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いつも通り食堂の壁を突如爆発が襲う。当然出てきたのは見知った顔。しかし今回は一人の様だった。

ハルナ「何者か聞かれれば答えるのが私達の..いや、私のマナー。美食研究会のハルナですわ!」

フウカ「また食堂壊して..!!それ毎回治すのタダじゃないし面倒なんだけど!?」

しかし聞かずにこちらに歩んできてこう言う。

ハルナ「今日は…そうですね..フウカさん、お肉料理が食べたいですね、」

よくもまぁこの状況で堂々とリクエスト出来るものだ。いや、まぁ…私にもその責任はあるんだけど..

フウカ「もっと普通の方法で食べに来なさいよ!?普通に言えば作ってあげるのに!」

彼女は首を横に振り、私にこう言う。

ハルナ「それではあまりにつまらないのですよフウカさん。やはり私が認める1番の料理人には豪華な登場をお見せしたいのです!」

フウカ「はぁ…こんな瓦礫のある食堂で給食なんて作れないわ..待ってなさいよ。」

ハルナ「はい!…何だかこの感じ、あの時を思い出しますわね?」

出来れば思い出したくない思い出をこいつは平気で掘り起こそうとする。そのデリカシーのなさには怒りを通り越して呆れてしまうが…

フウカ「あ、あれは昔のことでしょ!?それに別に一応先輩なのは分かってるし。」

そう、昔からこんな関係性だった訳ではないのだ。いや…似た感じではあったが、あの時はもっとぎこちなかった。




一年前


フウカ「給食部がこんな大変だったなんて〜..はぁ…」

当時入学した時は当然今でも変わらない仕事量に疲れ切っていた。

フウカ「はぁ…コストを抑えてデザートも..?出来る訳ないじゃないそんな..」

無理な学園中の生徒のリクエストを読みながら給食の後片付けをする。そんな時…この時が初めてだっただろうか。突如として食堂が爆破される。


フウカ「きゃあっっ!!?な、何..!?」

食堂にぽっかりと空いた穴から一人現れる。


ハルナ「私の鼻ではここから匂いが…あれ?ここは…食堂ですわね…」

まだその時はあまり見る顔でもなかったハルナが煙から飛び出してくる。

フウカ「…ハルナ先輩!?何してるんですかゲヘナの食堂ですよ!!?」

当たり前だが自分のいる建物が爆発されたことなんて初めてだった。と言うかそれが当たり前だ。

ハルナ「あなたは確か…新入生の愛清フウカさん..でしたね、実は食堂からいつもしない芳醇な旨味の匂いがしまして..」

そうだ。噂には聞いていた。この人はゲヘナで有名な美食…いやテロリスト。常識が通用するはずもない。

フウカ「方法を選んで下さい!?はぁ..修繕も加えて..仕事増えたし…もう!!」

それにハルナの言う香りの正体も恐らく試作品のビーフシチューだ。とは言え予算はオーバーしていたし絶妙に味にコクが足りない失敗作の筈だが。

ハルナ「早速ですがフウカさん?今作っていたもの..お出しできます?」

学園の食堂爆発しといて初めに言える言葉がそれかともう何も言えなかった。

フウカ「はぁ…さっきの衝撃のせいで電力供給切れて冷蔵庫壊れちゃいましたし..これで良ければもう持ってって下さい、試作品ですし..食べたらもう帰ってください..」

相手が何でも料理人。なるべく盛り付けだけしてハルナに出す。

ハルナ「いただきます!…こ、これは…確かに深みこそ足りないですが…ここにオレガノを足すだけでも香味成分でお肉がもっと柔らかくなるでしょうね..少し物足りない部分はありますがとても美味しいです…!」

