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アウリス、シュバルツァーは、指定された基地南東部の演習場にLAVを走らせていた「ハッシュ…お前、よく商談吹っかけたな」
アウリスが笑いながら荷台の装備品を見る
「仕方ないだろ?こうすれば、どう転んでも利益はあるんだ」
シュバルツァーは片手間に運転しながら返す
「そろそろじゃないか?」
アウリスがハッチから身を乗り出して、外を見た
「そうみたいだな」
シュバルツァーは軽くブレーキを踏む
LAVは緩やかに速度を落として、停車する
「実演販売をしてくれるんだろう?ここには基地の高官のほとんどがいるんだ。さぞ面白いものを見せてくれるんだろうな」
さっきの基地司令がLAVの開いている運転席の窓に肘を置き、声をかけた
「アレを撃ってくれ」
司令官が指を差した先には標的機であろう小型機が空を駆けていた
「わかった」
シュバルツァーはそう言いながら重々しいコッキングハンドルをジャキッと引いた
ガチャン!
薬室に20ミリ砲弾が送り込まれる
ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!
5発の20ミリ砲弾が大空に飛翔する
標的機は砲弾を軽やかに旋回し、かわしていく
「外してるぞ?」
基地司令が皆に聞こえる声で言う
パキィィン
標的機の数メートル先で砲弾が甲高い音を立てながら破裂する
「なっ……?」
標的機を見ていた周囲の将校が目を丸くする
さらに
パキィィン
パキィィン
と標的機の周囲で次々と炸裂していく
「何が外してるって?」
シュバルツァーが周りを見て言った
「少なくとも外してるように見えたがな」
「まぁそう見えるよな」
アウリスは窓からひょこっと顔を出して司令官に言う
「だが、あれでいい」
「何を言ってるんだ?所詮時限信管と一緒だろう」
司令官が不思議そうに二人を見る
「全然違うぞ?」
シュバルツァーが説明し始める
「近接信管は、自分で電波を発して敵の位置を判断、そして最適距離で爆発する。
そして時限信管、これは決まった時間に、決まった通りに爆発するだろ?最初に一から十まで教えてやらないといけない」
「つまり?」
司令官が聞き返す
「いくら大量に撃ったとて、敵が動けば時限信管はそんな事を知らずに爆発する」
シュバルツァーは空を見上げる
その空には黒煙を吐きながら高度が落ちている標的機が見えた
「近接信管は敵が近くを通るだけで爆発する」
「しかし、無誘導だろ?」
「そうだ」
「回避されたらどうするんだ?」
司令官が問いかける
「だから5発撃ったんだ」
シュバルツァーは笑いながら返す
「そうか…そうだな!」
司令官は人が変わったかのように笑った
そして澄んだ青い空を見上げる
「そうだな…」
司令官は周囲の将校を見渡す
よし!実演はもういい、反対する将校は黙らせてやろう!」
演習場に来ていた将校らが目を丸くする
ざわ…ざわざわ…
周囲の将校から、困惑、驚愕、興奮、疑念と言った感情が手に取るように見える
「司令!買うんですか!?」
将校の誰かが叫ぶ
「乗らねばいけないだろう、この商談には」
司令官は興奮を隠すように、平静を装って答える
司令官、シュバルツァーは共に口角が上がる
「どうですか?我が国は色々と取り揃えてますよ」
シュバルツァーが手をこまねきながら返す
「何を取り揃えてるんだ?」
司令官が聞き返す
「色々です、ここに合うか分かりませんから」
「そうか」
「えぇそれでは…静かなところにいきませんか?司令、ここじゃ何かと不便ですし」
シュバルツァーがニヤリと笑いながら司令に諭す
「そうだな…どこに行くんだ?」
「我が国に来ますか?」
「それはまだやめておこう」
司令はすぐには首を縦に振らなかった
