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今回は阿和のビジュが出るのと、烨霖のビジュが変わるので立ち絵置いておきます。
阿和
烨霖
今回は緩い話です。
第5話【傍に】
目を覚ました烨霖は予想していたより随分と身体の状態がいい事に気付き、周りを見渡す。すると傍には恐らく阿和であろう少年が自分の手を握り、集中しているのか目を閉じながら霊力を送り続けていた。
何故恐らくと付けたのかと言うと洞窟の中では見えなかった阿和の顔や血や泥まみれでよく分からなかった服が、今ははっきりと見えており、本当に阿和なのか決め兼ねたからだ。
だが、烨霖が与えた腕輪が目に入り、阿和だと確信する事ができた。
阿和の外見はなんとも優美であり、身体や顔のバランスはまさに名画のようで、恐らく外を歩けば周りの者は振り返ってしまうだろう。歩く薔薇という言葉が最も良く似合う。
「起きたか」
阿和の初めて拝見した外見に思わず関心し、凝視している私に気付いたのか、霊力を止め、心地いい声で烨霖に声をかける。
「あ、あぁ、、、君はずっとそこに?」
「そなたの容態が優れるまで、ずっと霊力を流していた。」
「君が私をここまで運んだのか?」
「あぁ、」
ではあの時また必ず出会えると言っていたのは、そもそも離れる気がなかったのか。てっきりその辺に寝かせられて勝手に何処かへ行くのかと烨霖は思っていた。魔教の者は皆、人を欺き善悪の区別も付かないような奴ばっかりだとよく噂されており、実際そうだったからだ。だが、そんな者がこうも健気に接し、己を大切に扱ってくれる。その事実に烨霖は思わず笑ってしまった。
「ぷ、あははっ、そうか、そうか、、、!!」
阿和は笑っている烨霖を理解出来ない、という顔で見る
「何が面白い?」
「ふ、ははっ、いや、面白いんじゃないな、、、これは、、、そうだ、これは愛らしいんだ!」
「愛らしい、、、?」
阿和はぽかんとした顔をしながら問う
「あぁ、そうだ、ここまで健気に尽くしてくれる君が、私にとっては幼子の様に見えて可愛らしいのだ!」
「、、、そうか、、」
阿和はそれ以上何も言わなかったが、顔からは嬉しさが隠し切れていなかった。
そんな中、烨霖はとあることに気付く。
「あれ、そういえば、君は顔を見られたくないんじゃ?」
「これは作った人の皮を被っているだけだ、本当の顔ではない。」
「はぁ〜、、!随分と精巧に作られているじゃないか!!君が作ったのか? 」
これ程本物の人の皮に似ている被り物を作るのはその道の達人でも難しい。元々物作りが好きな烨霖にとって気にならないわけがない。
「あぁ、そうだ 」
阿和の優れた技術に関心しているとふと阿和の胸元にあった首掛けに目が入る。その首掛けにはまるで西洋の舞踏会などで扱われる仮面を半分にしたようなものがぶら下がっており、銀色の光沢を放っていて、目の部分には珊瑚珠がはめ込まれていた。
「これも君が?」
「否、私にはこれ程のものは作れない」
あれ程精密な人の皮の仮面を作れるならばこのような物も作れるだろうにと言おうとしたが、阿和があまりにも真剣な顔をしているのを見て、慌ててその言葉を飲み込む。自分が思っている事が相手も同様であるとは限らないのだ。
「そうか、余程大切にしているのだな。」
「、、、あぁ、」
阿和の外見への興味が尽きた後今更ながらに周りをじっくり見渡してみるとどうやら宿屋の一室に居るようであり、己の姿を見れば装いが古くボロボロな物から随分と清楚で高貴さが漂う綺麗な装いになっていた。
「えーっと、この服は、、、」
「ボロボロで、酷く汚れていた、だから新しい服を着せた。気に入らなかったのならばまだ後8着程ある。」
「え、あの、君が買ったのか!?」
「この宿の主に用意させた。」
そういう事か、と烨霖は何も考えずに取り敢えず頷く。
「ちなみにここは、、、」
「あの山の近くの村の宿を借りた。」
「君、あの状況で金があったのか?」
「、、、、少し頼めば後払いにしてくれた」
阿和の言葉に間があった事や言い方から恐らく普通の頼み方ではなかったのだろう。そもそも、魔教の者の頼みならば断れる店などあるまい。
「宿を取ってくれてありがとう、いつか恩返しをしよう。」
「私は命を助けられた恩を返しているのに、何故そなたが?」
確かに、言われてみればそうだ。
「ははっ、それもそうだな」
「ちなみに私はどのくらい寝ていたんだ?」
「4日程」
数刻眠っていただけだと思っていたらまさか4日も眠っていたなんて!!?
