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-us視点-
俺は好きな人がいる。名前はrt。関係は友達、撮影仲間だとか…そんなもん。
そして彼にもきっと想い人がいる。
それはgcさん。俺よりも格好よくて、強い人。
俺もあんな風になったのなら少しは見てくれるだろうか。
そう思いながら今日はリモートで集まった撮影会で笑い話をする。
俺達は本日最後の撮影をしていた。
ふとした瞬間の彼の格好よさ、あれを真似できたのなら。
そのためにはまず彼をよく知らなければいけない。
よく観察して俺もできるようになったなら…もし想いを告げても惚れてくれるかな
そう叶いそうにないことを考えながら次々に切れる音に続いてディスコードの通話を切る。
とにかく、今日から彼について観察してみよう。
心に決めて秘かに意気込んだ。
ある日の撮影会、kyから別室へ来るよう呼び出された。
今日は皆に会っての撮影会だった。
俺は何だと、面倒くさがりながらついて行く。
周りに誰も居らず、聞き耳もたてられていないことを確認すると、彼は神妙な面持ちで口を開いた。
内容は俺がgcさんのことを想っているかどうかだった。
何故そんな質問をするのか…そう思い、問うが理由は濁されてしまった。
こんな質問をそんな顔で言われたら察せざるを得ない。
実際俺が好きなのはrtだし、「違う」と告げるとkyは安心しきった顔になった。
彼の表情はどう見ても恋をしていて想う人がいた。これを見て察せない方がおかしい。
よく今までこの緩さでバレなかったな…
呆れた顔をして、彼の目を伏せて見たが、同時に感じた微笑ましいという感情に自然と微小の笑みが溢れた。
こんな感情が親心というやつなのだろうか
自分で勝手に理解しながら彼の次の言葉を待つ。
kyは本当にホッとしたようで暫く喋らなかった。
沈黙間でふと俺は思う。
本当はもっと他の人も漏れ出ている瞬間があったのかもしれない。俺は周りを見れていなかったんじゃないか?
gcさんだけでなく周りもしっかり見ないとダメだろ。
反省と期待を混ぜた気持ちをもった俺は先へ戻ったkyを追って、彼らの居る部屋へ戻った。
よしと意気込んで 部屋に入り、すぐに彼らを観察すると早速気づいたことがあった。
……あれ?rt、案外kyにべったり?
rtがky呼んで仲良さげに話し始めていた。
下の年代同士だからか2人がよく話を弾ませている。
俺はgcさんと話す側に入って、2:2という構図が出来上がった。
これ、毎回のかたちのような気がするな…
ふと感じる馴染みにそわっとした。
だからkyは俺に聞いたのかと納得のいく解答をみつけた。のと、順じて俺が好きな人は、gcさんではなくkyの方に好意を向けているのだと気づいた。
俺には彼の好意は向いていない。
それが確認されてまたgcさんだと勘違いした頃のように心が傷んだ。
gcさんがrtを見つめる俺に話しかける。
gcさんは彼方には聞こえぬ声で喋りだした。
俺がkyを見つめていると勘違いしたらしい。
質問を投げてきた彼。
内容はky同様、俺がkyを想っているのかだ。
なんだ、こいつら両想いじゃん…
羨望と期待の眼差しを向ける。
俺は返事のために、また「違う」と告げると彼は、そう。とだけ言って僅かな笑みを見せた。
はぁ~っ!!ズルい!俺もそんな顔してぇよ!
到底叶うことのないその思いを胸に、1人で成立間近の男達を見ていた。
その瞬間、視線が向けられたのを感じる。
あれ?アイツこっち見て暗い顔した?
-rt視点-
今日は撮影日。
胸をドキドキさせながら皆の到着を待つ。
久しぶりに皆に会える!最近はディスコードでの撮影ばかりだったから会う機会は滅多になかった。
チャイムが3回鳴り、3人分の応対をして、皆が揃う。
難しい場面もあったりするが、皆で協力したり、笑いあって撮るゲーム実況はやはり楽しい。と感じながらゲームをした。
バカ笑いに疲れ、休憩時間を挟んだ頃、kyくんがusを連れて別室へ行った。といっても多分廊下だけど
何の話をするんだろうと不安を抱える。
暫くして戻ってきた2人。
kyくんは嬉しそうにしている。
usも心なしか笑顔だ。
何…話したんだろう
モヤッとして、心に嫉妬が生まれる。
俺は不安になる心を抑えきれずに、会話元であるだろうkyくんに話しかけた。
内容を問うとkyくんは濁したものの、俺が気にしなくていい話だと言った。
その発言にムッとしたが、その後すぐに kyくんは俺が俺の気持ちはバレバレだと言った。
それを聞いた瞬間、顔に軽く熱を持つ。
嘘だろ!?あからさまにしたつもりはなかったのに…!
