テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
🌷言葉を閉ざす理由 「ティア、いつも楽しいお話をしてくれてありがとう、でもあなたには幻聴も聞こえるのよね、あなたにしか聞こえない声がなんて言っているのかもわたしに話してくれない?あなたの精神疾患を治療するのにとても大切な情報なの」ミリアがそう言った途端ティアの心は凍りつきました。今まで幻聴から耳をふさぐように行動で逃げてきたのです。言えるわけがありません。ティアは自然に話すことしかできないのです。「ティア?」ティアはうつむいて黙り込んでしまいました。「嫌なことを聞いてごめんなさい、でも幻聴の内容がわからないとティアが何にそんなに傷ついているのかもわからなくて、ティアのお話は楽しいわ、夫が言っていた通りよ、楽しいお話を日記に書いてくれる子だったって、でもあなたの今の行動は身体抑制が必要な程危険なの、子供の頃は行動で幻聴を紛らわすことが通用してしまったとしても、今のあなたはもう違うんじゃない?話す内容も子供の頃の思い出だもの」ミリアはティアにとっては少しきついかも知れないけれど言いました。「先生が児童精神科の先生が言っていた先生の奥様だったんですか?この精神障がい者施設で先生の奥様が働いているとは聞いていましたけど」ティアははっとしました。だから、ミリアはティアをここまで気にかけるのでしょうか?「そうよ、ティアお願いだからもう幻聴の内容を話して、夫もあなたから聞き出すことができないままで、あなたは言葉を部分的に閉ざしたまま、この施設に来たわ、わたしがあなたの心を傷つける幻聴と話をしてみるから教えて?」ミリアがどんなに言ってもティアは再び黙り込んでしまいました。
長い沈黙。「ごめんなさい、今日はここまでにするわ」ミリアには他にも仕事があり、ティアのためだけに時間を割けないのです。ミリアがそう言ったので、ティアは何も言わずに診察室を出て行ってしまいました。普段は礼儀正しいティアがそんな状態になったり、暴れたりして、行動で言葉を閉ざす理由はなんなのでしょうか?