テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
18,280
155
108
haru
176
春。
桜が風に乗って散っていく。
高校の入学式を終えたばかりの生徒たちで校門は賑わっていた。
そんな中。
「ついに始まるぞー!!!」
じゃぱぱが勢いよく拳を突き上げた。
1人だけやたら五月蝿い声が響く。
「うるさいなー、まったく」
もふが面倒くさそうに返す。
「まだ入学式終わってすぐやぞ」
たっつんも呆れたようにため息混じりで言う
「元気ですねぇ」
騒がしい中でのあはにこにこと笑いながらじゃぱぱを見る。
次々と飛んでくるツッコミにも全く動じず
じゃぱぱは満面の笑みを浮かべた。
「だってさ!!」
「今日からシェアハウスだよ!?」
その一言で周りも少しだけ表情を和らげる。
今日から、高校生活と同時に、12人での共同生活が始まる。
「絶対うるさくなりますねー、」
のあが苦笑する。
「なるな」
「なりますね」
「なるなぁ」
満場一致だった。
「俺静かに暮らしたいんやけど」
たっつんがぼやく。
「無理だろ」
うりが即答した。
「なんでや!」
「お前が一番うるさいから」
「はぁ!?」
さっそくうりとたっつんの言い争いが始まる。
周りはすっかり慣れてしまったのかこんな事では動じないようになってしまった。
「暴力女止めろ!!」
「誰が暴力女じゃ!!」
「お前や!!」
自分には関係ないだろうと思ってたえとにも飛び火してさらに騒がしくなる。
「もううるさいんだけどー笑笑」
ゆあんが困ったように、でも顔は笑いながら制止しようと試みる。
「もう帰りたいんだけど笑」
ヒロが小さく呟いた。
「まだ始まってもないのにー??」
シヴァがケラケラと笑う。
「大丈夫ですよ」
なおきりも穏やかに微笑む。
「きっと楽しいですから」
その言葉に、どぬくが大きく頷いた。
「楽しみだねぇ~」
ふわりと揺れる白い狐の尻尾。
それを見たるなが目を輝かせる。
「もふくん見てください!!」
「すーっごくふわふわでかわいいです!!」
「知ってます」
もふは即答する。
どぬくが可愛いことなんて周知の事実だろ?って顔をしながら。
「触っていい?」
「ダメです」
「なんでですか!?」
騒がしい。
本当に騒がしい。
でも不思議と嫌じゃなかった。
「よし!!」
じゃぱぱが手を叩く。
その音で騒がしかった言い争いも止まる。
「高校生活もシェアハウスも全力で楽しむぞーー!!」
「おーー!!」
何人かが返事をする。
何人かはしていない。
でもみんな笑っていた。
まだ誰も知らない。
この一年で、
それぞれが抱えている傷や悩みと向き合うことになることを。
そして
みんなのヒーローである一人の少年が、
誰かに救われる日が来ることを。
コメント
1件
わあ、すごく賑やかで温かい始まり方ですね……!それぞれの個性がもうバチッと伝わってきて、12人それぞれの関係性がこれからどう動いていくのか、すごく気になります。特に最後の「まだ誰も知らない」の一文が、この賑やかさの裏にある影を予感させて、ドキッとしました。これからが楽しみです🌷