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キャラ崩壊があると思います!
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体育館の空気は、少しだけ違っていた。
重さはまだ残っている。
でも、前ほど“壊れてはいない”。
ボールの音が鳴る。
ドン、ドン、と規則正しく。
そのリズムは、まだ不安定だ。
「もう一本!!」
田中の声が響く。
その声に、すぐに反応する者がいる。
でも、迷う者もいる。
それでも──
動く。
影山は、ボールを持つ。
視線の先。
“空白”はまだある。
でも、その輪郭は薄くなっていた。
「いける」
小さく呟く。
誰にでもなく。
自分にでもなく。
トスが上がる。
少し速い。
でも、以前より“迷いがない”。
田中が跳ぶ。
「ッしゃあ!!」
スパイクが決まる。
ドン!!
「今の……」
山口が目を見開く。
「繋がった」
誰かが笑う。
誰かが息を吐く。
その瞬間だけ、チームが戻る。
でも、完全ではない。
次のラリーではズレる。
その繰り返し。
「まだバラバラだな」
縁下が言う。
でも、その声は否定できない。
「でもさ」
菅原が言う。
「前よりは、なんか……」
言葉を探す。
「繋がってる気がする」
影山が、ネットの向こうを見る。
そこに“いるはずのもの”を探す。
でも今回は違う。
“いなくてもいい形”を探している。
トスが上がる。
今度は迷わない。
誰が来るか分からなくても。
来るべき場所に上がる。
その瞬間。
空気が少し変わる。
バン!!
スパイクが決まる。
「今の、良かった!!」
田中が叫ぶ。
その声は、久しぶりに明るい。
休憩時間。
誰も座らない。
でも、立っている位置が変わっている。
“空白”が、少しずつ埋まっている。
菅原が静かに言う。
「戻ってきたっていうよりさ」
「作り直してる感じだよね」
誰も否定しない。
それが一番しっくりくる。
影山はボールを回す。
手の中で、感覚を確かめるように。
「前と同じじゃない」
小さく言う。
でも、その声は迷いじゃない。
「でもいい」
その一言で、全員の空気が変わる。
“同じじゃなくていい”
それが、このチームの答えになり始める。
夜。
体育館の明かりが落ちる。
ボールが一つ、転がっている。
澤村が拾う。
「明日もやるぞ」
その声は、もう命令じゃない。
“積み上げる言葉”だった。
どうですか?
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