それ程までに瘴気に強く当てられていたのだろうか。改めてこの身体は前世よりも脆いと理解した。 今後の判断ももう少し慎重に考える必要があるようだ。
「そんなにも眠っていたのか、、」
そこで烨霖は阿和が寝ている間霊力をずっと注ぎ続けていた事を思い出す。
「え、まさか君、、、4日もずっと私に霊力を、、、?」
「正確にはそなたの霊脈が安定と不安定を繰り返していたゆえ、不安定の時に霊力を少しづつ注いでいた。」
例えそうだとしても霊力を送り込みすぎることは危険すぎる。それに加え、阿和は普通の者は持ちえない瘴気を多く溜め込んでいるため、普通の人よりも危険な筈だ。烨霖はなんとも居た堪れない気持ちになり、罪悪感が波のように押し寄せてくる。
「(はぁ、、これではむしろ阿和の方が私の命の恩人だな、、、)」
烨霖は面目ない、というように眉尻を下げながら阿和を見上げる。
「すまない、君には随分と迷惑をかけた、、、これは私がお詫びしないとな、、、」
「そなたは命の恩人だ、その必要はない」
「私にとっても君は命の恩人だ」
「君が私に恩を返したように、私も返えしたい 」
烨霖の絶対引かない様子に阿和は何とか烨霖に負担をかけずに恩を返される方法はないか思考を巡らせる。少し間が経ってから阿和はまるで名案を閃いたかのように目を見開き、口を開く。
「ならば、私をそなたの傍に居させてくれ」
その解答に烨霖は目を見開く。
何故転生をしてからは面白い程に想像を超える事がこんなにも起こるのか。私も年老いていて頭が鈍くなっているのか、烨霖はそうしみじみと感じながらまたしても想像していなかった事を言わ れ、困惑の表情を隠さず全面に出す。
「えーっと、、、それはいいが君になんのメリットが?」
「ちょっとした暇つぶしだ」
なんの躊躇もなく淡々とそう告げられ、烨霖は妙に納得してしまう。
阿和と共にいることは烨霖にとっても楽しいし、それが阿和への恩返しとなるなら、と傍に置くことを許可する。その後は、起きて早々外へ出掛けようとしていた烨霖を阿和が寝台へと押し戻し、起きたばかりだからまだ様子を見なければ危険だと押され、更に1日その宿で泊まることになった。
とうに日は暮れ、村が夜の闇に完全に包まれた頃、椅子に胡座をかきながら烨霖はふと寝台を整えている阿和を見つめながら話し掛ける。
「なぁ、思ったんだが、君は随分と心配性だな」
魔教の者がこれ程までに人に手を焼くとは今まで思っていなかった烨霖は、物珍しさからそう問う
「心配性?」
「気が利くというか、、、なんと言えばいいか、、、」
「私が大丈夫だと、完全に回復したと言っても寝台から起こさないよう目を鋭くして私がご飯を食べる時は危ないからと手ずから食べさせたり、、、あぁ、そうだ!風呂も着いてこようとしたな、」
「あれには思わず私も拳を出してしまいそうだったぞ、ははっ!」
幼子の様な扱い方には流石の烨霖も怒りを覚えたようだった。
「そなたが心配だっただけだ」
「それが心配性だと言っているんだ 」
「心配性なのは悪い事か?」
「え?」
阿和は何故このような言い回しをするのだろうか。まるで何も分からない子供が大人に問いかけをするような言い方だ。
「悪い事ではないが、、、本人が必要がないと言えばそれを無理強いするのは良く無いな 」
