テラーノベル
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チーズも色んな種類があり、スモークサーモンに、ハム二種類。
ホットミールはソーセージ二種、ベーコン。
ハッシュドポテト、野菜のロースト、豆のトマト煮、白身魚のフリット、炒飯、油淋鶏に大きなせいろの中には点心数種類、ビュッフェに欠かせないコーンスープもある。
和食コーナーには煮物系、さつま揚げや出汁巻き卵、温泉卵に海苔巻き、焼き魚もある。
麺好きには堪らないうどんに、自分で具をチョイスできるお味噌汁、こちらも具をチョイスできるお粥。
白米のお供も納豆の他にも手作りふりかけ、お漬物、海苔など沢山ある。
白米は昔ながらのお釜に入っていて、特徴的な木の蓋を開けるとフワッと蒸気が立ち上る。
パンコーナーには、基本のクロワッサンの他に甘い系もあり、高級ホテルならではなのか、グルテンフリーのパンもあった。
デニッシュは新鮮なフルーツを使っていて、見るだけで生地がパリッと焼けているのが分かる。
ツヤツヤした表面がとても魅惑的で、一つ一つがとても美味しそうなパンを見ていると、全部美味しそうで嬉しくなって、ダバダバ足踏みをしそうになるのを必死に堪えた。
奥のカウンターには、桶みたいな入れ物に甘くない系のパンが入っていて、木のまな板みたいなのの上に食パンなどもある。
その隣にはいちご、ブルーベリー、マーマレード、アップルシナモンなどのジャム、ピーナツバター、よく分からないヌテラという物もある。
フルーツコーナーには綺麗にカットされた果物が並び、リンゴ丸ごと一個もある。
尊さんいわく、海外の人は結構リンゴ丸かじりをするらしい。ワイルドぉ……。
ヨールグルトは市販のパックを置いているんじゃなくて、瓶に色んな味のが入っている。
こちらもまた、ナッツとか好きにトッピングできる物が隣に置いてあった。
飲み物はアイスペールに牛乳、低脂肪牛乳、豆乳や色んなジュースのデキャンタが冷やされていて、やはりどれも美味しそうだ。
「うぅ……っ、う……っ」
「何泣いてるんだよ」
尊さんは、トレーを手に泣き真似をして戻って来た私を見て、困惑顔をしている。
ストンと席に座った私は、ナプキンを膝の上に敷いて大きな溜め息をついた。
「……尊さんと一緒に色んな所に行くようになって、レストランとかでは、そこそこ恥ずかしくないマナーを身につけられたと思っているんです」
「おう」
「でも……っ、ビュッフェに来たら……、駄目っ! 庶民性と食いしん坊が滲み出るどころか溢れ出て、こんなに沢山盛っちゃった……!」
例によって私のプレートには、色んな食べ物がこんもりと盛られてある。
通りすがりに他のテーブルをチラッと見たら、皆さん、一つのお皿に点心を一つずつちょこんと載せて、まるでお店で出されるプレートみたいになっている。
……だというのに私は、欲望がそのまま表れたプレートになっていて、こればかりはどれだけ頑張っても直せる気がしなかった。
「別にいーだろ。盛り付けに点数つけて〝凡人〟とか言われる訳じゃねぇんだから」
「〝才能ナシ〟ですよう」
「いじけるなよ。俺は朱里が美味そうに食べてくれたらそれでいいし、周りの人だって文句をつける訳じゃない。うちの身内だって、バカにする人たちじゃないだろ?」
「そうなんですけど……」
パリパリのクロワッサンをちぎると、フワッとバターの香りが立ち上る。
シャクフワでおいちい……。
「いいか、俺も涼もよくフレンチとか行くが、腹に余裕があってコース意外に気になるアラカルトがあったら、遠慮せず頼む。なんなら、涼の姉さんや妹は、コース料理のデザートを食べたあと『他にも何かデザートありますか?』って聞いてお代わりする」
「マジですか……?」
コース料理と聞くと、出された物しか食べちゃいけないと思っていたので、初耳だ。
「店ってな、金さえちゃんと払えば何でも提供してくれるんだよ。……まぁ、『何でも』って言ったら語弊があるけど、出せるもんは大体。それにビュッフェとかなら特に、食べてもらったほうがフードロスにならなくて済むだろ?」
「……確かに……」
「ちゃんと金払った上で、『美味い美味い』ってニコニコしてペロッと平らげたなら、それ以上の上客はいねぇよ。だから心配すんな」
「はい……」
私は尊さんの話を聞きながらも、淀みなく手と口を動かして食べ続ける。
「あと、最近SDGsって聞くだろ」
「ふぁい」
おっと、食べながら返事をしてしまった。
「その一環で、フードロスを解決するために、条件をクリアすれば持ち帰りも可になってるんだ。国の方針だし、一流ホテルもそれに参加してる。……まぁ、食あたりする可能性もあるって前置きをした上で、生物禁止、夏期は対象外、アレルギーとかは自己責任とかあるけど、ビュッフェや食べ放題をやってたら、フードロス問題はつきものだから、あれこれ対策してんだ。……ま、一番は盛った分は全部食べる事だけどな」
「任せてください」
コーンスープを飲みきった私は、ドンと拳で胸を叩く。
心の中で効果音は〝丼〟だ。
コメント
1件
わあ、もうビュッフェの描写だけでお腹空いてきたわ……! 朱里ちゃんが「庶民性と食いしん坊が溢れ出て」って泣き真似するところ、めっちゃ可愛いし共感しかない(笑)。尊さんの「金払って美味そうに食べるのが一番の上客」って言葉、めちゃくちゃ沁みるな〜。こういう何気ない日常回も好きだわ。臣桜さん、ありがとうございます!
上野文
7,557
臣桜
48,895
パラレル・ゲーマー
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