テラーノベル
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生放送を終えたスタジオは、さっきまでの熱気が嘘みたいに静かだった。照明が落ちて、スタッフの足音が遠ざかっていく。
もと、ひろ、りょかの3人は楽屋に戻ってきて、それぞれソファにどさっと腰を下ろす。
「はぁ〜……つかれた〜」
ひろが天井を見上げて伸びをする。
「でも今日よかったね」
りょかがペットボトルを開けながら笑うと、
もとはドアの方をちらっと見た。
「……〇〇、まだかな」
楽屋のドアは、開けたまま。
閉めないのは、理由がある。
〇〇が来るのを、無意識に待っているから。
その時だった。
「はい!」
「すみません!」
廊下から、聞き慣れた声が響く。
「もしもし! はい、わかりました!」
「え、あ、そうですね……あーすみません、また後日伺わせていただきます!」
電話を片手に、〇〇が楽屋の前を足早に通り過ぎていく。
……と思ったら、数秒後。
「すみません失礼します!」
また戻ってくる。
それを見た瞬間、3人は顔を見合わせた。
「……あはは」
ひろが吹き出す。
「今日もフル稼働だね」
りょかはちょっと嬉しそう。
もとは腕を組んだまま、口元をゆるめてその様子を眺めていた。
〇〇は電話を耳に当てたまま、
「はい!」「大丈夫です!」「確認します!」
って言いながら、
行ったり、戻ったり、また行ったり。
楽屋の前を三往復目。
「忙しすぎでしょ」
ひろが小声で言うと、
「でもさ、ああやって動いてる〇〇、好き」
りょかがぽつり。
もとは何も言わず、ただドアの方を見ていた。
……四往復目。
今度は途中で、後ろから声が飛ぶ。
「〇〇さん! こっち手伝って!」
「はぁぁい!」
間延びした返事と一緒に、〇〇が振り返って、
小走りで廊下の奥へ消えていく。
それを見て、3人はまた笑った。
「可愛いなぁ……」
ひろが思わず言う。
「忙しいのに、ちゃんと返事するのがさ」
りょかは目を細める。
もとは小さく息を吐いて、立ち上がった。
「……迎えに行くか」
「え?」
ひろとりょかが同時に見る。
「待ってるって言っても、あの人、気づかないでしょ」
そう言った瞬間。
「すみません! お待たせしました!」
〇〇が、今度はちゃんと楽屋の中に入ってきた。
電話は終わったらしく、でも片手には資料。
「大丈夫?」
もとが一番に声をかける。
「え、あ、はい! 全然!」
〇〇は笑うけど、ちょっと息が上がってる。
ひろがくすっと笑って言う。
「何回通ったと思う?」
「え?」
〇〇がきょとんとすると、
「五回」
りょかが即答。
「そんなに!?」
〇〇は目を丸くして、照れたように頭をかく。
「待ってたよ」
もとが、優しく言う。
その一言で、〇〇の肩がふっと落ちた。
「……すみません、遅くなって」
小さな声。
ひろが立ち上がって、ぽんっと頭に手を置く。
「いいの。おつかれさま」
りょかも笑って続ける。
「ちゃんと戻ってきてくれたしね」
もとは何も言わず、〇〇の手から資料を受け取ると、
「座りな」って、ソファを指さした。
〇〇が腰を下ろすと、
3人の距離が、自然と近くなる。
楽屋の外はまだ忙しいのに、
この場所だけ、時間がゆっくり流れてる。
行ったり来たりしてた〇〇が、
今はちゃんと、ここにいる。
それだけで、3人は満たされていた。
自己満?で書きました
生放送が終わって、片付けもひと段落ついた頃。
もと、ひろ、りょかの3人は、〇〇に声をかけられて先に家へ戻ることになった。
「ごめんね、まだちょっと電話残ってて」
そう言って笑う〇〇に、
「いいよ、無理しないで」
「あとで帰ってきな」
「ちゃんと鍵閉めてね」
それぞれ言葉を残して、3人は家に帰った。
それから、約1時間。
家の中は、静かだった。
照明は少し落としてあって、リビングのソファに3人並んで座っている。
誰かが提案したわけでもないのに、
自然とその形になっていた。
「遅いね」
ひろが時計を見る。
「忙しかったんでしょ」
りょかはスマホを置く。
もとは、ドアの方をじっと見ていた。
——ガチャ。
玄関の鍵が開く音。
その瞬間、3人の空気が変わる。
「……ただいま……」
力のない声。
玄関に立つ〇〇は、靴も揃えないまま、壁に手をついていた。
「おかえり!」
ひろが立ち上がろうとすると、
「待って」
もとが小さく言う。
〇〇はふらふらとリビングに入ってきて、
ソファの前まで来たところで、ぴたりと止まった。
「……つかれた……」
※家ではタメ口という設定
その一言で、3人の表情が一気にやわらぐ。
「顔、やばいよ」
りょかが心配そうに言う。
「めっちゃ頑張った顔してる」
ひろも苦笑い。
〇〇は何も言わず、
そのまま前に倒れるように、3人の足の上にごろん、と寝転がった。
「……ちょっと」
ひろが驚いた声を出すけど、
「いいじゃん」
りょかはすぐに笑う。
もとは何も言わず、
〇〇の頭が落ち着く位置に、そっと足を動かした。
「ここ、楽」
〇〇がぼそっと言う。
「ソファ使いなよ」
ひろが言うと、
「やだ。ここがいい」
即答。
3人は顔を見合わせて、
結局、誰も反対しなかった。
りょかが〇〇の髪をそっと撫でる。
「相当疲れてるね」
「ん……今日ね……」
〇〇は話そうとして、言葉が途切れる。
もとが低い声で言う。
「無理して喋らなくていい」
「……でも、会えた」
〇〇が小さく笑う。
ひろが、ちょっと照れたように言う。
「それだけでいいなら、毎日帰るけど」
〇〇は返事の代わりに、
3人の足に顔をうずめて、深く息を吐いた。
「……あったか……」
そのまま、しばらくして。
〇〇の呼吸が、ゆっくりになる。
「寝た?」
りょかが小声で聞く。
「寝たね」
ひろも声を落とす。
もとは〇〇を見下ろして、
ほとんど聞こえない声で言った。
「……よく頑張ったな」
誰も動かない。
足がしびれても、動かさない。
〇〇が安心して眠っている、その重さが、
3人にとっては、何より大事だった。
外はもう夜。
でもこのリビングだけ、
静かで、やさしい時間が流れていた。
これも自己満?で書いた
おやすみ!!
コメント
4件
神〜!
これ書いたの夜中の3時ぐらいでは?