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曲パロでございます。
今回はハチ様のドーナツホールです。
太敦です。
舞台は荒廃気味の世界。(完全な荒廃では無い)
ドーナツホールって
十年くらい前の曲何ですが、
何と今年、新MVが公開されたんですよ。
一寸あまり詳しくは無いんですが、
GODIVA(チョコで有名な所)が商品として作ったみたいな?
概要欄を読む限りだと、
MVの原画をプリントしたチョコが出るらしい……?
一先ず、ハチさんが帰ってきてくれた事に感動してます。
砂の惑星以降ボカロには関わらないと思ってたから……
なので折角だし曲パロしたろ、と思って書きます。
適当だなぁ……()
取り敢えずスタート。
『廃品回収業を営んでおります
壊れていても構いません』
カサついた紙にサラリと書き込む。
やる気の無さが透けて見える字だ。
「こんなの、金になるんですか?」
「起きたのかい?敦くん」
「はい。珍しく早いですね、太宰さん」
「それで、これが張り紙ですか?」
「あぁ。そうだよ」
「文字、汚いですね……」
酷いなぁ、とペンの蓋を締めながら云う。
彼の真っ白な髪が朝日に照らされ輝いている。
左側だけやけに長い髪を耳に掛ける。
其の仕草がやけに艶めかしい。
「さて、開店の時間だよ」
「はい」
くだらない日常が好きだった。
■■■
「ドーナツかい?」
「はい」
質問に答える為一度ドーナツを口から離し、
応えた後再びドーナツを口に付けた。
「ドーナツって何で真ん中が空いてるんだろう」
「さぁ……?」
どうでもいいとでも云う様にドーナツを食べ始める。
「敦くんたら冷たいなぁ」
「そうですかね?」
「そぉだよ〜太宰さん寂しいよォ〜」
「そんな子供みたいな……」
目を薄め眉を顰めた。明らかに引いている。
大の大人がこんな事してたら誰でも引く。
「ねぇ〜チュウしよ〜最近してないでしょ〜?」
「はぁ!?何云ってんですか!」
「今店開いてるんですよ!見られたらどうするんです!」
「いいじゃない。見せ付けたら」
この人は!と顔を顰める。
「まぁ、どうしても嫌と云うなら良いよ」
「えっ、」
簡単に引き下がってくれた。
こんな事もあるのか。
然し、あまり気分の良いものではないな。
では、仕方ない。
ドーナツを白い皿に置き、
太宰に近付く。
「今日だけですからね」
そう云ってふわりと唇を付けるだけの接吻をした。
「へ……」
何時になく間抜けな顔に思わず笑ってしまった。
「太宰さんって、そんな顔出来るんですね」
「……人間だからね」
「そうでしたね」
「何か人間じゃないみたいに云うね」
「人間失格じゃないですか」
「一寸ぉ?」
あははっ!と優しい笑い声が部屋に響いた。
此の日常が続けばいいと思えば思う程、
後の非日常が心にくるものなのだろう。
■■■
「あつし、くん……」
目の前の愛し子は安らかな笑みで眠っている。
髪と同じくらい白い肌は、
氷でも触っているのかという程冷たい。
呼吸なんて等の昔に終わっていて。
人間である限り、何時しかこんな時が来る。
来るのに。
私達は、そんな事知らぬとでも云う様に平気で暮らす。
今考えれば、こんな時は何時来てもおかしくない。
なら、毎日を大切に生きればよかった。
守ればよかった。
後悔するのは、
何時も、全てが手遅れになった時だ。
バイバイ。もう永遠に会えないね。
■■■
あれから何年なのだろう。
私の心はあの時彼が食べていたドーナツの様。
真ん中には何も無い。
私はもう、彼がくれた体温すら忘れてしまった。
この胸に空いた穴が今、君を確かめるただ一つの証明だ。
上手く笑えないんだ。どうしようもないまま。
さて、こんな事をしていても飯を食えない。
軽トラを停めてある場所に行く。
随分と汚れている。今度洗おう。
車に乗り、発進させる。
過去に録音したアナウンスをスピーカーに流す。
『壊れていても構いません』
涙が出るんだどうしようもないまんま。