いつも周りを見ているkyくんだから気づけたものなのか…?
持論だが、kyは気づいているのは多分俺だだけと語る。
そうか、ならよかった。
ほっと一息胸をつく。
本人には1番気づかれたくない。
たとえ彼の持論でも、彼の目は信用できると思っているから、そうかけてみることにした。
というか、それにすがって一旦心を落ち着けたかった。
ニコニコ笑う彼を横目に感じながら、ふと俺もkyくんみたく周りを見てみようと思う。
俺の想う彼を知れるかもしれない。
kyくんの後から入った彼の行った場所を見て見る。
俺の想う彼はgcさんと楽しげにお喋りしていた。
その目は先と同様に見えたが、少し違う気がする。
もっと何か彼に対して想っていることがあるような、そんな目だ。
嘘だ…こんなかたちで知りたくなかった。
俺は目の前に厚い格子がたち、遠くにいる彼を眺めている気がした。
仲良く笑って話す姿は可愛くて俺の目からはお似合いのカップルに見えた。
絶望を感じ、1人心を閉ざして傷つく。
こんな俺よりもgcさんの方が格好いいし、頼りになるもんな。usを守るには俺では力不足だしな…。
俯いてネガティブ思考を加速させる俺。
このまま戻れなさそうな思考が演算されて結果として出力される。
kyくんはこの、様子のおかしくなった俺に気づいて話しかけてきた。
その心配そうにする顔、声に彼方の2人も寄って来る。
くそ、来んとってや…
ギュッと歯を噛んで、眉間にシワを寄せる。
彼らに見つめられる俺。
痛ましく、情けない俺を晒しているのが苦痛で、吃驚するほど不器用な笑顔を見せた。
流石にその返しで彼らを安心させることはできなくて、更に心配させてしまう。
声を聞くたびに胸が締め付けられる。苦しい。辛い。痛い。…スキ
強く出してしまいそうな言葉達を噤んで黙りこくる俺をgcさんが察した。
皆を引き離して1人になる猶予を与えてくれる。
彼らは一旦外に出ると言って玄関のドアを閉めた。
この時ばかりはよく感謝する。
1人になり、大きなため息をついた。
深くて重い息に全酸素が乗っている。
苦悩に悩み、気持ちを下げる俺に諦めるための強さも無い。もう、ダメなんだ…
心を沈ませて苦しみを増加させていった。
こんなんじゃダメなんだけどな…
-ky視点-
最近、悩んでいることがあった。
それはもう過去形で、元々抱えていた悩みに戻った。
その悩みは、usが俺の想い人を想ってるんじゃないか問題。
最近usがよくgcさんに近づくなと思ったことが決め手だった。
久しぶりに会える撮影でusを呼び出す。
彼は勿論面倒くさそうについて来たけど、思い当たる節があるのか悟られない程度に身構えていた。
周りに誰もいないことを確認すると口を開く。質問を投げ掛けた。
彼からの返答をゴクリと慎重に待つが、彼はあっさりと否定の声を返す。
顔を見ると嘘をついているようには見えない。
よかったぁ…
唯でさえgcさんはモテるだろうし、魅力的過ぎる人だ。
ライバルが増えなかったことに安心した。
その気持ちのまま、usをおいていることなど忘れて彼の居る部屋へと戻った。
部屋に入りすぐにrtに呼ばれた。
どうしたのだろう?
別々のことをしていたgcrtのrtさんの方へ行く。
usはgcさんの方へ行った。
rtさんは俺が着くやいなや口を開く。
「何の話をしたのか」そう必死になって聞いてくる様はとても愛らしかった。
こんなのあからさまにusを想っている。
前々から薄々気づいていたこの彼の想いに安心させる言葉を探しながら思っているような話はしていないと答えた。
俺が想う人がいるなんてそこまでは知られたくないから濁している。
彼はほんのり頬を染め、焦って言葉を紡いでいた。
その様は可愛くて、面白くて、更にからかいたくなる。
俺が持論を展開すると安心した表情になった。
ほんと、ズルいよな…俺もこんな可愛さをもったら見向きぐらいはされるのかな?