一瞬で饒舌にここまでの色レポ。普段してる事はテロリストの癖に..そこだけはしっかり美食研究会の人間なのだなと思った。

ハルナ「1年生でこの腕前..今までのゲヘナにはそんな人居なかったと言うのに!とても凄い才能ですわね…また今度来ます、では御機嫌よう!」

風のように飛んできて風のように帰っていった。

フウカ「何なのあの人…と言うか毎回爆破されるならもう来ないで欲しいんだけどっ!!」

それから日は流れ度々食堂の壁は崩される。

時には肉料理…時には鍋料理…リクエストがあまりも多かった。

ハルナ「やはりフウカさんの作る料理は絶品ですね…どうです?私達の一員に..」

フウカ「絶対ならないから!?」

そんな心身共に疲弊する日々が続いたある日。その日私は買い出しに来ていた。

フウカ「そういえばじゃがいもも無かったなぁ…」

そんな言葉を呟きながら歩いていると何者かに背後から口を押えられる。思い出した、その場所はゲヘナでもトップレベルに治安も悪く、何しろブラックマーケットの近くだった。

フウカ「..ん…んん…ッッ!!」

不良「嬢ちゃん少し大人しくしててなぁ?へへ….!?な、なんだ..?」

突如私たちの地面が揺れる。何かがこちらに近付いてきているようだった。朦朧とする意識の中振り向くと給食部の車に乗った美食研究会の一員。

ハルナ「皆さん、行きますよ!」

アカリ「あらあら…楽しそうですね!」

イズミ「突っ込むよー!!」

突然の美食研の登場に驚く私。今思えば全員と会ったのもこの時が初めてだった。

フウカ「…何が起きた..の…?」

煙に包まれその瞬間意識が途切れる。目が覚めると食堂のソファ。

ハルナ「..あら?目が覚めましたかフウカさん。」

起きた時には他のメンバーはいなかった。

フウカ「たしか私拉致されかけて…何で場所が分かったんですか..?」

得意げに笑うハルナ。

ハルナ「美食研究会の会長たる者…至高の料理人については何でも把握済みなのですよ?」

綺麗事言っているだけで結局はストーカーなのではないか..?という疑問は頭に浮かぶがその時は感謝するしか無かった。

フウカ「…色々言いたい事はあるんですが..今日はありがとうございます…美食研究会の皆にも..けど何故そこまで..?」

ハルナは一瞬言葉に詰まるがすぐにこう言う。

ハルナ「美食を追求する私達にとって至高の料理人である貴方はまさに命そのもの…それを失う訳には行かないですし、それに…クイッ」

突如私の肩を掴み顔を向かわせる。

ハルナ「私個人としても、とても興味深い人物ですので?」

魔法でも掛かった様に私は数秒何も言葉が出せなかった。

フウカ「本当に..先輩…いや…あんた…馬鹿でしょ..!」

唯一絞り出せた言葉がこれだけだった。しかしハルナは気にせず、

ハルナ「パッ..さて、気を取り直しまして..今日は..そうですね、フウカさんの好きな物が食べたいですわね?」

フウカ「はぁ…結局いつもの..ね…分かった、直ぐ作るから…座ってて。」

しかしいつもと違い厨房にまでハルナが着いてきた。

フウカ「…?どうしたのよ、」

ハルナ「いえ…正式にパートナーとなった今、料理も多少作れる様でないと会長失格ですので..」

パートナーて…相変わらず思わせぶりな奴だ。

フウカ「…ッッ言い方..!!それに別に仲間だと見てる訳じゃないからね?」

ハルナ「私は別に…フウカさんをただの友達と思ってる訳ではありませんよ?」

フウカ「…本当にそういうとこ…!!」

少し顔を俯けながらそう答える。

フウカ「…..けど…別にいいよ、後悔しない様なら..いつでも付き合ってあげる。あっ、テロは辞めてよ!?」

ハルナ「…!フウカさんからそう言って貰えると、光栄です♪」

この日を境に私は彼女を先輩としてでなく、少し…いや、切っても切れない腐れ縁となったのだ。

この作品はいかがでしたか?

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コメント

8

ユーザー

フウハルだぁ!ジュンコが居ないとことか原作の設定通りだしね…私なら堂々と書き加えていた所だった

ユーザー

ssの主要人物に先生が入ってないのは初めて作ったな...直接的な表現を入れずに、二人の「友達でも恋人でもない、腐れ縁以上の関係性」これくらいがちょうど良いなと思い書いてみた。

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