15年間の一方通行無視
季節は冬。最近出したこたつの中に男2人。
机上には近くのセブンで買ってきたお惣菜の数々。
右手には、アルコール度数3%の白いサワー。
目の前には、大切な幼馴染。
👑「…また喧嘩したん?、笑」
📢「笑い事じゃねぇから…」
👑「まにきも懲りんなぁ…笑」
📢「俺じゃなくてアイツがっ!」
「大体こだわり強すぎんだよ、ちょっとくらいズレてたって問題ねぇだろ…」
👑「まぁ、らんらんはそういう人やん?笑」
「そゆとこが、」
📢「まあ、そゆとこが好きなんだけど、」
👑「…そう、笑」
📢「この前、ちょっと靴下脱ぎっぱにしただけで、それ今日の朝までねちっこく言ってきたんだからな?」
「まじでしつこいわあ…」
👑「脱ぎっぱはいかんよ〜、笑」
📢「いや4限目まで連続で疲れてたんだよ!」
👑「それは疲れるね、笑」
📢「がちでありえん、今回はマジで口聞かねぇ、」
👑「そのセリフ俺何回聞いたことか、笑」
📢「今回はガチだから」
👑「そのセリフも、笑笑」
そのセリフで、俺が何回期待したことか。
そんで、何回落胆したことか。
📢「…んでぇ、」
👑「…んもお、まにき酔っとるやん、」
「そろそろらんらん呼ぶな?笑」
📢「あー?゛、あんなやつ呼ぶな、」
👑「はいはいもう連絡したから」
📢「いらねぇことすんなよぉ、」
👑「…いらないの?、」
📢「?、はぁ、?…ぁあ、うん、」
👑「…いらないなら、」
俺にちょうだいよ。
俺なら、靴下だって毎日洗濯機にちゃんと入れるし、なんなら洗濯機回して、干して、畳むよ。
手料理だって毎日振る舞っちゃうよ、フレンチだって、イタリアンだって、なんだってマスターしちゃう。
記念日も絶対に忘れない。
毎年なんて言わずに、毎月だって毎日だって祝えちゃうんだから。
だから、いらないなら、ちょうだい。
俺にちょうだいよ。
俺の方が、ずっとずっと昔からあの人のことが好きだったんだから。
👑「…、いらないなんて言わないであげて、」
「らんらん、まにきのこと好きだから傷ついちゃうよ、」
なんて、言えたらよかったのに。
📢「…、ん、」
ピーンポーン
👑「ほら、マニキお迎えだよ、」
📢「…ん、ー知らん」
👑「もぉ、笑、」
🌸「あ、みこっちゃん、」
やめてよ、そんな顔しないでよ。
いるまくんも、貴方も、わかりやすすぎるよ
👑「…、今、マニキじゃなくてちょっと残念がったやろ、笑」
🌸「え、そんなことないって、!」
👑「わかりやすすぎ、笑、」
「お姫様、あっちで拗ねて待ってるよ、笑」
貴方が、靴を脱いで揃える時間。
厚着してきた上着をハンガーに掛ける時間。
持ってきたお詫びの品を俺に渡す時間。
玄関に上がって、キッチンを通って、リビングまで行くこの時間。
今この時間、この空間に、俺と貴方だけだっていうのに、貴方の頭の中は、いつまでもあの人が占拠していて、入れる余地なんてありもしない。
👑「…ほら、マニキ笑」
📢「…みこと知らない人家にあげんなよ〜、」
👑「知らない人じゃないでしょ、」
「ほら、仲直り」
ひょこっとこたつから顔を出して、そんな仕草は、到底俺にはできないもので
📢「…誰すか、」
🌸「君の恋人です、」
📢「…しらないでーす、」
🌸「知らなくないです、」
そう言って、両頬を大きな手で包み込む。
📢「つべた、っ!」
🌸「寒い中迎えにきてやりました、」
📢「さいてい、」
🌸「最低なのはどっちよ、」
👑「こら、喧嘩続行しないの、笑」
🌸「ほら、みこっちゃん怒っちゃったよ、いるまのせいで、」
📢「あ?、お前のせいだろ」
🌸「あ、またお酒飲んだんでしょ」
「首真っ赤になってるよ、」
📢「うっせぇさわんな、」
🌸「もー、かわいくないなあ、」
📢「じゃあ俺じゃなくて別の可愛い人とつきあえばー?」
「みこととか、」
👑「!、」
🌸「…ほんとにいーの?」
📢「…、べつにいいし、」
🌸「いるま、」
いつもよりも、ずっとずっと低くて、甘い声
一度も聞いたことないような声だった。
📢「…、っ、それずるぃ、」
🌸「やっとこっち向いた、笑」
📢「しねよまじ、」
🌸「ほら、みこっちゃんにごめんなさいして帰んぞ」
📢「うっせぇ指図すんな、」
👑「別にええよ、笑」
「慣れとるから」
そう、もう慣れっこだから。
貴方の愚痴も、惚気も、全部全部。
お風呂掃除念入りにするとか、お金の管理厳しいとか、記念日忘れたらしつこく怒るとことか、照れたら、耳まで真っ赤になるとか、1番喜んだプレゼントはお揃いのネックレスだとか、誕生日サプライズのケーキ泣きながら食べてたとか、
もう、耳にタコができちゃう。
