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「もう迷わない。君を選んで後悔するなら本望さ」
「分かった。死にたくなるくらい後悔させてやる」
「……ごめん。調子に乗りすぎた。君を選んだといっても、死んでもいいとまでは思ってない」
「正直でいい。もしもこれからボクが生きてることで夏梅が死にたくなったなら、すぐに教えてくれ。夏梅を死なせるくらいならボクが先に死ぬから」
彼女なりの罪悪感がそう言わせたものらしい。陸たちとのことは僕と知り合う前のことだから浮気じゃない。本来なら彼女が罪悪感を持つ必要はないのかもしれない。でも新たな事実が次々に明るみに出るし、罪悪感を持つことはないよと言ってあげたいけど、そう言ってあげられるほど僕の心も広くなかった。
「死ぬほどつらい恋なら別れた方がいいのかもしれない」
「いやだ! 夏梅と別れるくらいなら、夏梅を殺してボクも死ぬ」
今まで抱きしめられるだけだった彼女が、すごい力で僕を抱きしめ返してきた。
殺されるか自死するかの違いがあるだけで、彼女と別れても別れなくても僕は不慮の死から逃れることはできないようだ。ただまだ後悔の気持ちはなかった。彼女のぬくもりを全身に感じながら、心にもネガティブな気分を打ち消すだけの希望があったからだ。