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「ミルシェさま! 次はどこを手掛ければ良いですか?」
「それでしたら、ネコ族のシャトンの所に行って頂けますかしら? アックさまの希望ではギルドを盛り上げたいようですので」
「承知いたしました。では、我らが!」
「ええ、お願いしますわ」
アックさまたちがイデアベルクから離れて数日。
留守を任されたあたし、ミルシェ・オリカは元々ここに居着いていたエルフと獣人たちをまとめて仕切る役目を負っている。さらには、東アファーデ湖村にいたネコがどこからか連れて来たネコ族も見なければいけなくなった。
それでもシャトンは案外しっかり者。なので、あたしがとやかく言うことは少ない。
「そこに置くニャ! 違う違う、そこじゃないニャ!!」
釣りギルドのマスターということだけは東アファーデ湖村で知っていた。それにしたってここへはどうやって来たのか、ネコ族の力は底が知れない。
「やはり水辺があるだけで、出来上がりも断然違いますわね」
「まだまだですニャ! でもここでは色々出来そうで何よりニャ。ミルシェも釣りどうニャ?」
「いいえ、あたしは結構ですわ」
人懐こいとはいえ油断は出来ないのだけれど。
「ふんふん。それなら、アックの帰りまでにメンバーを増やしておきたいニャ!」
「エルフたちや獣人を誘えばいいのではなくて?」
「それでは育たないニャ。ギルドの経営は簡単ではないのニャ!」
「……気が向いたら、探しておきますわ」
「よろしくニャ~」
『ニャ~ニャ~』と、どうしてああもネコ族は騒がしいのだろうか。そういう意味でアックさまはお優しすぎる。と愚痴を言いたくなりそう。
「ミルシェ。我の所に来てくれぬか? 兄が力を借りたいそうだ」
「あたしの力を……? それもサンフィアの兄御だなんて。あたしが出来ることは多くありませんわよ?」
「いいや、アックと同等の力があるだけで十分すぎるほどの助けとなる!」
アックさまと違って無限の魔力は無いけれど、あたしには防御に特化した魔法力が備わっている。エルフのサンフィアとその兄があたしを強く買っているのはそういう所だ。
「案内して頂けるかしら?」
「こっちだ。我らが手を入れている所はまだ生い茂る森のような場所だ。我について来てくれ」
「ええ、そうさせてもらいますわ」
イデアベルクのアルジであるアックさまが戻って来るまでに、どこまで再建ぶりをお見せできるかはあたしの腕にかかっている。
そう思いながら、あたしは今日も他種族をまとめて仕切る日々。