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森の奥深く。木々のざわめきが、戦いの予感を告げていた。黒い鱗をもつ巨大なドラゴンが、四人の冒険者を睨みつける。
「グオオオオオ!!」
その咆哮と共に、口から炎が吹き出す。
熱気が森を揺らし、周囲の枝葉が舞った。
ユウキは剣を握りしめ、黒いオーラをまとった。
『主よ』
頭の中にグラムの声が響く。
「第二形態……解放します!」
黒い光が剣から溢れ、森の空気が振動する。
ミリアは杖を握り、目を見開いた。
「うわっ!?魔力が……すごすぎる!」
カイルも弓を構えながら息を呑む。
「これ……普通じゃないぞ」
レイナが目を細め、微笑む。
「いいね、その調子で」
四人は自然に連携を取った。
ミリアの魔法でドラゴンの注意を引き、カイルの矢が鱗の隙間を狙う。
レイナが猛スピードで接近し、剣撃で足元を封じる。
しかしドラゴンは強大だった。
鋭い爪が振り下ろされ、レイナを吹き飛ばす。
「くっ!」
地面に叩きつけられながらも、レイナは素早く立ち上がる。
ユウキは焦った。
(やばい……本気で戦ってる……!)
グラムが脈打つ。
『主よ、奴は普通のドラゴンではない』
「普通じゃない?」
『魔力を帯びている』
「……魔力?」
ユウキがドラゴンを見つめると、黒いオーラが体を包んでいるのが分かった。
『魔剣の力を使え』
ユウキは深呼吸し、剣に意識を集中させる。
目を閉じた瞬間、全身の力が黒い光と共に震えた。
身体の奥底から未知の力が溢れ出す。
黒い光が剣を覆い、闇と雷のようなエネルギーが弾ける。
「行きます!」
ユウキが地面を蹴る。
ドン!!
一瞬でドラゴンまで距離を詰める。
レイナが目を見開く。
「速い!」
黒い剣が振り下ろされる。
「魔剣技・黒閃斬・真(しん)!!」
ズガァァン!!
黒い斬撃がドラゴンの胸を貫き、衝撃波が森に広がる。
地面が割れ、木々が揺れ、鳥が一斉に飛び立った。
ドラゴンは後退し、悲鳴のような咆哮を上げる。
「グオオオオ!!」
しかし、その鱗の大部分はまだ無傷だった。
「まだだ……」
ユウキは黒いオーラをさらに解放する。
「グラム、全力で頼む!」
『了解、主よ』
剣から放たれる力は、もはや森を飲み込むほどの強烈なオーラとなった。
黒い光が竜巻のように剣先から渦巻き、ドラゴンの周囲を包む。
ミリアが叫ぶ。
「ユウキくん……光がすごすぎる!」
カイルも驚愕の声を上げる。
「やばい……あれが第二形態か……」
ドラゴンは翼を広げ、ブレス攻撃を放つ。
於田縫紀
しめさば
2,250
「グオオオオ!!」
灼熱の炎が森を焦がす。
ユウキは素早く横に飛び、剣で炎を弾き飛ばす。
黒い光が炎を切り裂き、影と炎の中にユウキが浮かぶ。
「これで終わりだ!」
ユウキは叫ぶ。
「黒閃斬・極(きょく)!!」
黒い竜巻状の斬撃がドラゴンを完全に包み込み、鱗を引き裂く。
ドラゴンの咆哮が森に響き渡る。
その巨体が大地に崩れ落ちる瞬間、衝撃で森が揺れ、土埃が舞い上がった。
四人は森の中で呼吸を整える。
「……終わったのか?」
ミリアが駆け寄る。
「ユウキくん、すごすぎる!」
カイルも弓を下ろし、安堵の息をつく。
「新人でここまでできるとは……」
レイナがユウキの肩を叩く。
「さすがだね、魔剣士」
ユウキは照れくさそうに笑った。
「いや……みんなのおかげです」
その時、ドラゴンの影から弱々しい声が聞こえる。
「助けて……」
四人が振り向くと、倒れたドラゴンの下敷きになった村人がいた。
ユウキが駆け寄り、剣を使わず慎重に救出する。
レイナが微笑む。
「これで一件落着……だけど」
ユウキを見る。
「主役はユウキだね」
森の中、光が差し込む。
黒い剣グラムが輝き、ユウキの背中に風が吹き抜けた。
落ちこぼれ高校生だった少年は、
この瞬間、真の魔剣士として覚醒した。
そして――
「……まだまだ、これからだ」
ユウキは心の中で呟いた。