テラーノベル
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「実は莉子に相談しなきゃいけないことがあって…」
「?
なぁにお母さん?」
「お母さんと結婚したいっていう人が居てね…その人は高校3年生の女の子がいるらしいのよ。もしこのままうまくいって再婚する…っていう流れになったら莉子。あなたにはお姉ちゃんができるの」
「…え?」
お母さんが言ったことは私にとって人生で1番と言っていいほど衝撃的なことだった。
とても嬉しいとは思えなかった。
「あー…そうなんだ!!お母さんも幸せになれるんだね、!」
「いきなりで本当ごめんね。新しいお父さんにも、お姉ちゃんにも変なことをしないよう言うし、私も常に気遣うから!もし何かあったら絶対言ってね!」
「あ、うん!ありがとお母さん!」
ー夜頃寝室ー
「なんでこんなことに…いやだよぉ…」
そんなに嫌がる?と自分でも思ったが、なにせ私は人から相談されやすく、友達の兄弟関係、や親関係などの辛さ・深刻さをよく知っていた。不登校の兄弟のせいで家族がみんな暗い、兄が暴力を振るってくる、お父さんやお母さんに過度に期待されて辛い、勉強勉強と毎日のように言ってきて、やってもまだ足りないと怒られるーなど、想像を絶するものまであった。私が想像する「家族」と言うものはみんな仲が良くて、楽しくて、幸せなものだと思っていた。だが、この相談を聞き、家族との関係の辛辣さを知り、「兄弟がいなくてよかった。」と思うほどだった。そんなものが今自分にも起きようとしている。想像するだけで辛くて、泣き出しそうだった。
「でもお母さんに再婚しないでなんて言えないよ…」
今でもフラッシュバックする。再婚の話をしている時のお母さんの顔を。今まで見たことないぐらいに幸せそうな顔を。そんな幸せそうなお母さんに「再婚しないで」なんて口が裂けても言えない。
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