TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する

ここより前の区域はかつて人々が住んでいたとされた場所。しかし私たちの前に広がる光景には、無限大に広がる砂の海そして廃れたビル群のシルエット……。


そしてここより先が幾度もの暴君の砂嵐に、より生命の気配すら感じられない、誰も足を踏み入れない荒地と成り果ててしまったアビドス砂漠……。



「……ここまでは列車で来ることができましたが……ここからの移動手段は徒歩しかありません 」


「本当に一面砂だらけですね……ここから徒歩らしいですが、ダンテさん、大丈夫ですか?」


〈私は大丈夫、今のところは〉


「先生達は、おじさんより体力がないらしいから、さっさと行こうか〜」








「ここが捨てられた砂漠……」


「砂だらけの市街地に行ったことはありましたが、ここから先は初めてです……」


「いやぁ〜、久しぶりだねえこの景色も」


「先輩は、ここに来たことあるの?」


「うん、生徒会の仕事で何度かね〜」



しばらく同じ方向へ歩を進めると、目的のアビドス砂漠の領域へ入った。


先程の景色とは一変。今まで現存していたはずの人造物は跡形も無く消え去り、砂に加え、まばらに生えた雑草と巨石が水平線まで広がり、ただ青い空が一面を覆う。文明の気配すら感じないあるべき砂漠の姿……本当に例の場所はあるのだろうか?



“アヤネ、目的の場所は見える?”


「ゲヘナの風紀委員長が言っていたセクターまでは、もう少し時間がかかりそうです」


“そっか……”


「ん?おい、先生のヤツ、もうくたばりそうなツラしてるぞ?」


「砂漠にいるんだから仕方がない。むしろ、まだピンピンしてるそっちの方がおかしい」


「うーん、私もまさかここまで耐えるって思ってなかったけどね〜?」



ヘイローが付いている生徒達は当たり前……として、囚人達が予想以上にこの灼熱に耐えうることに私含め、この場にいる人たちが驚いているようだ。今もなお、私達は成長しているという……暗示なのだろうか?



「はい☆お水ですよ」


“ありがとう……ノノミ”


〈余分に物資持ってきてよかったね……〉


「これから先が追いやられますね」



おかしいのはそっちなんだけどね……。それはそうと、ここまで何もないのは一周回って不思議と感じてしまう。



「にしても本当に何もないね」


「ほんと砂しかないわね……」



できればこのまま何もないといいんだけど……という一抹の期待は一瞬にして打ち砕かれてしまった。


私たちの目の前に、不規則なプロペラ音と共に不審な影が現れたのだ。



「あれって……」


「ドローンのようですね」


「ん、まだこっちに気がついていない」



シロコが静かに銃を構えるーーしかし、それより早く動く影が一つあった。



「ここは私が」


「イシュメール?」



イシュメールは短く告げると一歩前へ踏み出し、背中からとある武器を取り出す。 それはいつもの銛と盾ではない。オーダーメイドらしき、コッキング式のライフルだった。



「風の方向、距離、動向……全て、よし」


「えっ!?」


「うへっ? イシュメール先生が込めてるのって……!?」



だが彼女が装填したのは弾丸ではなかった。 自らの腰に太いロープで固く結ばれた、短い銛。 それも無理やりではない。まるで銛を射出するためかのように、ライフルの銃身が変形し、クロスボウに似た形状へと姿を変えた。



「……」



彼女は風を読みドローンの動きを予測すると、一切の躊躇なく引き金を引いた。



ビュン!



聞き慣れた破裂音とは違う。弓のように静かだが、それより数倍は大きい発射音。


放たれた銛は空気を切り裂き、放物線を描きながら、偵察ドローンの胴体へ深々と突き刺さった。



ビビッ! ビビッ……!



