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戻れない関係、濁った愛。

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戻れない関係、濁った愛。

2 - 【1】いつもと違う日。

♥

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2023年08月20日

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西の空が深い赤に染まってきた頃、俺は家の前で立ち止まっていた。

今日もあいつと顔を合わせないといけない。

ふぅっ、と息を吐き出して、玄関の扉を開けた。

『…ただいま』

もちろん『おかえり』だなんて返ってくることもない。

電気もついてないリビングに、るぅとがソファで寝ていた。

ここ最近は、まじまじと顔を見ることもなかったから、なんだか変な感じがする。

近くにあった毛布をかけると、ビクッと反応した。

起こしてしまったようで、うっすらと目を開ける。

『ごめん、起こした?』

『別に、大丈夫』

『そ、ならよかった』

これだけで、俺らの会話は終わってしまう。

お互い干渉しない生活。

これが当たり前になってしまった。

だが、今日は少し違ったようで。

『…ッ待って』

『何?』

気持ちとは裏腹に出る低く、面倒くさそうな声。

『少しだけ…隣居て』

『…は?』

『?!…ごめん』

流れる沈黙が空気を重くする。

『しゃーねぇーな』

上に羽織っていた薄手のブラウスを脱ぎ、隣に座った。

隣を見れば顔を赤くしたるぅと。

珍しいな、なんて思っていると、肩にぐっと体重がのし掛かる。

え、寝た?

心配になって顔を覗き込むと、なんだか息が荒く感じられた。

まさか…

額に手を当てると、意外に熱かった。

こいつ、風邪引いてるな。

理解するまでに時間はかからなかった。

そのままゆっくり抱え、ベッドに運ぶ。

元々軽かったるぅとだが、今日はさらに軽く感じた。

とりあえず、冷えピタ?なんてものはないので、濡らしたタオルと体温計。あと起きたときに薬とご飯…汗かいてたら着替えもいるか、などなどやることが沢山あった。


るぅとは…無理しすぎなんだよ。

濡らしたタオルを隣で絞っている時、ふと思った。

こんな弱々しい体で、色々なことを抱えすぎている。

…って、無理させてんのは俺のせいか。

俺が居るから、るぅとは…

やめやめ。考えたらこっちまで頭痛くなる。

どうせ、いつか終われる。

そう願って、るぅとの頬に軽くキスし部屋を後にした。



『…キスはするんだ、笑』

『本当、そうゆうところだよ。さとみくん。』





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