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前にいる女性達はまだずっとこっちを見ている。龍聖君の存在が気になって仕方ないみたいだ。
どこにいても目立つ美し過ぎる顔面と、キラキラオーラのせいで、2度見されるのは日常茶飯事、隠し撮りも良くあること。芸能人みたいにキャーキャー言われることだって当たり前のようにある。
本人はそんな状況に気づいているのかいないのか、特に反応を示さない。
きっともう……慣れ過ぎているのだろう。
意図せずに周りの視線を集めてしまう龍聖君。
私も、女性に見られてしまうこの状況をいちいち気にしない方がいいのだと思う。
でも……
周りから見た私達がどんな風に見えているのか、気にならないといえば嘘になる。
同僚、友達、兄妹……恋人、夫婦、いったいどれに見えているのだろうか?
正解は――ただの友達。
結婚はしていても契約でしかない、そういう関係。
何度もそうやって思うところ、私はかなりひねくれているのかもしれない。
もちろん、龍聖君とは友達として仲良く過ごせているし、一緒にいられる毎日を大事にしたいとも思っている。たとえ形だけの夫婦だとしても、楽しまないと損だとわかっている。
だけれど、時々、ふいに思い知らされる時がある。
世間でいう夫婦とは……やっぱり違うんだと。
ここにあるのは2人分の愛じゃない。あるのは一方通行の1人分の「愛」だけ。
それを自覚してるからこそ、4人の美しい女性達に言いたい。
「あなた達みたいな美人になら、これから先、龍聖君と結婚するチャンスはあるかも知れないよ。でも、今だけは……龍聖君との2人だけの時間を、ただ静かに過ごさせてほしい」と。
それが私のささやかな願い。
本当に……今だけは。
「お待たせしました!」
そうこうしてるうちに、やっと順番がきた。
半個室を用意してもらい、2人だけの焼肉パーティーが始まった。