貴方の大切で、可愛くて、仕方ない恋人さんでも、忘れてるようなことも、俺は覚えてるよ。
ねえ、世界で1番愛してるよ。
でも、誰よりも貴方を愛してるとか、口が裂けても言えないや。
どう頑張っても、俺はこの人には勝てないから。
季節は回って、春。
俺たちは、大学三年生になった。
ということは、もうすぐ貴方の誕生日が近い。今年は、貴方の実家にみんなで集まって、ホームパーティーをすることになった。
仲のいい共通の友達を呼ぶかともなっていたけど、やっぱり、何の気を遣う必要もない、幼馴染3人で、という結論に至ったらしい。
別に、俺だけは気を遣うって話がしたいわけではない。
俺が勝手に遣ってるだけで、2人が悪いわけでもなんでもないのだ。
けれど、憂鬱になる自分が嫌いだった。
もっと言えば、また貴方の実家に行けると考えただけで、喜んでしまう自分はもっと嫌いだった。
📢「酒たんねぇな、」
🌸「たしかに、」
👑「俺買ってこよか?」
🌸「いや、それは危ないし、」
📢「みことは危ないからやめとけ、俺が行くわ」
🌸「ダメ、」
📢「はぁ?、なんでだよ」
🌸「…ダメ」
👑「…」
📢「じゃあお前が行ってこいよ、みことと桃鉄して待ってるわ」
🌸「…それもダメ、」
📢「は、〜〜?、」
もう、なんでこんなにわかりやすいのに、わかんないのかなあ、笑
呆れちゃうよ、ほんと。
👑「…2人で行ってきなよ笑」
「せっかくの誕生日なんでしょ、笑」
🌸「!、…」
ナイスと言わんばかりに目をキラキラさせるらんらんと、若干申し訳なさそう、でも、満更でもなさそうにこちらを見つめるマニキ。
📢「…あーじゃあ、すぐ戻ってくるわ、」
👑「うん、っ」
季節は春。心地の良い気温。
思えば、貴方と出会ったのもこのくらいの時期。まあ、入学式での一目惚れなんだから当たり前か。
小学一年生から、大学三年生。
6+3+3+3…
15年?、重いなあ…俺。
しっかりと恋心を自覚したのは、中学一年生の時。もう俺の方が高くなってしまったけど、その時は、貴方の方がまだ俺よりも少しだけ大きくて、一回り大きなサイズの学ランを着ていた姿が、鮮明に思い浮かばれる。
クローゼットには、まだ捨てられていないらしい学ランがかかっていた。
しっかり者の貴方にしてはおかしな話だけど、大学からの一人暮らしだし、実家の部屋はまだ高校生の時のままなのかな。
なんて思ってたら、いつのまにか貴方の学ランを手にしてた。
邪な気持ちがないなんて言い切れない。
だって、ずっと好きだった。
でも、一度も貴方はこっちなんて向いてくれなかった。
気づいたら、袖を通していた。
その瞬間、おかしなことに気づいた。
今の俺よりもサイズが大きいのだ。
もしかして大学生になって縮んだ?なんて頭の中が?マークでいっぱいになる。
その数秒後、すべての答え合わせが行われる。
🍵「らん兄〜?、俺そっちに学ラン…」
👑「!、へ、…」
予想外の来客。
お相手は、大好きな貴方の弟君で。
🍵「あ、みことちゃん」
「…て、え、?」
👑「ぁ、こ、これは、…ちがくて、っ」
「、…ちがうの、っ!、らんらんの、片付けようとしてて、っ」
🍵「…それ、らん兄のじゃなくて俺のだよ」
👑「へ、…」
🍵「…相変わらず、らん兄のこと好きなんだ、?笑」
👑「!、…っえ、」
「な、なんで、知ってるの、」
🍵「…認めるんだ?」
👑「…っ、ぁ、」
「、ち、ちが、」
🍵「…違くないでしょ、笑」
「らん兄のだと思って俺の学ラン着たくせに笑」
👑「…、っ、、な、ないしょ、にして、」
🍵「…え、〜どうしよっかな、」
👑「ぉ、おねがぃ…、」
「…ふ、たりと、なかよくしたいの、」
🍵「…じゃあ、俺と付き合ってよ。」
👑「……ん、え、…?、」
🍵「物心ついた時からずっと好きだよ、」
「3歳くらいからだから、15年間くらいかな。」
「重い?、でも、そんくらいがちょうどいいでしょ、笑」
「みこちゃんには。」
コメント
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緑黄はまだかとワクワクしてたら見事やられました🙉🔫💗 桃さんのこと好きなのも苦しいけど、紫さんのことも大切な幼馴染なのがまた辛い😭💧 最後の方の『ふたりとなかよくしたいの』が健気で泣ける😖🫵 てか桃紫供給過多すぎてしにそ。にやにやが止まらんが?? 黄さん15年とかおっも!!って思ってたら3歳から片思いの15年が登場で私 大歓喜だよね🥹💝() 『相変わらず』ってことは昔から知ってた上で好きなんだ。ふーん。ふーーーーん。 最後の『黄ちゃんには。』が全て知り尽くしてる感あって堪らん🥳🥳