思考を巡らせる時間に入った彼を余所目に俺は他2人の様子を見る。
笑顔を咲かせ、近い距離で話している。
先ほどはusは想っていないと答えたが、gcさんはどうだ?
本命の方が彼を想っているのならどうすればよいのだろう…。
ハッ…と1番気にしなければならないことに気づいた。
よく考えればusは昔の動画でモテそうな人に選んでしまうような素敵な人だ。
この人がライバルとなってしまったら勝てるのは若さとリスナーの多さだけ。
顔には自信はあるが、モテる要素かと言われたら微妙なところで、彼の好みを知らない俺では到底持ち前とは言えないものだ。
寧ろ普段は暗いし、メンヘラなところあるし、ダメなんじゃないか?
気持ちが後ろを向いていっているのがわかる。
こんな気持ち、ダメだ。皆の前で酷い顔を晒してしまう。
それに、まずそもそも今日は撮影で集まってて、テンションを上げなければならないんだ。
それでも気持ちが落ちてしまう。
ダメだ。ダメだ。
心にムチを打って、隠れて気持ちを切り替えようと横を見ると
俺よりも表情を暗くして、泣きそうな顔をするrtさんがいた。
吃驚しすぎて言葉が大きく出る。
あれ?さっきまで嬉しそうにしていたのに、この短時間で何があったんだ?
焦って話す俺の言葉にgcusも集まってきた。
更にrtさんの顔は暗くなる。
どうしよう…俺はどうしたらいいんだ。
usも同様で心配する言葉をかけていた。
gcさんは外へ行く提案をする。
彼を1人にして上げようと言ったのだ。
usも賛同して俺も一緒に玄関から家を出る。
rtさん、大丈夫かな…
後ろ髪をひかれながら3人で歩いた。
-gc視点-
2人を外へ連れ出してrtさんと距離をとらせる。
彼は多分kyのことが好きだ。
先ほどusと話しているときにチラッと見たが、楽しげに話す彼は顔をほんのり赤く染めていた。
その様子を見るkyも良さそうな顔をしていた。
両想いなんだろうな。
その瞬間、俺の恋が実らないことを悟った。
心配そうにしながら歩く2人を宥めながら憂鬱を抱えて歩く。
コンビニに寄り、飲み物など色々買って出ると、帰り道を辿る道中、usは公園に寄ろうと言い、人気のない穴場的な公園のベンチに腰を掛けた。
3人、ふぅ…と一息つく。
涼しい風の通る場所だった。
暫し休憩が済んだかと2人を確認しようと思った頃、usが話し始めた。
「お前ら両想いだよ」
それだけを言い残し、usは1人立ち上がって先に歩く。
まだrtさんの時間をつくるためだろうか。帰路とは反対の方向へ歩いていった。
一方の俺達はというと、衝撃を受けすぎてポカンと口を開けたまま動けなかった。
2人同時に「はぁ!?」と声を出す。
顔が急激に熱くなり、外気からの風を冷気だと感じぬ体の熱さを得る。
パニックと焦りと戸惑いでどうも対応をとることができない。
kyも同じなのか先ほどから何も話さず座っていた。
衝撃から数十秒、何もできない時間があった。体感数十分の長い時の中で彼の残した言葉を考える。
つまりは…kyは俺のことが好きで、kyには俺がkyを想っていることがバレた?
ようやく正式に頭に整理がついたその考えに熱を持つ顔でkyを見る。
彼も同時に此方を見てきていた。
ドキッと胸が鼓動を揺らす。
両者まともに目も見れずに気まずい空気が流れた。
でもさっき、rtと両想いに見えたのは?