ドローンはブザーを鳴らし逃げようとする。だが銛は深く突き刺さり、かえしまでついている。 どう足掻いても、もう逃げることは不可能だ。



「――かかった!」



イシュメールはその場で力強く踏ん張り、腰に繋がれたロープを渾身の力で引き寄せた。


銛に貫かれたドローンは、まるで釣り上げられた魚のように、無様に空中で錐揉みしながら、地面へと叩きつけられる。



「……おお」


「すごいですね〜♪」


「す、すごい!」


「ふ〜!流石だよ、イシュ!」



イシュメールによる華麗な一撃により、生徒達も歓声を上げる他なかった。



「すげぇな、あの銃。オレも、ああいうの付けたかったぜ……」


「ふっ。飛び道具の一つもまともに使えない貴方には、無理でしょうね」


「あぁ……? そこまで言うかよ。R社の時は、ちゃんと使えてただろ?」


「ヒースクリフ君。おじさんも、たま~には、薙ぎ払う時に銃を振り回すけどさ。いつも、そう荒くは使わないかな~」


「……はぁ。ここで楽しくお話するのもいいですが、今、私たちが重要な任務を進めていることを、忘れないでください……」


「おっと、ごめんよ~」



アヤネの一喝も入り、再び静かな緊張が走る。私と先生は、力強く砂漠を走り抜ける彼女らを少し後ろから眺めていた。



“いやー、君のの仲間も手慣れたものだね?”


〈うん。私と契約する前の方が強かったりしたけどね〉


“まあそれはそれ、これはこれだよ。ほら、さっさと行くよ”



先生はそう言うと、再び歩き始めた。 この、どこまでも続くかのような砂漠の先に、一体、何が待っているのか。 今はまだ、誰にも、分からない。


しかし先程から感じる妙な違和感。まだ一波乱ありそうな予感がする。







私たちの仲間が、行く先々で徘徊ドローンを次々と破壊していく。その最中、アヤネの緊迫した報告が耳に飛び込んできた。



「……っ!? 皆さん、前方に何かあります!」


「えっ? 何かあるの? 全然見えないんだけど……」


「風が吹いたせいで、砂埃が舞ってる」


「巨大な町……いえ、工場、あるいは駐屯地……? と、とにかく、ものすごく大きな施設のようなものが……?」


「……こんな所に施設? 何かの見間違いじゃなくて? 今のところ、こっちからは干からびたオアシスしか見えてないけど……」


「恐らく、見間違いではないと思うのですが……。とりあえず、肉眼で確認できるところまで、進んでください!」


「……分かった」



アヤネの警告を胸に、一行は周囲への警戒を強めながら、さらに歩を進める。


そして例の施設がその姿を現すまでに、そう時間はかからなかった。



「……なに、これ?」


「この張り巡らされている有刺鉄線、優に数キロメートル先までありそう……」


「工場……? 石油ボーリング施設、ではなさそうな……。一体、何なのでしょう、この建物は……?」


「……こんなの、昔はなかった」



目の前に聳え立つその施設は、文明を発見できたという安堵よりも、その存在意義が全く分からないという、底知れない恐怖を私たちに与えた。


岩石の山の間に建てられた、明らかに近代的な建造物。 有刺鉄線は、まるで地平線の果てまで続いているかのように、どこまでも伸びている。


そして、何よりも目を引くのは、施設の周囲に無造作に置かれた、おびただしい数の機械や兵器。この砂漠には、あまりにも不釣り合いで、あり得ない光景だった。


しかし、私の心の中では……それらとは、また別の違和感が、警鐘を鳴らしていた。


黄金の枝が、微かにしかし確かに共鳴している。 まるで近くに**“何か”**がいるとでも言うかのような……不気味な警告。


いや、この感覚はどこかで……。この世界に来てから、私の感覚は少し鈍くなってしまっているのだろうか。



「ダンテさん? 大丈夫ですか?」



イシュメールが、私の様子を心配して声をかけてくる。



〈……いや、大丈夫だ。きっと〉


「……構わず、仰ってください。すぐに対処しますから」


〈ありがとう。助かるよ〉



できれば、この胸騒ぎは、ただの杞憂であってほしい。 だが、私の予感は、これまで、あまり良い方向へ当たった試しがなかった。


その不吉な前兆は、ヒースクリフの一言だった。



「……おい。何か、おかしくねぇか?」


「おかしい? 確かに、この建物自体がおかしいのは、そうですが……」


「それじゃねぇよ。さっきまで、うじゃうじゃいた、あのガラクタ共は、どこに行ったんだ?」


“ドローン? ……あっ! 本当だ、いない!”



