テラーノベル
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新入生でいっぱいの体育館。
窓から差し込む春の光が、体育館の床をキラキラと照らしている。
私は、自分のクラスの列に並びながら、必死に周囲を見渡した。
(どこ……? 凌先輩、どこにいるの……?)
在校生席は、体育館の半分を占めている。
すると、突然、会場の女子たちの視線が一箇所に集まった。
その視線の先に、彼はいた。
三年生の列の中で、凌先輩は一人だけスポットライトを浴びているみたいに輝いて座っていた。
中学の時よりもずっと大人っぽくなって、肩幅も広くなった気がする。でも、あの頃と同じ、優しそうな雰囲気はそのままだ。
(……やっぱり、かっこいい……)
ドキリ、と心臓が跳ねた。
一途に想い続けてきた時間は、間違いじゃなかった。私は今、本当に先輩と同じ場所に立っている。
感動して泣きそうになったその時、後ろから低い声がした。
「おい、よだれ垂れてんぞ」
後ろの列に並んでいる遥が、ジト目で私を見下ろしている。
「た、垂れてないし! 失礼なこと言わないでよ」
「……ふん。わざわざ同じ高校受けて、初日からそれかよ。おめでたい頭だな」
「いいじゃん。遥だって、どうせ私と同じ高校にしたのは、私のことが心配で仕方なかったからでしょ?」
冗談のつもりで返した言葉だったけれど、遥は何も言い返さず、ぷいっと顔を背けた。
その耳の端が、ほんのりと赤くなっている。
「……別に、お前のことなんて心配してねーよ」
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