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前半の終了後、暫くお待ちくださいのテロップの後また二人が映し出される。

机には横並びに丁寧にシリーズ毎のランダム商品の入った箱が並べられている。

きっと待機中に並べたであろうそれらの下には前半で紹介されたポスターがランチョンマット代わりのように敷かれている。

アクリルスタンドの國神は箱のちょうど真ん中にスペースを置いて立たせておいている。

『待機終わった!』

『マジでポスター紹介秒で終わったんだけど!』

『潔選手wwデカイ!紙!で紹介終わらせるなよwww』

『わざわざ並べたのかな?可愛い!』

『國神選手センターじゃんw仲良いのかな?試合の時は國神選手塩対応だったけど』

「次はランダムな!ここに全種類一箱ずつあるけど、潔狙いは?」

「ノア様!!!」

返答のスピード僅か0.000001秒最早言葉を被せている程の速さだ、その食い付き振りに玲王も少し引いている様子だ。

((こいつ、ノエル・ノアとサッカーのことになると可笑しくなるよな。一次選考の時は割とまともだったよな?))

そんなことを思いながら他にはないかと潔に投げかける、潔は少し思考した後

「蜂楽とか…國神、千切辺りの仲のいい奴とか、玲王は?」

玲王も潔と同じく数秒の間黙って思考を回した。

「クリスと凪だな。凪はともかくクリスは何かと世話んなってるし、俺の好きなロナウドに似てんだよ。」

「へー」

「じゃ早速開けてくぞ、12個あるから半分ずつで。」

「分かった。」

玲王は適当に箱に入ってる銀色の袋を手に取る。だが反対に潔は顔を顰め選ぶのを渋っているらしい。

「どした潔、早くとれよ。」

「いや、これ取ろうとする度カイザーの顔が見えて嫌なんだけど。」

カイザーのポスターはオフショットのようなラフな格好をしており、真顔が彫刻のように整っている。

置かれている場所は胴体で顔には置いていないのが気になるのだろう。

セーフということだろうか

「お前が敷いたんだろ。しゃねーなーほら」

弟の我儘を聞くように箱をカイザーの顔に移動させる。

アウトになった。だが潔が笑顔になったのでいいだろう。

よし取るぞとなるところだが潔はまだ渋って今度は何やら独り言を発しているようだ。

「ノア様はどこにいる?No.1ストライカーらしく真ん中か…いやノアがそんなテンプレにそう訳無いか…」

箱の中を凝視して一向に取ろうとはしない。

((潔は何してるんだ?…流行り、いや俺が流行りを知らないなんて有り得ない。それならファンの中での流儀的なアレか?))

何かヒントになるものは無いかとモニターに移されたコメント欄に視線を移す。

『潔選手wwwオタク節出過ぎで草』

高速で流れるコメント欄を逃さぬように情報を脳に流し込む。

『私もよくやるやつだ!推しはここどこに居る!ってやつね!』

『おかーさんあれなにー』

『シッ!見ちゃいけません!(´∩~∩`)』

ふむ、どうやら流儀というのは間違いでは無いらしい。めんどくせぇな

「おい潔、早く選べよ。箱なんだから出ないなら出ない、出るなら出るだろ。俺が出たらあげるからよ。」

「バカ玲王!こういうのは自引きってのが重要だろ!貰うけど!!!!!ありがとうございます!!!!!」

「あっそ。

てか誰がアホだ、ザコバカ平凡潔。」

そう言い潔の頭に手刀を食らわせた。

「痛え!てかお前も言ってんじゃん!」

「俺はいーの」

ペリペリと銀の包装に貼られた商品説明の書いてあるシールを剥がす。

せーのと玲王が掛け声をあげると同時に二人は中の缶バッチを取り出した。

玲王は雪宮、潔は自分、潔のバッチが当たったようだ。

「わ、俺かよ。てかこの俺人相悪くね?」

「そりゃそうだろ。ほら」

玲王は潔の缶バッジに雪宮の缶バッジを寄せる、するとこの缶バッジの印刷の選抜はどうやらイングランド戦の泥舟と言い放ったシーンらしい。

「あっ….」

「あの時はのお前口悪かったもんなぁ」

潔はイングランド戦での自身の言動を思い出したようで頭を抱えている。

だがその懺悔は長くは続かず切り替えの鬼である潔はノアが当たらぬことに視点を向けた。

「やっぱノア様当てるのは難しいな…」

「切り替えはっや。まだまだこれからだろ?次行こうぜ次。」

「おう」


缶バッジ全シリーズ終了、結果ノア無し!!!