先生の焦った声が響く。


気づけば、あれほど執拗に私たちを追ってきていた偵察ドローンの姿が、一機残らず、忽然と消え失せていたのだ。 まるで、何者かの手によって、一掃されたかのように。 嵐の前の静けさ。その言葉が、私の頭をよぎった。



「……罠だね、これは」


「うん。十中八九、誘い込まれてる」


「じゃ、じゃあ、一旦引き返した方が……!」



生徒達が次々と引き返そうと提案する中ーー。


“……いや”



先生は、その提案を、静かに、しかし力強く否定した。



“ここまで来て、引き返すわけにはいかない。それに、敵が待ち構えていると分かっているなら、対策のしようもある”


〈そうだね。それに、この静けさは、逆に考えれば、施設に潜入する絶好の機会とも言える〉



私も、先生の意見に賛同する。



「そうです。ここまで来たのですから、最後までやり遂げましょう!」


「……ちっ。めんどくせぇが、やるしかねぇってか」


「ふふっ。面白くなってきじゃない!」




一部の仲間も、渋々ながら、その危険な提案を受け入れ、それぞれの武器を構え直した。 一行は、再び、あの不気味な施設に向かって、歩を進めようとした。



ビリッ



駄目だ。


駄目だ、行っては。



ビリッ



私の中で、黄金の枝による警告が更に強くなって行く。 先ほどまでの、微かな共鳴ではない。もはや、それは、頭蓋の内側で直接鳴り響く、けたたましい警鐘だった。

ビリリッ

あの時、次元の狭間で見た、『黒い穴』。


最近の中の警告と比べても些細なもの。しかし、この感覚。私は知っている。危険だ。がいる。



〈――待て!〉



私は、反射的に叫んでいた。 私の、その必死の警告音が、仲間たちの足を止めた、まさに、その瞬間だった。

ビリリリリリッ!!ドガァァァァ!!

天から、巨大な雷鳴が轟いた。 いや、違う。天候など、関係ない。


何もないはずの空間から、凄まじい閃光と共に、巨大な稲妻が発生し、先ほどまで、仲間たちが立っていたはずの場所へと、寸分の狂いもなく直撃したのだ。


砂漠が抉れ、灼熱によってガラス化した地面が、黒煙を上げていた。 もし、私の警告が、あと一秒でも遅れていたら。



“……ふぅ。どうやら、無事だったみたいだね”



私のすぐ側で、先生が、安堵のため息を漏らした。 間一髪、全員がその直撃を免れていた。

“……だけど何で雷が……?上空に雷雲がある訳でも無いのに……”


「先生!ホシノ先輩達がいた場所に……怪物がいます!」


“……怪物?”


〈……違う、幻想体だ〉


“……幻想体?”



黒煙がゆっくりと晴れた先、その場に立っていたのは……幻想体だった。


幻でもなく、確かにそこにいる。



薄暗い闇を切り裂くように、異形の羊が姿を現した。その体は、まるで雷雲そのものが凝り固まったかのよう。灰と白のまだらな毛並み――いや、それは毛というよりは、濃密な電気の塊が形作ったものだろうか――が、内側から激しい紫の稲妻を絶え間なく放っていた。ほとばしる電光は、常に不穏な輝きを放ち、その存在の異常さを際立たせる。


幾筋もの黒い角のようなものが、その雲状の体から無秩序に突き出している。鋭く、そしてどこか歪んだそれらは、単なる装飾ではなく、獲物を貫くための凶器のようにも見えた。


頭部は簡素な造りでありながら、その中に宿る二つの紫の光点が、冷たく、しかし確かに視線を捉える。それは瞳というよりは、闇夜に瞬く禍々しい星の輝きにも似ていた。


そして、その体を支えるのは、異様に長く、細い四肢。まるで影が実体を持ったかのような漆黒の脚は、関節のたびに不気味な節を作り、その先端には獲物を引き裂くかのような鋭い爪が備わっていた。それは羊というよりも、太古の忌まわしき獣を思わせる、歪んだ創造物の姿だった。


F-01-20-08、夢見る電気羊。稲妻の如く、突如目の前に現れた。

Limbus company × Blue archive クロスオーバー小説

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

102

コメント

5

ユーザー

電気羊くん!?鏡終盤で出てくると大抵HP5桁超えになってるめっちゃタフな羊くんじゃないか!?T社ロージャ呼ばなきゃ…(使命感)(尚鳴き声使えるホンルはいない模様)

ユーザー

調べたらその羊が予想以上にキモくて悲鳴あげかけた

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