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「何だこれ…」
ベックは驚いた。
今までにこんな綺麗に氷に覆われているものを見るのは初めてだったからだ。
「不思議だよな、これ」
シャンクスも不思議そうに見つめている。
「これが5年前に私が暴走した時に凍ってしまった母です。」
「これが…」
「凍らせた?どういう事だ?」
「あぁ、お頭は話を聞いてないから分からないか、」
ベックは先程少女に聞いた内容をシャンクスに話した。
「なるほどなぁ、」
「お頭はここでずっとこいつを眺めてたのか?」
「あぁ。」
シャンクスは、ここに来た経緯を話した。
「なんか珍しいもんねぇかなぁ〜」
俺は山ん中を散策してたんだ。
そしたら……
「ん?」
「なんだあれ!?」
氷で覆われた家があったんだ。
でも、外側だけで中は普通の家だったんだよ。
そこから散策しようと思って進んで行ったら、
「ここにたどり着いたって訳だ。」
「成程な、」
「…その氷漬けの家、私の家です。」
「まぁ、さっきの話からしてそうだろうな。」
「一旦、私の家に行きましょう。街の人達が見ています。」
ベックたちが見下ろすと確かに街の人達がこちらを見ている。
その目は嫌悪の目だった。
「中へどうぞ」
シャンクスの言った通り、家も氷漬けにされている。
「本当に中は普通だな。」
「だろ? 不思議だよなぁ」
と言いつつもシャンクスは少女に興味津々だ。
「すみません。あのような不快なものをお見せするべきではありませんでした。」
おそらく街の人達の視線の事だろう。
「あぁ、別に構わない。」
「でもよぉ、何でいきなり嫌わてんだ?特に何かした訳でもねぇんだろ?」
「……」
「お頭…話したくないかもしれないだろ、」
「あ、わ、悪ぃ。話したくないならいいんだ。」
少女はしばらく黙っていたが口を開いた。
「あまり詳しくは知りませんが、母の仕事が絡んでるみたいです。」
「仕事?」
「はい。でも、私も母がどのような仕事をしていたのか分からないんです。」
「成程なぁ、、」
子供が親の仕事を知らないというのはあまり聞いた事がないシャンクス達は少し戸惑った。
「ところで、あなた達海賊ですよね?」
「え、よくわかったな。」
「大きな船が港に止まるのが見えて、海賊旗特有のドクロマークがあったので。」
シャンクス達はこの少女は洞察力が優れていると感じた。
「この島には宝などはありませんよ。」
海賊は宝を奪うというイメージは定番である。
「いや、俺たちは食料とかを調達しに来ただけだ。」
「そうなんですね。…あ、もう外が暗くなってきているので戻った方がいいのでは?」
「もうそんな時間か。」
「しばらくこの島にいるからいつでも声掛けてくれよ!」
「はい。ありがとうございます。お気をつけて。」
「…あ、そういえば名前聞いてなかったな。なんて言うんだ?」
「…カイナです。」
「カイナか、いい名前だな!」
「ありがとうございます。」
「じゃあなぁ!」
カイナは頭を下げてシャンクス達を見送った。