「分かった、今後はせぬ。」
「ははっ、君は物分りがいい」
元々子供を世話するのが好きだった烨霖は思わず阿和の頭を撫でる。だがその後魔教の者に失敬だったか、と思い急いで手を引っこめ、恐る恐る顔を見れば阿和は目を見開いたまま硬直していた。
「あー、すまない、嫌だったか?」
「、、、、嫌ではない、だが、少し驚いた」
「そうか!」
まだ出会って日が浅いがここまで近くで接すればある程度距離感が分かってくる。どうやら阿和は他の魔教の者と同じ尺度で考える必要はないようで、なんなら普通の人間と接するぐらいの距離感で大丈夫なようだ。
「もう時も遅い、そなたは寝た方がいいだろう。」
寝台を整え終えた阿和がこちらに近付き、寝台へ運ぼうとしている事に気づき、慌てて椅子から降り、自ら寝台の上に腰掛け、再度胡座を組み、膝の上に肘を置き、手に顔を置く。
「君は寝ないのか?」
「、、、寝たくないのだ。」
「なぜ?」
「悪夢だ。」
「悪夢、、、?」
何か悪いことでも思い出したのか阿和の顔がどんどんと沈んでいく。
「言いたくなければ言う必要はない、だが、寝ないというのは身体に悪影響だ」
「ではどうするんだ?」
「そうだな、、、では、こちらで共に寝よう。」
そう言い烨霖は手招きをし、寝台に乗るよう促す。阿和は何ともない様な顔でそのまま寝台の上に腰を下ろす。
「何故そなたと共にに寝る?」
「知っているか?人は誰かと共に寝た方が安心感が得られるんだ」
「、、、、遠慮しておく」
寝台まで腰を下ろしたのに結局断った事に疑問を覚えながらもこの距離感はまだ駄目だったか、と少し自分の事が恥ずかしく思えてくる 。
「そうか?じゃあ気休めだが安眠するための術を掛けてあげようか?」
「必要ない、そなたはまず己の身体を大事にしろ 」
それだけ言い残し、阿和は早々に部屋から出ていく。扉が閉じるその瞬間までその後ろ姿を眺めた。烨霖は諦めてそのまま寝台に身を預け、襲ってくる睡魔に抗うことなくゆっくりと瞼を下ろした。
◇
外の騒がしい音に目がさめる。部屋の窓からカーテン越しに朝日が差し込まれている部屋の穏やかな雰囲気とは異なり、外からは聞き覚えのある怒声が鳴り響いていた。
「おい!!李・梓豪はここに居るんだろう!?何故部屋を見せない!!」
「(、、、若君!?)」
第5話終わりです。
今回も見て下さりありがとうございました。なんだか若君の登場数が多いですね🤭すみません。
何か可笑しな所があれば教えて頂けると幸いです。🙇♀️
まだまだ下手ですがこれからもどうか宜しくお願いいたします。
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コメント
1件
みぅ🤍🥀です。 今回もじんわり胸にくる回だった…。烨霖が阿和の本当の顔に見惚れたり、健気さに思わず笑っちゃうところ、最高に可愛かったよ。それでいて「一緒に寝よう」って提案するところ、烨霖の優しさと距離感の絶妙さが滲んでて好き。ラストの若君の怒声で終わるのも、次が気になって仕方ない…!枝豆さんの描く阿和のミステリアスな魅力が日に日に増してて、読むたびに深みに引き込まれるよ。ゆるい話って言いながら、ちゃんと核心を外さないのがすごい。また次も読みに来るね🌙