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〔第二章:広がる噂〕
僕が家を出ると、彼女が家の前で待っていた。
昨日、罰ゲームによって嘘の告白をしたところ、OKされてしまったのだ。
「おはよっ!秋羅くん、」
「おはよ…葵、ちゃん…」
「秋羅くん緊張してんのっ?まぁ、無理もないかぁ…」
久しぶりに話したのか、緊張の余り、声が震える。
「まぁ、私も少し緊張してるしね…?」
彼女が緊張だなんて意外だ。
なぜなら月に一度、風紀委員会の報告を全校生徒の前で発表する時があるから。
だから、風紀委員長も緊張するのだと、意外に思ってしまったのだ。
「それより学校行こっ?」
すると、彼女は僕の手を握った。
「えっ…⁉︎」
「ん?あぁ、ごめん、嫌だった?」
「あ、いや、大丈夫、びっくりしただけだし…」
「それなら良いんだけどさ…、」
そう言うと、彼女は手を握り直し、歩き出した。
一緒に歩いてるうちに、会話が盛り上がり、気付けば学校についていた。
僕は6−1、彼女は6−3とクラスは離れているものの、玄関口から教室まで少し距離はある。
靴を履き替え終わると、彼女がひょこっと顔を出した。
そして、「教室行こっ?」とだけ言い、歩いていってしまった。
僕は慌てて彼女を追いかけたが、実は裏で待っていて、慌てる必要はなかったようだ。
登校中に話した話題の続きを話していると、周りがざわつき始めた。
きっと僕たちの関係が気になるのだろう。
彼女も気にする様子はなく、周りは気にせず教室へ向かった。
すると、いきなり、「ねぇ、今日の放課後風紀委員の仕事があってさ、先帰ってていいよ、」と口にした。
いつもなら「OK、分かった」と口にしてしまいそうだが、「明らかに彼氏としておかしいんじゃないの?」と言われそうだ。
彼氏になったからには彼女に発する言葉の気遣いも考えなくては。
「ううん、待ってるよ?なんなら、仕事手伝おうか?役に立てればの話だけど……」
「えっ!?いいの⁉︎私のこと気遣ってくれなくたって良いよっ?」
彼女は慌てた様子で言う。
実際、放課後は予定がなく、暇なので問題はない。
「良いんだ、大丈夫、予定ないし、」
少し心配したような顔をして、「じゃ、じゃあ迷惑じゃないなら…お言葉に甘えて…」
そう言って、スタスタと教室に入って行ってしまった。
時間を見ると、8:15だった。
朝礼まで5分しかないと今更気付き、すぐに支度を終わらせた。
でも、地獄はこれからだった…
・・・
思った通り、二時間目休みは彼女との関係のことで質問攻め。
僕のことなんて気にせずに。
僕には関係ない、適当に受け流そう、疲れるだけだ。
でも、何か忘れてるような…?
ふと彼女のことが浮かぶ。
「あっ⁉︎」
そうだ、僕だけじゃない、彼女もだ。
3組だって優しい奴の集まりでもない、1組に似たようなものだ。
彼女の様子を見に、恐る恐る3組を覗く。
案の定、彼女の周りは人がどっと押し寄せてきていて、彼女は俯いたまま顔を赤くしている。
やるしかない、彼女を困らせたくない。
僕が巻き込んでしまったからには、困らせるわけにはいかない。
「葵ちゃん!」
「秋羅くん⁉︎」
僕は彼女の手を取り、走り出した。
・・・
少し走った後、後ろを確認したが、誰も追ってくる様子はなく少しホッとした。
「あり…がと…」
彼女が恥ずかしそうに僕に言った。
「ううん、僕も同じだったから、状況が」
「そ、そうなのっ?」
「うん」
「いやぁ、秋羅くんが来るとは思ってなかったから、ちょっとびっくりしちゃったし、それに…」
「それに…?」
「あぁぁぁぁ、いやいやいや、ごめんごめん、なんでもない、なんでもない」
「…?」
「それより、ありがとねっ?」
そう言って、走り去っていってしまった。
そして、二時間目休みの終わりのチャイムが鳴った。