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今日はあいにくの雨
窓のステンドグラスに雨粒が伝っている
先生はいつも雨の日が嫌いみたい
少し口がへの字になる
そんな先生を見るのが少しおもしろい
「先生…今日は雨ですね」
「外に出たかったけど……」
目を向けると先生はちょっぴり不機嫌そう
「先生、にっこりしてくださいよ。」
「俺は雨も好きですよ?」
先生はなんで?と言わんばかりに首を少し傾げる
「なんていうか……ずっと同じ天気より、」
「たまにはちがう空?も見たいじゃないですか」
そんな俺の意味不明な言葉に先生は
少し微笑んだような気がした
「あ!先生、今笑いましたよね?」
「先生、雨の日は口がへの字になるから」
「笑っていた方が俺は好きです!」
先生は、はっ としたように指先で口角を上げる
「あははっ!先生、今気づいたんですか?」
「結構前からでしたよ、そうなってるの」
先生はその事を俺が教えてくれないからなのか
少し むすっ とした様な表情を見せた
「あー、怒らないでくださいよ、先生!」
「次、そうなってたら俺が笑顔にしてあげますよ」
そんな事を言う俺にお礼なのか
頭をそっと撫でてくれた
「ちょっ、先生!急にやめてくださいよ!」
俺は少し照れくさい気持ちになるが
先生に頭を撫でられるのは好きだ。
「それで今日は雨ですが……何するんですか?」
先生が教えてくれることはいつも外でやってる
あの穏やかな丘の上
きっと、ずっと前からある大樹
今は前に咲かせた白い花が一面をおおっている
そこで教えてもらっていたけど 今日は無理そうだ
すると先生は椅子に座って、机に向かい
羽のついたペンで紙に文字を書いていく
「なに書いてるんですか?」
俺は覗いてみるとまだ教えてもらってない
難しい文字を沢山書いていた
「え…まさか今日は俺にこれを…?」
先生は ちがう と頭を横に振った
さすがにやらないらしい
「そうですよね…俺にこんなのできるわけない…」
先生はまた俺の頭を撫でた
たぶん「いつかできるよ」という意味なのだろう
そして先生は文字に触れ、静かに思いを込める
その姿はとっても綺麗で何だか消えてしまいそう
先生が消えてしまいそうだと不安に思い
俺は先生の白い服の袖を ぎゅっ と握った
嫌だった。先生が消えるのが1番怖いから。
文字が淡い水色の光を放って
先生の掌に集まっていく
すると透き通っている水の塊ができあがった
その中に何かが動いている
「先生、これは……」
先生から水の塊を受け取ると
中には白い光を纏う、鰭のついた生き物が
ゆらゆらと優雅に泳いでいた
#児童養護施設
ひより
1,999
キヲヌイテ。
43
429
その生き物に俺は目を奪われた
「綺麗ですね……先生」
「また、”おともだち”ですか?」
先生は こくこく と頷く
先生と俺の中で”おともだち”って言うのは
俺が一人で寂しくならないように
先生が生み出してくれる 生き物のことだ
前にしてくれた時は
綿がついて先生と同じ角を持った生き物を
難しい文字を書いて生み出してくれた
今でもちゃんと柵の中でお世話をしている
これも先生が教えたいことなのかな
「えへへ、この子可愛いですね」
「俺の手を追いかけてきますよ?」
先生も にこっ としながら俺の手に触れて
鰭のついた生き物に二人で手を寄せる
「わぁ…ちょっと冷たいような……」
「けどなんだが暖かいですね……」
先生は俺を見て満足そうに微笑んだ
きっと嬉しかったのだろう
「先生…ほんとにありがとうございます!」
「大切にします……」
俺が寂しくならないように考えてくれる
そんな先生が大好き。
あれ?
なんでここにいて”寂しい”って思うんだろ?
…まぁ、いっか!考えないようにしよう