
「…明日になって、雨が止んでたら…せんくうちゃんはどうする?」
「どうって…そりゃ帰るだろ」
「帰さない」
「…」
きっぱりと断言した俺に対してせんくうちゃんが眉毛だけを微かに動かし、こちらを見ずにただ耳を傾けている。
「…俺、せんくうちゃんのこと大好きなの…狂うほど」
「この十年間、ずっと…ずっと、ずーっと…せんくうちゃんのことしか考えられなかった」
「…ねぇ、また俺を見捨てるの?…あの日みたいに」
「…そんなこと、絶対にさせない…せんくうちゃんが二度と俺から離れないよう、ここに囚えておく」
「…いいでしょ、せんくうちゃん」
俺とせんくうちゃんの間に、沈黙が流れた。
嫌悪されて、拒絶されることはもう分かっている。それでも俺はせんくうちゃんを閉じ込めて、一生…俺を見捨てるなんてこと出来ないようにするんだ。だから、これは許可じゃない。
ここに来た時点で、決まってるんだよ。せんくうちゃん。
そんな中、せんくうちゃんが口に出したのは_
「…嫌じゃないって言ったら、どうする」
「……は、…」
ぽつりと、そう呟いた。
全く想定外のその言葉を聞いて、俺は目を見開いてせんくうちゃんを見つめた。
「…」
「…愛してる、ゲン」
_その言葉を聞いた一瞬だけ、思考が止まった。
ドクドクと、鼓動が早くなっているのがはっきりと聞こえて、自分の体が自分じゃないような浮遊感に襲われた。
ただ一心に考えていたのは
(大好き)
そんな衝動に身を任せて、せんくうちゃんの体を引き寄せた。
唇を重ねれば、せんくうちゃんの肩がぶるっと震えて。それでも、せんくうちゃんは逃げなかった。
「っん、…」
吐息が漏れて、甘い声が聞こえた。せんくうちゃんに詰め寄ると、自然と押し倒す形になり_
ざぶん、と、お湯が溢れる音とともに、俺はせんくうちゃんと沈んだ。視界が歪んで、音も遠くなって…
ここは、俺とせんくうちゃんだけの二人きりの世界。
息が持つはずがないのに、唇を離す気になれなかった。
コメント
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最近読み始めたんですけど、、ミルクティーさんのゲン千が好きすぎて♡ハマっちゃってます!!!
天才すぎませんか????頭抱えるくらいだいすきです!!!!!!!!!! みるくてぃーさんの小説全部神過ぎて口角吹っ飛んでいきました😇✨
うわぁぁぁぁ良すぎる😭😭😭😭ゲンにとって呪いのようにもなってた初恋が実った(?)のほんとに最高ですありがとうございます🥹🥹🥹🥹💕💕💕💕💕