「兵舎に戻ろうじゃないか…とても面白い」
「了解しました、先に行っときますね」
シュバルツァーは簡潔に返事をした
ブロロロロロ
LAVが走り出した
それを挟むように基地の車両が走っている
「この商談…手を間違えれば、全てが終わる」
司令官が重々しい表情で呟いた
「司令!本当に買うんですか!」
LAVの後ろ、四輪駆動車の車内で司令補佐が声を荒げていた
「落ち着け」
司令の言葉は短い、しかし重かった
「なぜ…なぜ!あんな素性の知れぬ奴らの口車に乗るんですか!」
補佐は声を荒げている
司令官はしばらく黙ったままだった
「口車か…よく言ったものだな」
「なに言ってるんですか!突然現れた得体の知れないのに、そんな奴の武器を買うんですか?」
「今まででどれだけ死んだ…」
司令官は拳を握りしめた
「はい?」
「今までで何人死んだと聞いたんだ!」
司令官の怒声が車内に響いた
無線でそれを聞いていた先頭の車両も、車内の全員が口を閉ざした
「…………」
補佐は言葉を失っている
司令官は荒い息を吐きながら、補佐を見つめる
「答えてみろ!」
「……分かりません」
「答えろと言ってるんだ!」
「……欧州だけで4億、アジアで20億です」
司令官は拳を握りしめながら続ける
「軍だけでも……もう6000万はいなくなった!
奴らに殺されたんだ!それを供養すると言うのならば!奴らを全て屠らなければならない!」
誰も口を開けない
「命に意味があるのならば…意味を持たせられるのならば!我々はやらねばいけないんだ!」
「司令官…それはわかります…ですが……ですが!我々だけでやらねば死んでいった仲間に顔向けができません!」
補佐が…重々しく口を開く
「黙れ!」
「英霊達に顔向けができないだと?無様に散っていった仲間はどうした!弾がなくて死んだ仲間は!それを弔うのならば!私はここを売ったっていい!」
司令官は声を荒げた、そして窓の外に顔を向けた
「…………もうすぐつきますよ」
運転手が少し震える声で言う
「……そうか」
司令官は短く答えた
先ほどまで荒れていた車内には、重々しい沈黙が漂っていた
誰も口を開かない
窓の外の景色が遠くなっていく…
やがて前方に見知った建物が見えた
兵舎だ
四駆がゆっくり減速する
キィィィ……
ブレーキの音と共に四駆は止まる
「ハルトマン、さっきの話だが……」
司令官が口を開く
「はい」
司令官は少し目を閉じる
「我々は多くを失った。
だが失ったままでは…彼らに顔向けができない」補佐は黙って司令官を見る
「散っていった英霊達に顔向けするために、若者の未来を捨てる事が弔いになるのか、私には分からない」
「司令…」
司令官はドアを開ける
「あいつらの技術が我々を救えるのならば」
司令官は車外に出る
「私はそれを手に入れる」
補佐もそれに続いて降りた
「ハルトマン、この世界の状況、そしてここ、第Ⅰセーフハウス、アークの状況もだ」
司令官は補佐に指示をだす
「了解です」
「たとえ…なにかを失うことがあっても、私はそれよりも利益が高くつくはずだ」
その視線の先、先に止まっていたLAVはエンジンを切り、シュバルツァー達が降りていた
「司令さんよぉ…商談の続き、しましょうよ」
司令官は呆れた表情になり
「お前達は本当に食えないな」
「褒め言葉として受け取っておくよ」
シュバルツァーがそう返した
コメント
1件
**美月ゆめか🌸:** うわああ最新話読み終えたよ〜!!😭💕 実演販売ってタイトルからして渋いけど、まさか近接信管のデモンストレーションがこんなに熱くなるとは思わなかった!司令官の「英霊達に顔向けできねえ」って台詞が重すぎて胸にきた…戦争で失ったものの大きさ感じる。シュバルツァーとアウリスのコンビも渋くてかっこいいし、この商談の行方めっちゃ気になる!次の話も待ってるよ〜🔥✨