日常・非日常

渡辺が、それとなく、目黒を避けている。目黒は、聞こうか考えている。問い詰めても言わないことがある。痩せた風ではない。厄介事ではなさそうだし、しばらく様子見というところ。

渡辺は、時々、チェーンを握りしめ指輪を掴む。

渡辺が目黒を避けるのは指輪が原因かと思われる。

なかなか何も言わない渡辺に、目黒が、晩ご飯を食べてても、時々触っている。

目黒ー翔太くん、何かあった？

渡辺ー・・何も！

目黒ー言ってるよ？手が。

渡辺ー・・これは・・。

目黒ー俺が、怒るようなこと？

渡辺ーんっんっ。

ソファに逃げた。目黒が、ゆっくり近づいていく。

シーツのみの虫は、中で指輪を握りしめている。

目黒ー言って？

渡辺ーんっ〜んっ。

目黒ー指輪見せて？

渡辺ーんっんっ〜んっ。

目黒ー力ずくってしたくないんだ。

渡辺ーまた、お前のファンだ。

目黒ー何された？

渡辺ー前の指輪、FENDIだったろ？BVLGARIに変えたの知らないみたいだ。

目黒ーで？

渡辺ーあんたのしてるの、FENDI？って聞くから、違う。って言った。

目黒ーじゃあ、何で隠す？

渡辺ーBVLGARIを見て、どうせなら一緒の着けたらいいのに。だから、これが壊れて、しょっぴーはFENDIを買えばいい。

目黒ーそれで？

渡辺ーヒールで踏んで変形した。

目黒ーBVLGARIに持って行こうか。

渡辺ー何で？

目黒ー修理してもらう。

渡辺ー出来るの？

目黒ー貸して。ん〜これは文字が壊れてるね。

渡辺ーごめん。

目黒ーその人、どうしたの？

渡辺ー駐車場の警備員に、捕まってた。

目黒ーBVLGARI、行こうか？

渡辺ーいつ？

目黒ーんっと〜あっ、この日、2人は休みだ。

渡辺ーホント？目黒と一緒にいられる？

目黒ーふふふ、いられる。

渡辺ーゆっくり寝て、起きたらBVLGARIに行って〜

目黒ードライブして帰りにラブホ行って帰って来よう？

渡辺ーん？待て待て、ラブホは行かない。

目黒ーどうかな？行きたくなるかもよ？

渡辺ーばか、家に帰る。

目黒ーこの家ね。

恥ずかしいと、シーツのみの虫になる渡辺。

シーツに潜ろうとする、渡辺を抱き上げ、膝に乗せて抱きしめる。

ほんのり赤い顔をしている。

可愛いだけなんだけど〜と、目黒は思う。

目黒ー何ですぐに言わない？

渡辺ーこんなにしてしまって、怒ると思って。

目黒ー翔太くんがしたんじゃないでしよ？

渡辺ーそれに2度目だし。

目黒ー前は、俺のも、取られたでしょ？

渡辺ー良くないのかな？着けてるの。

目黒ーだめだよ、結婚指輪なんだから。

渡辺ーん。

目黒ーごめんね、俺のファンのせいで、嫌な思いして。

渡辺ー謝るな、お前が悪いわけじゃない。

目黒ーんっ、可愛い。

渡辺ーもっと。

目黒ーんっんっ。

渡辺ーふふふ。

シーツを剥いで、服も剥いで、シーツの上に寝かせて上に覆い被さる。

渡辺が、目黒の服を脱がしていく。

裸で重なり合う。今日はチェーンを外している。テーブルに置いてある。

首筋にキスを受け横を向いて見える指輪。

歪んだ渡辺の指輪。寂しくなる。特注じゃないから新品の同じのがあるだろう。でも、渡辺の指輪は目黒と一緒に買った、あの変形したやつなのだ。

目黒ー泣かないよ？

渡辺ーんっんっ〜んっんっ。

目黒ー新しいの、2人で選ぼう？

渡辺ーあ・・れは？

目黒ー仕舞っとく。どこか行くときに着けるかも。違うデザインのやつ、買おう？

渡辺ーんっ。

渡辺ーはぁ・・んっんっ・・。

渡辺の両手を頭上で一纏めにして、首から鎖骨を舐め、脇を舐め胸を齧る。

渡辺ーはぁ・・いい・・もっと・・。

胸を舐め先端の飾りを口の中で転がし齧る。

渡辺の物が主張してくる。先端から透明な液が溢れている。

渡辺ーんっんっ〜はぁ・・はぁ・・。

目黒ーいい顔してる。

渡辺ーん、気持ちいい・・たまんない・・。

そう言いながら腰を振り誘う。

渡辺の物から出た、透明の液を後ろに塗り込める。指を挿れる。

渡辺ーあっ・・あっ・・はぁ・・はやく・・目黒を挿れて・・。

目黒ーゆっくりね。

渡辺ーやっ・・はやく・・奥が疼く・・。

渡辺ーはぁ・・はぁ・・もっと・・強く・・きて・・。

腰をゆっくり回しながら、目黒を誘う。キスして欲しいサイン、唇を舐めている。

熱いキス。何度もキス。

目黒ー凄い締め付け。

渡辺ーんっんっ・・いい？

目黒ーもっとしていい？

渡辺が頷くと、腰を掴み突き上げる。何度も何度も。

渡辺は荒い呼吸音しか出ない。

もうすぐ、奥が弾ける。

渡辺ーはぁはぁ・・はぁ・・はぁ・・あっ・・くる・・くる・・。

弾けるときがきた。

渡辺は腰を振り、目黒は突き上げる。見つめて微笑み、キスをして、渡辺は弾ける。

渡辺ーはぁはぁ・・良かった？

目黒ー最高。

渡辺ーふふふ。好き。

目黒ー愛してる、翔太。

渡辺ーん、好き、れん。

目黒は、渡辺に「好き」は言わない。好きが、いっぱいあるから。渡辺の「好き」は1個だけ。2人の「愛してる」と「好き」は同じことなのだ。

新しいシーツに渡辺は包まる。

目黒が優しく身体を撫でながら聞く。

目黒ー何で、みの虫？

渡辺ーなんか、今日、恥ずかしかった。

目黒ー今更、何を言うかな。

渡辺ーまだ、奥が疼くし。

目黒ーじゃあ・・。

渡辺ーだめ、もう遅いから、抱きしめて？

目黒ーもぅ！

後日、2人はBVLGARIに行き、タイプの違うデザインを選んだ。3度目の結婚指輪だ。

チェーンも、ちょっと太くなった。渡辺が、「目黒に、よく似合う」と言う。

帰り道に、お洒落なラブホ、黙って目黒はハンドルを切る。

車は、ホテルに、吸い込まれて行った。