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最高すぎます!! 桜ちゃん、めっちゃ可愛い!!
「はっ……はい」
「嫌だったら言って?」
蒼さんにキスされて、嫌なわけない。
それ以上のことも怖くないし、蒼さんにならもっと触れてほしい。
今日は誕生日。特別な日だから――。
少しくらい我儘になっても良いよね。
「蒼さんならどんなことされても怖くないです……。もっと触れてほしい」
「……。止めてほしいって言われても、もう無理だから」
蒼さんから優しくキスをされる。
「んっ……」
口の中で彼の舌に触れる。
「んんっ……。はぁっ」
舌と舌が絡まり合って――。
気持ち良くて何も考えられなくなる。
蒼さんの手が私の身体に優しく触れた。
パジャマもはだけて、脱がされていく。
「んぁっ……」
敏感なところに触れられ、吐息が漏れる。
「桜、大好きだよ」
「私も……。大好きです」
その後は蒼さんに身体ごと一晩中愛された。
次の日、起きると彼が隣に寝ていた。
綺麗な顔だな。
しばらく彼の顔を見つめ、楽しかった昨日の出来事を思い出す。
次第に夜の記憶が鮮明になり、恥ずかしくなってしまった。
あああっ。蒼さんと……。
あんなこととかしちゃったんだよね。
でもっ!
付き合ってるし、好き同士だから悪いことしたわけじゃないし。
はっ!もしも遥さんに<昨日の夜はあの後どうしたの?>とか聞かれたら、何て答えればいいんだろ。
大切な弟さんと、私っ……。
頭を抱えていると
「おはよ。桜」
蒼さんも起きたみたいだった。
「おおおおおはようございますっ!」
「元気そうだけど……。今日とか身体、痛くない?大丈夫?」
「あっ。はい!大丈夫です。昨日はとっても気持ち良くてっ!!」
あ……。
私、また何を言ってるんだろ。
顔を手で覆っていると、彼が手を取り
「それは良かった。じゃあ、今から夜の続きする?」
いたずらに彼はそう言った。
「へっ!?あのっ……。今日はもう満足と言うかっ……」
「そっか。それは残念」
彼は目を細くして、寂しそうな表情を浮かべた。
「蒼さん!その顔は反則です!」
数日後――。
今日は、遥さんからランチに誘われている。
社内で一緒に食べるの、久し振りだな。
「んで、蒼とはあの後なんかあった?」
ご飯を食べ終わりお茶を飲んでいると、遥さんから小声で囁かれた。
「んぐっ!!」
お茶が上手く飲み込めず、咽てしまった。
「ヤることはやった?」
なんてストレートな質問をしてくるんだろう、さすが遥さんだ。
「実は……」
私が答えられる範囲で伝えると
「そう!それは良かった!蘭子ママも早く孫の顔が見たいって言ってたわよ」
孫の顔っ!?まだまだ先の話すぎる。
「あとね、一つだけ聞きたいことがあって?」
「なんですか?」
遥さんは一呼吸置き
「蒼の仕事は……。理解してもらえないことも多いの。重い話になるかもしれないけど、うちの両親もまだ認めてないくらい。桜もご両親とか友達に聞かれた時も説明するの大変なんじゃないかって思って」
蒼さんの仕事……。
蒼さんにも前に聞かれた時がある。
<もしも桜がこういう仕事が嫌だって言うのなら、キャスト《椿》を辞めることも考えてる>って言ってくれた。
「私は、蒼さんも椿さんも大好きです。だから私はSTARの仕事は辞めてほしいとは思わないし、もしも家族とか友達が理解してくれなかったとしても、わかってもらえるまで何度も話し合います。椿さんに出逢わなかったら、蒼さんとも仲良くなれなかったと思うし……。STARで働いている蒼さんが大好きです。椿さんは私が今でも憧れているオネエさんです」
もしも蒼さんのことを汚す人がいたら、私が守るんだ。
「はぁ。蒼のこと、大好き大好きって言い過ぎよ。私も昔は桜のようにもっとピュアだったのかなぁ……。二人のこと応援してるから。何か悩んだりしたらちゃんと相談しなさいよ」
「はい!」
その日は残業もなく、遥さんも外勤ではなかったため、駅まで一緒に帰ることになった。
「お疲れ様。あぁ。疲れた。早く帰ろう」
支度をした遥さんが私の席まで迎えに来てくれた。
「はい。帰りましょう」
退勤し、エントランスを出る。
二人で駅方面へ歩いて行こうとすると
「げっ!!」
遥さんが声を上げ、立ち止まった。
「どうしたんですか?」
目線の先を見ると
「蒼さんっ!!」
蒼さんが立っていた。
嬉しくて、彼のところまで走る。
「蒼さん、どうしてここにいるんですか?」
「お疲れ様。今日は休みだし、桜を迎えに来た。迷惑だった?」
「迷惑なんかじゃないです。とても嬉し……」
「迷惑よ!せっかく桜と二人で帰れると思ったのに!邪魔者!!」
遥さんの眉間にシワが寄っている。
「はぁ?自分の大切な彼女を迎えに来て、何が悪いんだよ。姉ちゃんこそ空気読め」
蒼さんって普段大人だけど、遥さんの前だと弟って感じで可愛らしいな。
フフっと笑ってしまう。
蒼さんと遥さんと途中まで三人で帰り
「じゃあ、また明日ね!」
駅で遥さんと別れた。
「さぁ、帰ろうか?」
蒼さんが手を差し伸べてくれた。
「はい!」
しっかりとその手を握る。
私はもう一人じゃない。たくさんの人に支えてもらっている。
二人なら傷付いた過去も乗り越えられる。
「ずっと一緒」の約束も、彼だから信じることができるんだ――。
<終わり>