「ノアさま….のあさま….」

潔は四つん這いで床に座り込んでいる。

玲王は哀れだなぁなどと考えながら潔の背中を擦り元気づけている。

「次だろ、ブロマイドで当てようぜ!」

「玲王….そうだな!やるぞ!」


画像

結果ノア無し。

ここまで来ると運命的なものが働いているのではないか、ブロマイドは1パック6枚りに対してこの結果は流石に可哀想である。

最後の望みはぬいぐるみ、お楽しみは最後まで待つのみ。

「最初は….おっ俺クリスだったわ。ラッキー」

「俺は…アギ。あの人結構強かったな。」

「だろ?」

このようなノリで問題のドイツを開けるまでは滞りなく進んで行った。ドイツ以外の国が終わり最後一箱、ノアが出るか否かはこの箱で決まる。

さて、ここからはダイジェストでお送りしよう。所謂爆死フラグというものだ。

1回目

「おっ黒名!」

「良かったな、てかsnsでも惑星コンビとして有名だし配信が終わったらこれsnsに上げてみりゃいいんじゃね?」

「恥ずいから….気が向いたらな」

「ビジネスチャンスなのによ、俺また雪宮だ、休日は株の勉強会ありがとな!」

「そんなことしてたな。」

2回目

「うげっカイザーだ。」

「どんまい、俺はその従者サンだったぜ」

3回目

「カイザー….」

4回目

「またカイザー!?こいつ自己主張強すぎだろ…」


「なんでカイザーしか出ねえんだよ!!!!」

最初の2回以降潔の元にはカイザーしか訪れなかった。

『潔選手…かわいそ』

『分かるぜ潔選手の気持ち…』

『トラウマがフラッシュバックした』

『これが馬狼選手の言ってたぜって…ってコト?!』

『潔選手…今度プレゼントあげるからね…』

『元気出せよ』

推しの出ないトラウマを思い出す者、絶望に打ちひしがれる可哀想だと言うもの。コメント欄は潔選手への同情で1色になった。

ぎゅっと苛立ちをぶつけるようにカイザーのぬいを握りしめた。

「何それ、新手のアイラブユー?」

ぷぴょーとお風呂に浮べるひよこを押すと鳴る音と同じのその音と同時にカイザーのぬいから音声が流れた、勿論カイザー本人の声で。

「….Why?」

今潔の顔は凄く間抜け面だ。潔本人もそうだろうな、と自覚している。だがその思考を塗りつぶす程の衝撃と苛立ち寧ろ暴れることも出来ず思考が停止していた。

「あ!お前それ数個に一個ある音声付きぬいじゃん!運いいな!」

玲王のその声にハッと目を覚ます、そして一気に苛立ちが襲ってきた。

「う”れ”し”く”ね”ぇ”よ”!!!!」

血反吐を吐いたあとのような憎悪を纏って掠れた声でそう叫ぶ。すると後ろからスーと電動ドアの開く音が聞こえた。

「凛!」

そうそこにはフランス棟にいるはずの凛が立っていた。

「あ?んでお前らここにいんだよ」

今日はグッズ宣伝の配信だと全棟に通達していたはずだ、それなのに知らないと言わんばかりの凛に玲王は疑問を投げかける。

「配信だよ、お前も聞いてなかったんじねーの?」

「聞いてねぇ。」

「「あっ」」

ぼっちにその言葉を聞くのはとても残酷な事だ(諸説あり)。人付き合いの上手い二人はそのことを経験はしてないものの理解しており、申し訳なさで声を漏らした。

「ごめんな?凛…ほら俺の開ける分のぬいあげるから…どうせカイザーだし」

潔が凛に駆け寄り自分の分の袋を差し出す。凛は悪態を付きながらも、それを受け取り初めての物を見る子供のように包装を眺めた。

「ちっ、ちょうど暇だから開けてやるよ。」

凛が少し手こずりながらも梱包を開けると、潔が何度開けても出やしなかったノアが出た。

「ノア!!!」

「チッ」

一気に顔がぱぁと明るくなる潔、凛は舌打ちをしながら潔にノアぬいを押し付けた、そのノアのぬいぐるみを抱き上げ変わらず輝いた目をしていた。もうカメラなんてお構い無しだ。

「すげぇな凛、俺のも開けてくれよ」

玲王が袋を差し出す、舌打ちをしながらも素直にそれを受け取るとひょこと出てきたのは凛の兄、冴だ。

「兄ちゃ..」

「すげぇな、これシークレットだぞ」

凛の声は心做しか、いや確実にいつもより声がワントーン明るくなっている。

しかし凛が勢い余ってぬいの腹部を握ってしまう。ぷびょーと潰れた音を鳴らすと冴ぬいは無駄に音質のいい声で

「潔世一、あのegoistことが日本のサッカーを…」

そう言い切ろうとしたが凛が勢いよくボールを投げた、大谷越えも夢じゃないほどの速さで。

バゴォーン!!

カメラが勢い良く倒れた

「冴ーー!!!!!」

その瞬間ブチりと画面が暗くなり一言文字が映し出された。


『配信はトラブルにより強制終了終了しました。消費購入ページは概要欄からよろしくお願いします。』


後このグッズ達は飛ぶ鳥を落とす勢いで売れたそうな。

カイザーぬいはネスが回収していきました。リユースです


終わり

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