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受付に戻ると、同僚の真梨奈が、
「今日も、政宗先生ってば、かっこいいよねぇー」
と、ため息混じりに話しかけてきた。
「うん…まぁ、そう、だね…」
気のない返事をすると、
「そっけないなぁー智香は。あの先生のこと、まさかかっこいいって思わないわけ?」
そう訊いてきて、
「かっこいいとは思うけど……」
と、口の中でボソボソと言いよどんだ。
「けどって、何よ?」
さらに突っ込んで聞いてくる真梨奈に、
「うん……なんだか、かっこよすぎて……恐いくらいっていうか……」
ずっと思っていた本音を返す。
「恐い? って、どこが……。あんなに優しそうなのに〜。政宗先生の良さがわからないなんて、智香ってばちょっとおかしいから」
すると彼女は、不服そうな顔つきで、同意を得られなかったことに軽く口をとがらせて見せた。
「私なんか、もうあの顔見る度にドキドキするっていうか、声聞くだけでもゾクゾクするくらいなのにな~」
横でぶつぶつと喋り続ける真梨奈に、
「そうだね、声もいいよね…」
と、空返事をする。
私があんまり興味がなさそうなのが、あからさまに面白くなさげな真梨奈は、
受付の奥で事務をしている松原 佐和女史に、
「松原さんだって、政宗先生がかっこよくないとか、信じられないですよね?」
自分に同意をしてほしい一心からか、そう訴えかけた。
「まぁねぇ……かっこいいのは当然だけど、」
私達よりはだいぶ年上の松原女史は、そこまで話して、ふと言葉を切ると、
「でも、綺麗すぎて恐いっていうのも、わからないでもないかな…」
薄っすらと苦笑いを浮かべ、意味有りげに答えた。