この物語はフィクションです。
実在の人物、団体、事件等には一切関係ありません
低い、それでいて耳に残る唸り声。
それを打ち消すかのように誰かの悲鳴も聞こえる。
「あ……」
「来たか?」
僕は頷いて少しだけ腰を上げた。
一号館側からか、講堂側からか、耳をそばだてて音が廊下のどちら側から音が聞こえるのかを慎重に探る。
やがて離れていてもわかるほどに慌ただしい足音が聞こえてきた。
誰かが……そう、誰かが走っているのだ。
その足音に規則性はなく、ばらばらとやけに細かい。
「追われてる……? しかも……複数人?」
まだ音は遠い。
今すぐにどこかに逃げたくなるが、今はどちらに進むべきなのかを探る必要があるだろう。
手のひらに嫌な汗がにじみ出てきた。
影だけではなく、人がいる。
昨晩のように人が。
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