テラーノベル
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※今回の話は時系列的に,プロローグよりも前の話です。
それでは本編どうぞ!
~♪
聞き慣れた音で目が覚める。
あぁ,もう朝か…。
布団にうずくまったまま手探りでスマホを探して,アラームを止める。
…朝起きるのを億劫にしないため,好きな音楽にしたはずなのに,目覚ましって役割になるだけでこんなにも煩く感じるのは本当に不思議だ。
しかしなんでこんな朝早くに。
だって今日は夏休みで_____
「今日始業式じゃん…!!」
やべっ!忘れてた!
光の速さで制服に着替えた後,スライディングを駆使し転がるように階段を下りる。
ドタバタ、がターン。
「おはよう!!」
「…おはよう,兄さん…」
勢い良く開けた扉の先には,既に朝食を摂り終わり,優雅にくつろいでいるカナダの姿。
「アメリカ,初日から遅刻ですか?」
…と,優雅にティータイム中の憎むべきイギリス。
「うるさい,まだ時間はある。俺は遅刻なんてしてないししない!」
「あと数分で家を出るべき時間なのに,本当に間に合うと思ってるんですか?」
「…間に合うし!50m走7秒台だし!」
「学校までは約1000m,速さと持久力は違いますよ,アメリカ。」
「…あーもーっ!!いいから朝食!!速く食べないとマジでヤバいから!!」
「…はいはい。」
ああ,イギリスはどうしてこうも口が悪いのか。いや,口が悪いは違うな。どっちかというと毒舌…舌と言えばバカ舌…
そんなくだらないことを考えていた矢先,コトンという音と共に,甘くて柔らかい香りが鼻をつく。
「ほら,カナダが作ったパンケーキですよ。速く食べなさい。」
「マジ!?カナダ愛してる!!持つべきは料理上手の弟!」
「え!?あ,ありがとう,僕も愛してるよ…!」
「…貴方,私とカナダで態度変わりすぎでは?」
だって美味いんだもん,カナダのパンケーキ。
「行ってきまーす!」
光の速さでパンケーキを食べ終えた俺は,元気良く外に飛び出した。
室内が天国なら外は地獄。
じりじりと焼き付ける太陽,それによって熱されたアスファルトの地面,蝉の鳴き声。
もう9月だと言うのに,太陽は相変わらず手加減を知らない。
「あっつ…」
思わず漏らした声も,やがて蝉の鳴き声に掻き消される。
本当,嫌になる_____
「アーメーリーカッ!」
「うわっ!」
突然背後から押されて,思わずよろける。
聞き慣れた,けど久し振りに聞いたその声の主は
「ロシア…」
「何だよ,嫌そうな顔して。またイギリスと喧嘩でもしてたわけ?」
「……」
「相変わらずだなー」
「イギリスがうるさいから…」
「アメリカが短気すぎるだけだろ」
「ぐっ…!」
正に図星。
こいつ…ロシアは小さい頃からの仲もあって,俺の性格を熟知してる。
だから一緒に居ると楽しいし,遠慮も要らないんだけど…こうも痛いところを付かれるといい気分じゃ無い。
「つーか暑くね?溶けそうなんだけど」
「分かる溶ける」
「はーーー,こんなんで9月とか信じらんねー!もーちょっと涼しくなれよ!」
「それな…マジで今年の気温おかしいだろ…てか何で長袖なんだよ」
「焼ける。焼けたら溶ける。溶けたらベラに刺される。」
「ふーん,ブラコンの妹を持つと大変だな」
「笑い事じゃねーぞ…」
そんなこんなでくだらない話をしていたら,いつの間にか学校は目の前だ。
【 国立連合大付属学校 中等部 】
「あー…着いちゃった,学校」
「校門くぐるまでは夏休み」
「カムバック夏休み…!」