まだ口を開けない俺。
彼の方が言葉を掛けてくれる。
彼は俺の手を取り、真剣な眼差しを向けた。
告白を受ける。
嬉しい…!なんとか返事しなくてはと緊張で張り裂けそうな鼓動を聞きながら答えを返した。
息を吸う音から始まり、か細い声から緊張で震える声が出ている。
長く想ってきた中で彼は一番欲しかった言葉をくれた。
目を大きく見開き、今ここで想いが実ったと幸福を胸にし、しどろもどろながらに俺は言葉を更に返す。
彼は嬉しそうに笑い、泣く。
その姿はとても愛おしくて限度を知らぬ高鳴りが俺の顔に出したことのないほどの笑みを生み出した。
嬉しい…幸せにしたい…あらゆる幸の感情が胸の中に埋め尽くした。
あとでusに感謝しよう。とrtの家へ一緒に戻った。
-us視点-
先程のセリフを言い残し、2人きりにした俺です。
いやぁ、だってもどかしくて俺だけで抱えるべきじゃないと思ったんだもん。
片想いして苦悩している中で友達が両想いのくせしてうじうじとしてるなんて後できっと悩みの種になる。
お節介だったかな…介入するべきではなかったところかも…
そんなことも実際考えるけど、 kyのあの時の表情は完全に思い詰めていたし、gcさんも途中から変だった。
あのままだと拗れてお互いに気づかぬままになる。そう予感して言ってしまったけれど……
やっぱ、2人で次第に積み上げて知っていく方がよかったのか?
不安になってきて頭をかきむしりながら歩く。
コンビニの前へ到着し、躊躇いもなく入って行った。
ここは先程3人で訪れたコンビニ。 ある特定のものを探しに物色し、購入しに戻ってきていた。
それはrtの好物。
今1人になった彼だがそのまま思い詰めてしまうかもしれない。
少しでも気晴らしになればと買いに戻ってきたのである。
こんなもので取り払えるとは思えないが、少し気が逸れるだけでも良いことに繋がるだろう。
やはり好きな人には笑顔で楽しそうにしていて欲しい。
気持ち早めに足を歩ませる。
まだ鍵の開いていた玄関を開け、中へ入った。
そろりと足音をたてないように歩く。
rtはまだ同じ場所で座っている。
俯いて暗い顔をしたままだ。
俺はただ無言で買い物袋を置くと彼のそばに座った。
何もせず、彼のとなりに居るだけ。
結局言及しようがどうだろうが彼を落ち込ませてしまう。そんな気がしたのだ。
彼の暗く俯く顔には俺は認識されたのかもわからない。けれどそれでいいと思った。
ただ虚無の時間が部屋に流れる。
時間をかけても気持ちが戻ってくれるといいな
暫くしてあの2人が帰ってきた。
しっかり挨拶して入ってくる。
えらいなと思いながら成立したのかとホッとした。
先ほどまであった不安は消え去った。
2人が部屋に入ってくると無言で隣に座る俺に驚いていた。
お帰り と返事を返すとまた ただいま と言って袋を片付けを始める2人。
俺も袋を片そうと立ち上がるとグンッと後ろに引っ張られる感覚を受ける。
引っ張られる場所を見るとrtが俺の服を掴んでいた。
ほわっ…心に感じて、安心した。
俺は再度座り、今度はrtの頭を撫でる。
声をかけても大丈夫だろうか。
躊躇って撫で続けていると、彼が声をかけてくれる。
感謝の気持ちを伝えられた。
彼はそれから無言になってスッと離れていく。
あ…うん、だよな
俺らは友達だし……
一瞬でも甘えてくれて嬉しかったな
手に残る彼の感触を名残惜しく感じる。
この距離間でいるから安心してくれたんだよな。
彼を目で追いながら俺も残りの撮影を準備しようと立ち上がった。
撮影会が終わり、帰る準備を始める。
俺はgcさんに呼び止められた。
飲みの誘いだ。
特にこの後やることはないし、彼らの話しも聞きたいので快諾することにした。
居酒屋に着き、2人で注文する。
kyも来るかと思、少しrtと話をしてきてから来るらしい。
「まずは、ありがとう」と言われる。
2人乾杯しながら話し始めた。
俺が口を出して良かったと思えるような話が次々と出され、感謝の気持ちばかり伝えられた。
嬉しさと気恥ずかしさが湧いてきて照れ隠しにどんどん酒がすすむ。
予定より速いペースのため、gcさんとは3杯ほど差がつき、酔いも酷くなってきた。
吐くとまではまだ全然だが、テンションが上がり、口軽になっている。
ベロベロの俺に付き合ってくれるgcさんは嬉しそうにニコニコしながら話を振ってくれた。
もう正直何を話したらダメなことか判断できていない。
気づけばkyが合流し、中々外で集わないrtも来ていた。
起きていたはずだが、話に夢中になっていたらしい。
呆れた声が聞こえた気もするがまぁ、気のせいだろう。
夜も更けすぎて終電を終える頃、解散しようと誰かが言った。
kyとgcさんは2人でkyの家へ帰るらしい。
その流れで何故か俺はrtの家へ帰ることとなった。
う~ん…なんか、2:2で帰ろうとか、カップルがどうとか…
あれ?そういえばその話がついた頃にrtがkyを叩いていたような……?
