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今日も何となく椅子に座って周りを見渡す。いつもと変わらない風景だ。今日は、rdが休みの日なので、気が楽な気がしている。今日は静かでいい日になるだろう。
「すいません。」
「どうしましたか?gtさん指名で。」
「分かりました。ご案内可能です。」
「gtさん!!指名です。」
「今行きます。」
相手は男の人だった。黒いマスクとサングラス、藍色の髪が綺麗な人で、思わず見とれてしまった。ハキハキした喋り方なんだけど、どこか優しさがあって、人に好かれそうないい声だった。
「gtさん!!」
「っあ、はい!」
「何飲みたいですか……?」
「あぇ、えっと、」
「選べ、ないです。 」
お客さんが開いていたカタログのページは、最高級品の酒ばかりが並ぶ、VIP用御用達のナンバーワン酒のページだった。
このページは、その人に対しての深い思い入れがないと出来ないような、その人をてっぺんへあげるための酒のページ。俺みたいな五体満足な人間が見ていいページじゃないし、この人だって初対面なんだ。
「受け取れません。初対面だし、こんなことしたら、貴方の身が持ちませんよ。」
「いいよ、遠慮しないで、」
「どうして……。」
「一目惚れだから。」
「ぅッ……。」
「じゃあ勝手に入れるねぇ〜」
「ちょ、まっ……!!」
「ペルフェクションgtに入れて。」
「うぇッ……?!」
急に店中に歓声が巻き起こる。今日のナンバーワンは決まりだなとか、色んな声が聞こえた。俺はささやかに笑っていたが、めちゃくちゃ気まづい。
そうしているうちにシャンパンコールが始まろうとしているが、俺はシャンパンコールをした事がない。あたふたしていると、先輩が、列を成して、シャンパンコールを代わりにしてくれた。
ペルフェクションというお酒は、1本3000万を超えるうちの店で、2番目に高いお酒だ。1番のお酒は5000万もする、ブラックパールというお酒だが、今日、丁度無かった。本当に良かった。
「一緒に飲も?」
「も。もう……。いいですよ。」
「可愛いねぇ。お客さん思いで。」
「ッ……!!よして下さい!!」
「あは。ごめんね。」
にこやかに、笑っているんだろうなぁ。って率直に思った。俺からは顔が見えない。それでも、暖かい空気が、こちらにも伝わるほど、優しい雰囲気だった。
「はい、どうぞ。」
「ありがとうございます。」
「敬語とかいいよ。」
「いえいえ、曲がりなりにもお客様、失礼な事は致しかねます。」
「ホストなんて、楽しませるためのものだからさ、そんなに硬い人、あんまりいないよぉ?大丈夫、自分らしく居て?」
「あっ、ありがとう、ございます…。」
「ございます?」
「あ、ありがとう……///」
「それで良し!!」
俺はお客さんと一緒にお酒を飲み交わした。結構、楽しかった。
NEXT♡×120
次回に続きます。