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Homin
42
「エイキ!何してんのー?」
控室のソファに腰掛けたまま振り返ろうとした瞬間、後ろからぎゅっと華奢な腕が首元に絡みついてくる。
機嫌がいいのか今日はいつもより少し弾むような聞き慣れた声。
鼻先をかすめるのは愛おしい、いつもの香り。
「お、ナオ、もう個人撮影終わった?」
振り返るとすぐ近くにフッと微笑む君の顔。
撮影用に丁寧にメイクされたその横顔は、見慣れてるはずなのに息を呑むほど綺麗だ。
「うん!あとは全員のまでちょっと待機!」
「早かったね」
「まぁね♡ナオはモデルやからな♪」
「はいはい、そうやんな。」
半分ふざけながら得意げな顔をする、君のその表情を今まで何回隣で見てきたか。
「ねぇ…エイキ、 ナオちょっと眠いわ」
「昨日もあんまり眠れなかったん?」
「そうなんよ。ナオ大事な仕事の前やと全然寝られへんねん。」
今日はグループ全員で雑誌の撮影の仕事。
その女性誌史上初のボーイズグループの表紙起用ということでメンバー全員少し緊張気味ではあった。
きっと周りからは何でもそつなくこなすように見えているこの人は、実は特別デリケートでもあって、少しプレッシャーのかかる仕事の前はいつも何かと思い悩んでしまうクセがある。
「じゃあナオちょっと寝る?」
ソファの隣をポンポンすると、嬉しそうにすぐ隣にやってきて、迷いもなく俺の肩に寄りかかってくる。
「エイキのここは居心地いいから大好き♡」
「知ってる〜」
何回この肩を君のために貸してきたか。
その度に、どんなにこの胸が締め付けられてきたか。
ーーねぇ、君はどのくらいまで俺の気持ちに気付いてる?
1分も経たないうちにスースーと寝息が聞こえてきて、君は深い眠りに落ちていく。
「寝るの早…ほんとに昨日寝れてなかったんやな。」
ソファに投げ出された手に触れてみる。
君が無邪気に手を取ってくるから、仕事でも、そうじゃない時にも、何回も繋いだことのあるこの手、この細い指。
知ってる、いつもはここにあの指輪があることも。
眠くはないけど、一緒に目を閉じて、手を繋いで、君の寝息を聞く。
この一瞬だけは、時間が止まったみたいに、誰にも邪魔されない二人のための時間。
つづく
コメント
1件
みぅです🤍 うわ……もう冒頭の「エイキのここは居心地いいから大好き♡」ってセリフ、めちゃくちゃ胸にくる……。寝るの早かったナオくんの無防備さと、それを受け止めるエイキの「知ってる〜」って返しが、すごく自然で優しくて。でもエイキの本心は気づいてほしくて気づかれたくなくて……って感じで切ないです……。この「一瞬だけは二人だけの時間」って感覚、すごくわかります。続き読みたいです。