嫌々ながらも校門をくぐると,校舎からの笑い声や生徒の話し声がよく聞こえるようになった。
玄関に入ると,やっとあの忌まわしい太陽の日差しから解放される。
久し振りの靴箱のひんやりとした空気に,少し緊張する。
「じゃ,俺校舎向こうだから~今日一緒帰ろうなーアメリカ」
「分かった~…」
さて,と。
俺も教室,行くか…
汚れを知らない,大量の宿題を抱えて。
「アメリカ,宿題終わったアルか」
「…終わって無いけど」
教室入って一発目がこれか。
「当たり前アルね,あの量は異常アル。あんなんやってたら折角の夏休みを棒に振ることになるアル」
「アメリカ終わってないのー!?いおと一緒!同志じゃんー!」
「イタリアも終わってないのかよー,なんだ,やってない奴結構居るじゃん」
「終わってないに決まってるよ!夏休みなのに勉強してたら意味ないじゃーん!」
あー,やってない奴居て良かったー。
安心したのも束の間,背後に恐ろしい気配を感じた俺は,とっさに振り返った。
_____その瞬間,顔面に作文用紙がヒットした。
「…先生と相談して,宿題やって無い奴には反省文10枚を書いて貰うことにした」
「アメリカ…宿題,やってきたんだろうな…?」
「ど…ドイツ……」
学級委員長のドイツ。
こいつは学級委員長という猫を被ってクラスを牛耳る裏ボスだ。
何たって裏には先生と,3年のナチス先輩という生徒会長が居る。
「ドイツは終わったのかよっ」
「当たり前だ。最初の1週間で終わらせた。」
…ハイ。分かってました。流石っすね。流石テスト学年1位。裏ボス。
「で,宿題,やってきたんだろうな?」
「…ちょっとトイレに。」
そう残して,俺は教室を飛び出した。
「おい!逃げるな!!」
「あはは~,頑張れアメリカ~」
「イタリア!お前も例外じゃないぞ!」
「え~!?勘弁してよ,幼馴染みでしょ!」
(我は忘れられてるアルね,ラッキー)
「はー…,朝からひどい目にあいかけた…」
50m走7秒台の足を駆使して走ったら,そこは職員室の前。
「やば…」
早く戻んないと,もうHR始まる…
けど,何故か職員室の前にはいつもより人だかりがある。
(なんかあったのかな)
やっぱ夏休み明けだし,誰か問題起こしたのかな?
「ねぇ!あの転入生見た!?マジヤバくない!?」
「それな!!あんな美人初めて見た!」
「でも男らしいよ!羨ましいー,うちにそのまつげ分けて欲しい」
そんな会話が耳に入ってきた。
(へー,転入生か)
そんな美人なのかよ,じゃあうちのクラス来て欲しいな…
キーンコーンカーンコーン…
やばい,ガチで遅刻する!
その時,俺は知らなかった。
たった1人の転入生の存在が,運命を変えることになろうなんて_____
2000文字ぐらい書きました。
次回はもっと長くします。
混乱してる方も居ると思うので簡単にキャラと世界観の説明をしておきます。
アメリカ
元気な中2 次男
イギリス
毒舌の高1 長男
カナダ
優しい中1 末っ子
ロシア
親友で中2 ベラルーシをベラと呼ぶ
中国
友達で中2 そこそこ頭がいい
イタリア
友達で中2 お花畑
ドイツ
裏ボスで中2 怖い
ベラルーシ
ブラコンの小6 ヤンデレ
【国立連合大付属学校】
小,中,高等部から成る大学付属の学校
エスカレーター式
それなりに頭がいい
ここまで読んでくださりありがとうございました!
コメント
4件
初コメ、フォロー失礼いたします(❁ᴗ͈ˬᴗ͈) 可愛らしい表紙につられてやって来ました🥹 小説も神とかほんとに天才すぎる…😩😩 応援してます-`📣
神作の予感しかしないですね。 これからも投稿頑張ってください!