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新連載すたーと
「氷の彫刻と光の筆」
です
楽しんで読んでいってください
第一話
「視線の先」
美術室は、放課後の静寂と、油絵具の微かな匂いに満ちていた。
高校二年の**榊原 悠(さかきばら ゆう)は、筆を止めて、
ガラス窓から差し込む夕陽を浴びてキャンバスに向かう人物を見つめた。
三年生の香月 蓮(かづき れん)**先輩。美術部の部長で、学年問わず一目置かれる存在。
整った顔立ちはいつも無表情で、そのクールさがまた彼の孤高のイメージを際立たせていた。
悠は知っている。蓮先輩が誰にも見せない、不器用で、時々ほんの少しだけ優しい顔をすること。
悠が蓮に惹かれてから、もう二年が経つ。
「おい、榊原」
蓮が低い声で悠を呼んだ。悠は心臓が跳ねるのを感じ、慌てて視線を戻す。
「はい、なんでしょうか、香月先輩」
「また手が止まっている。展覧会まであと二週間だぞ。
ぼーっとしている暇があるなら、背景の青をもっと深くしろ。光が死んでいる」
蓮の言葉はいつも鋭い。
しかし、彼が悠の絵にこれだけ細かく指示を出すのは、期待の裏返しだと知っていたから。
悠は彼のきつい言葉さえも心地よかった。
「すみません。すぐやります」
悠が筆を取り直すと、蓮は小さくため息をついた。
「どうせ俺を見ていたんだろう」
悠はどきりとした。しかし、ごまかすのは諦めた。
「はい。先輩の描く線が好きなんです」
蓮は筆を持つ手をピタリと止め、ゆっくりと悠を見た。
そのアイスブルーのような瞳には、いつも感情の色が薄い。
「趣味が悪い。それより、どうしてこの前のお前の絵、中央の構図を崩した?」
悠の告白とも取れる言葉を、彼は完璧に無視し、あくまで指導に徹する。
悠は彼のそんなツンとしている態度に慣れていた。
それでも、彼の隣にいられるだけで良かった。
どうでしたでしょうか
新連載また投稿遅くなると思うんですけど、何卒よろしくお願いします
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