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・本人様関係ありません
・アンチやめてください
・BLです(lr愛されです)
・口調注意⚠️
・ギャングの名前が思いつかなくてリコリスの名前借りてますが、MAD town関係ないです。もし気分が害された方がいたらお教え願います🙇♂️
〜設定などは1話をご参照ください〜
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kn『』
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ピピッ、ピピッ——。
目覚まし時計の音で、ローレンは目を覚ました。
胸の奥に、妙な重さが残っている。
……夢だ。
しかも、数年前の。
———数年前。
「叶さん!! おはようございます!」
『お〜。
ローレン、おはよぉ〜』
「今日も相変わらず緩いっすね、叶さん」
『えぇ?
そうかな〜。そんなことないと思うけどなぁ』
叶さんは、俺の直属の上司だった。
雰囲気はいつも柔らかくて、どこか掴みどころがない。
それなのに——
IGLの判断は的確で、
牢屋対応は完璧、
銃のエイムは誰よりも正確。
車の運転も、街一番だった。
俗に言う「完璧」。
その言葉が、これ以上似合う人はいなかった。
市民からも、
ギャングの連中からさえも、
彼は頼られていた。
……でも。
ある日を境に、叶さんは変わった。
「かなえさーん。
今日、飯行きましょ!」
『……ごめん、ローレン。
また今度』
「……?
あ、了解っす!」
その日からだ。
飯に誘っても、
エイムの練習に誘っても、
パトロールに誘っても。
——全部、断られた。
気づけば、
俺は叶さんと、ほとんど話さなくなっていた。
そして、ある日。
警察署内の全員が、一斉に呼び出された。
【叶警部補は、汚職により退職した】
……一瞬、意味が分からなかった。
署内は当然のように荒れた。
怒号、困惑、否定の声。
叶という存在は、それほど大きかった。
彼がいないだけで、
いつも通り回っていた職務は崩れ、
市民からは「叶を返せ」と怒鳴られ、
辞めていく職員も続出した。
そんな中で、囁かれた噂。
【叶さん、ギャングに入ったらしいよ】
——は?
耳を疑った。
闇落ち?
あの人が?
……あり得ない。
絶対にデマだ。
そう思っていた。
——その日の、夜までは。
〈ローレン!!
そっちに敵が一人向かった!
それでラストだ!〉
「了解!」
バン、バン。
「……よし。
敵、殲滅完了」
煙の向こうで、倒れている影が見えた。
——赤い服。
嫌な予感がして、近づく。
「……え」
息が止まった。
そこに倒れていたのは、
赤い服を身に纏った——叶さんだった。
「……叶、さん……?」
意識はなく、
抵抗の痕跡もない。
俺たちは、
何も言えないまま、彼を署へ連れ帰った。
ローレンは、ずっと目を閉じたままの叶を見つめていた。
——なんでだよ。
——なんで、闇堕ちなんて。
『……ローレン?』
低く、静かな声。
聞き慣れたはずの声なのに、ひどく遠く感じた。
ローレンは息を整え、静かに問いかけた。
「……なんで、こんな姿してんだ?」
『………』
返事はない。
ただ、重たい沈黙だけが二人の間に落ちていく。
その沈黙が、ローレンの胸を締め付けた。
「……っ」
気づけば、声が震えていた。
「俺は……!
あんたを信じてた!」
拳を握りしめ、感情を押さえきれずに叫ぶ。
「あんたは俺の目標だった!!
ずっと背中追いかけてたんだ!!
なんでだよ……なんでなんだよ!
答えろよ!!」
しばらくして、ようやく叶が口を開いた。
『……ローレン』
その声は、驚くほど落ち着いていた。
『早く切符切って。
プリズン送ってよ』
「……は?」
『警察官なんでしょ。
それが、君の仕事だ』
「おい……!
話逸らすなよ!!」
だが、叶はそれ以上何も言わなかった。
ただ静かに、
ローレンが動くのを待っていた。
——もう、これ以上は何も言わない。
そう悟った瞬間、
ローレンの中で何かが、音を立てて折れた。
無言のまま、切符を書く。
「……プリズン、1時間」
淡々とした声。
感情を押し殺した声。
連行される直前、
叶はふと立ち止まり、ローレンを見た。
『ローレン』
ほんの一瞬、
昔と同じ優しい目をした気がした。
『君も……
いずれ分かるよ』
その言葉だけを残して、
叶は歩き出した。
——その背中を、
ローレンは最後まで見送ることができなかった。
ピピッ。
「おはようございます。
ローレン、出勤しました」
(おはよ〜)
(おはよー)
(おはようございます)
無線越しに、いつもと同じ声が返ってくる。
——なのに。
ローレンは、少しも安心できなかった。
署内に漂う、言葉にできないざわつき。
音はいつも通りなのに、空気だけが噛み合っていない。
ローレンは何も言わず、いつも通りの仕事を始めた。
仲間の車両点検。
ヘリの整備確認。
指名手配書の整理。
麻薬精製場の定期パトロール。
銀行強盗への即応。
疲弊した仲間のメンタルケア。
一つ一つ、完璧にこなす。
誰かが欠けないように。
警察が崩れないように。
——いつも通りだ。
それなのに。
胸の奥に、重たいものが沈んだまま消えない。
(……何かが違う)
理由は分からない。
根拠もない。
ただ、嫌な予感だけが、
じわじわと神経を侵食していた。
まるで——
嵐の前の、異様な静けさみたいに。
ローレンは、無線機に触れたまま、
静かに息を吐いた。
(……頼むから、杞憂であってくれ)
建物を揺らす爆音と同時に、
ビビーーー、ビビーーー——
警報が、街中にけたたましく鳴り響いた。
「……来たか」
この街最大規模の銀行強盗。
ローレンが対応したのは、これで三度目になるはずだった。
——いや、違う。
主導で指揮を執るのは、これで二回目だ。
胸の奥が、わずかに軋む。
だが、表情には出さない。
「全員聞け。
正面突入は抑えろ、裏口を警戒。
無線、常時開け。単独行動は禁止だ」
声は、驚くほど冷静だった。
——大丈夫。
(俺なら、できる)
自分に言い聞かせるように、ローレンは息を整える。
次の瞬間。
バン、バン、バン——!
銃声が連続して響いた。
「……っ!」
無線が、一気に騒がしくなる。
(被弾!)
(援護を——)
(——ローレンさん!)
ピ——。
仲間のステータスが、無線から一つ消えた。
「……っ、下がれ!無理するな!」
叫ぶように指示を飛ばす。
だが、状況は悪化する一方だった。
バン、バン、
バン——。
銃声。
倒れる通知音。
途切れていく声。
(……嘘だろ)
歯を食いしばり、ローレンは指示を出し続けた。
「右から回れ!
カバー取れ、絶対に一人になるな!」
——それでも。
次々と、無線が沈黙していく。
胸の奥が、ひどく冷たくなった。
(……まだだ)
(俺が、立ってる)
最後まで、やらなきゃ——。
だが。
視界の端で、閃光が弾けた。
「——っ!」
衝撃。
音。
感覚が、一気に遠のく。
(……あ)
足から力が抜ける。
床に崩れ落ちる感覚だけが、遅れて伝わった。
——くそ。
意識が、暗闇に沈んでいく。
無線の音も、警報も、
すべてが遠ざかって——
ローレンの意識は、そこで完全に途切れた。
終わりです!お疲れ様です!
とても長くなってしまいました🙇
ご愛読ありがとうございます♪
4話へ続きます!