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バフッ
ホテルの一室で、サンはベッドの布団に大きく飛び込んだ。
少しのんびりした後、外のチャイムの音が閉じそうだった重いまぶたをパッチリひらかせた。
ガチャリ
サンはドアノブを掴んで後ろに引いた。
部屋の前にいたのは黒いタキシードとメガネを着た男性の若者だった。
彼は物腰柔らかく、頭を下げ、相手が子供でもちゃんと礼儀を忘れていない様子だった。
頭を上にあげた後、口を開いた
『403号室のグクルガーン様…今夜21時30分からわたくし主催の”お食事会”がございます。場所は”207号室”でございます。良かったらお越ししてくださいませ』
サンはとりあえず適当に頭を縦に振り、「はい」と返事をした。それを見た黒いタキシード男は笑顔を返し、隣の部屋のチャイムを押した。
扉を閉めながら、部屋から半分出ていた体を戻した
サンは部屋の壁に取り付けられてある時計を見て、さっき言われた食事会まであと30分もないことに気がついた。
なんでもっと早く言わないんだという疑問もあるが、ひとまず催される時間まで何もしないことに決めた。
時計のガラスの中にある二つの針が刻々と動いている。
21時26分………
針はそれを示していた。
少し急ぎ足で部屋から出、すぐ近くにある手すりが木製の階段を使って2階下の207号室へ向かった。
2階の平坦な廊下を進み、「207」と扉に書かれている部屋を見つけた。
(おっと、いっけね)
そのままドアノブを掴んで部屋に入ろうとしたが、高貴そうな食事会の会場にスッと参加するのもどうかと思い、外に取り付けられたチャイムを鳴らした。
少しして、「お入りください」という言葉が扉越しに聞こえ、
サンは扉を開け、中に入った。
ベチャ
207号室の床を踏むと、なぜか水のような液体を靴が踏んだ。
そして何故か、食事会というのに人の声や美味しそうな食べ物の香りがまったくしないのだ。
まさか、まさかだよなと思っていた。床にある液体を見なくてもなんとなく予想がついた。なぜなら床の謎の液体以外にもおかしな点が207号室にあったからだ。
香ってくるはずの食べ物の匂いはなく、かわりに鉄のような匂いが部屋に充満していた。
前には、何故か人も倒れている。
下の床を見ると、自分の踏んでいた液体が「血」だということに気がついた。
下の床から、大きな影が見えた。その瞬間、サンは魔力で自分の体を覆った。
ガブッ
目の前の大きな口がサンを喰らった。
だが、牙が魔力の層で止まり、サンの皮膚を貫きはしなかった。
『…………………』
牙が層から抜けていく。
ムカデのような足の数や体をしていたその”魔虫”は、後ずさりして「ジッ」とサンを見ていた。
『…魔力を使ったな。人の子よ』
冷静に口を開いて、静かな声でそう言った。
「食事会って聞いたが…オマエがやったのか?会場の人達を」
それを聞いてムカデの魔虫はフッと笑った。
ニタニタとあまりに気色の悪い笑みだ。
『食事会?元々そのようなものはないぞ……何を勘違いしていた?そもそもこんな小さな部屋で食事会なんてデッカイ催しする訳ないだろう』
確かに違和感を持ってもおかしくない。だがサンはそれについて何も「おかしい」とは思わなかった。その自分のバカさが、とても滑稽に思えた。惨めだと思った。
『人間というものは脆いと生まれた頃から思っていたが、お前は少し特殊なようだな』
サンは気づいた、相手から魔力を一切感じないことに
コメント
1件
読み終わりました…!第4話、一気に緊迫感が増しましたね。最初の「バフッ」とベッドに飛び込むサンの子どもらしい仕草にほっこりした直後、あの不気味な食事会の招待。鉄の匂いと血の海、そして魔虫の登場…一気にホラーテイストに引き込まれました。魔力を感じさせない敵の不気味さがすごく怖い。サンが咄嗟に魔力で身を守った判断力、かっこよかったです!続きが気になります🤍
羽海汐遠
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れん
21
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