テラーノベル
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卒業式。私は涙ぐむ両親を見ながらこの学校を卒業した。広い校庭を見ながら私は思った。この学校は私を変えてくれたのかも知れないと。まあ分からないけど。
その後、伊織とはどうかと言うと特別変わったわけではない。逆に仲良くなった。呼び捨てで呼べるくらいだから。この日も彼は私を探しに駆け回っていた。
「おーい!歌蓮!」
これがいつも。
「あっ!いた……もう疲れたよ…」
私の姿を目に捉えると安心した顔でそう言った。
「そっ」
「なんか冷たくない?」
「そんなことないってw」
「まあとりあえず俺達もお別れですね。当分会えない」
「うん。まあ予想ついてたけど」
「そういえば歌蓮ってどこの大学行くんですか?」
「え?それは…」
「言え!言え!」
「わかった。私、教師になろうと思って」
「いいですね。俺、絶対医者になって帰ってきます!それまでは会わないから」
「私もそのつもり」
「シシッ。おんなじですね。じゃあ俺行くわ。親に呼ばれてて」
「うん。じゃあ」
私と伊織はそう言って別れた。夢を叶えて会うまできっと会わない。でも夢を叶えたら絶対会う。二人の心のなかにはそのことが刻まれていたのだろう。きっと永遠に…。
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