桃赤
この話には、現在休止中のメンバーは出てきていません。
気持ちを理解してくれる人。
赤side
ピピピピッ……
ピピピピッ………
朝のアラーム音で目が覚める。
俺は眠たい目を擦りながらスマホを手に取り、エゴサをする。
これが、俺の毎朝の日課の一つだった。
エゴサをしていると、嬉しい言葉を書かれているわけではない。
今日は、いつもよりもたくさんの悪口を見てしまった。
『赤がいなかったら、グループ推せてたのにな~。』
『男女の絡みにしか見えない。』
『まじで赤ぶりっ子。』
これよりももっと酷いことを書いているのもあった。
正直、俺はこういうものには考えすぎないようにしていた。
とにかく、『頑張って。』『大好き。』『いつもありがとう。』など、嬉しい言葉をたくさん聞くようにしている。
でも、
グループのことを言われたら、
いつの間にか、いつも涙を流していた。
「俺の気持ちなんかッ…………」
「知らないくせにッッ…………!!」
俺は、声を押し殺して泣いた。
いつもなら、こんなには泣かないだろう。
でも、、
今まで、我慢していたのだろう。
止まらなかった。
そして、
俺は何を思ったのか知らないが
メンバーのグループメールにあるメッセージを送っていた。
『今までありがとう。たくさん迷惑かけてごめんなさい。』 と。
俺がこのメールを送った瞬間、既読が3つついた。
そして、
『何言ってるの!』
『まさか、抜けるなんて言わないよね、?』
というメッセージが送られてくる。
ただ、一人。
桃くんだけはなにもメッセージを送ってこなかった。
あぁッ、……
俺は桃くんからも必要とされていなかったんだなッ、………
そう思うと先程よりも涙がこぼれ落ちてくる。
俺は、涙を流しながら急いで家を出る準備をした。
もう、この家には当分戻ってこないだろう。
扉を開け、急いでタクシーを探す。
タクシーを見つけ、俺は「空港まで、お願いします。」と言った。
窓の外を見ていると、
あのときメッセージを送ってこなかった彼の姿が見えた。
「………はッ…?」
そう声に出してしまう。
俺を探しに来てくれたのッ……?
そう思いながら、
ただ彼の姿を見つめるしかなかった。
桃side
『今までありがとう。たくさん迷惑かけてごめんなさい。』
そのメッセージを見た瞬間、
俺は必要最低限のものを持って、
勢い良く玄関の扉を開けた。
そして、タクシーを呼ぶ。
俺の家から赤の家は、近いところにはない。
むしろ、結構遠い。
だからこそ、急いだ。
アイツのことだ。
きっと、自分を攻めてしまったのだろう。
なぜ、あんなにも優しくて、メンバー思いで、リスナーさん思いで、他人のことを優先して、何事にも否定しない。そして、寄り添ってくれる。
そんな彼が、変なことを言われなくてはならないのだろう。
赤の頑張りも知らないのにッ……!
俺は怒りを抑え、グッ…と拳を握る。
頭の中でいろいろ考えていると、前から声が聞こえてきた。
「……着きましたよ。」
「………あッ…」
「ありがとうございます…!」
俺は急いでお金を渡し、タクシーから出る。
赤……。
どうか家にいてくれッ………。
俺の願いは届くはずもなく……
彼の家のインターホンをいくら押しても出てこず、
扉は閉められていた。
「………くっそッ…」
悲しんでいる暇はない。
俺は、赤がいきそうなところを必死に頭で考える。
そして、またタクシーをつかまえ、乗り込む。
「……すみません。空港までお願いします。」
赤side
「………お客さん。」
「つきましたよ。」
その声で目が覚めた。
いつの間にか寝てしまっていた。
「ありがとうございました。」
俺はお金を渡して、タクシーをおりた。
悔いはない。
けど、なぜだろう。
何処かで、メンバーを待っている自分がいる。
桃くんを待っている自分がいる。
「………なんでだよッ……」
俺は自分が分からなくなり、とりあえず早足で空港に行った。
入る瞬間に、深呼吸をした。
これでいい。
これでいいんだ。
俺を必要としてくれる人なんか、いない。
俺は、一人で生きていくのが似合ってる。
そう思い、一歩を踏み出した。
そのときだった。
後ろから、誰かに優しく抱きしめられた。
「……へッ…?」
後ろを見ると、
その正体は、桃くんだった。
桃くんは、俺の肩に顔を埋めていた。
その結果、顔が見えない。
「………桃…くん…?」
「バカ。」
「まじでッ………自分勝手なことすんなッ……」
そう言い、俺の方を見た。
彼は目を真っ赤にしながら泣いていた。
「…………」
俺を必要としてくれている人がいる。
それが、何よりも嬉しかった。
「………ごめんッ…」
気づけば、俺も泣いていた。
俺の考えることをわかってくれて、
俺の行きたいところもわかってくれて、
俺がかけてほしい言葉をかけてくれる。
そんな彼が大好きなのだと改めて感じた。
俺は正面を向き、彼に抱きついた。
「……ありがと」
そういい、彼の胸元に顔を埋める。
彼はなにも言わず、ただ頭を優しく撫でてくれた。
これからも、一緒だよ。
end
来年も頑張っていきます。
よろしくお願いします。
コメント
8件
ブクマ失礼します😭❤️