なんだっけ?
まぁ、よく覚えてないがとりあえず店前で解散をして各々の方面へ散った。
無言でrtに支えられながら歩き、気持ちの良い夜風にあたって帰る。
途中の自販機でrtは水を買ってくれて、あの時3人で座ったベンチに腰を下ろした。
良い感じに酔いがさめてきて、rtと話をする。
まだ少しほわほわとはしているが、ままなる会話ができるほどになった。
俺は楽しく話す。rtもしっかり話を聞いてくれた。
風が髪の毛を拐おうとして大きく荒れる。
お互いに直そうと髪を上げるが、rtは俺より大変そうだった。
ふと見えた夜灯に照らされる横顔を見てドキッとする。
長めの前髪から見える綺麗な目を光らせる。彼の美しさに魅了された。
ジッと見つめていると 急にこちらへ顔を向けたrtと目があってしまう。
慌てて視線を戻し、話をするが 彼の微かな笑い声を聞こえた。
やはりバレていたか。そう恥ずかしさで微熱をもった顔と耳。
彼をチラッと横目に見ると手を口元におき、目を細めて見つめてきていた。
顔を窺うようにコテンと首を横にして覗いてくる。
彼は笑っていた。
あ、良かった…
俺は嬉しさを感じつつ恥ずかしさが過ぎたので顔を更に逸らす。
rtは諦めたのか首を元に戻した。
ほっとしたのもつかの間、今度は手が伸びてきて、 膝においていた俺の手を掴まれる。
驚いてrtの顔を見ると彼は笑っていた顔を真剣な眼差しへと変えた。
その顔にまたドキッと胸を高鳴らせる。
口を開く彼。
彼の口から語られたのは彼の想い。
つまり告白だった。
予想外の話に俺は目を大きく見開いて固まってしまう。
あれ?今ってまだ酔ってるのか?
もう夢へと入っているんだ?
あまりに現実味のない展開に言葉がうまく出せない。
目の前の彼を見つめるだけで居てしまった。
rtはその展開を読んでいたのか
まずは家へ帰ろうと、また支えられながら帰宅した。
いつものソファーに案内されて座る。
ただポカンとrtの行動を見ているだけの俺にrtはニコリと微笑みかけてきた。
夢のrtは俺にニコニコ笑いながら俺の前に立つ。
どんどん近づいてきて数センチの距離へと迫ってくる。
…っ!?///
アワアワ頭をパニックさせて近づいてくる彼をくっつくまで許した。
mouth to mouth…💋してしまった。
軽くさっと離れるどころか長めの💋が始まる。
頭が処理を機能させず、熱くなる体温、興奮、多幸感、その他諸々のよくわからない感情がブワッと溢れだして脳内を駆け巡っている。
時間が経つにつれて苦しくなってきた。
息がうまくできない。
あれ?なんで苦しいんだ?
トントンと胸を叩き、離してくれるよう合図すると やっとrtが口を離し、息をする猶予が生まれた。
はぁっ…はぁっ…と荒くなった息を整える。
酔いと酸欠で頭が痛い。
rtに涙で少しボヤける視線を向けると先ほどと少し変わり、赤くなった顔と本気の目を携えていた。
そこでやっと現実なんだと受け入れる。
本当に、さっきの言葉も……
酸欠のではなく、嬉しさで涙がツゥ…っと流れる。
先程の処理できなかった感情が全て理解と想いで心に溶けていく。
俺もやっと公園での返事を返す。
嬉しいと言った彼は俺に抱きついて強く抱き締めてくれた。
俺も力一杯抱き締める。
俺も両想いだったんだな。
笑顔で泣き合う2人。
一方、甘々に初々しい時を迎える2人。
この1日で2組のカップルが成立する祝福すべき日となった。
コメント
2件
うわぁすごいなぁ。。。あんバターさん。推理小説読んでるみたいにメモしながら読んでた。好きです!!!(唐突な告白)めちゃ好きです!!どうやったらこんな複雑なの思いつくんだろ・・・
公園のベンチが聖地となりました( *´艸)