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「最近寒くなってきたね」
そう言いながら元貴が近ずいて来る
何だと考えている時間もなく、元貴が俺のコートの中に体をすっぽり入れてきた
「冬は人肌恋しくなるよね」
そう言う元貴の顔は少し鼻が赤くなっていてとても愛おしく感じる
今日は外での撮影で、俺も若干寒さを感じていたため少し暖かくなり頬が緩む
元貴の体温を感じていると、急に後ろを振り向き踵を浮かせ、顔を近ずけてくる
ほぼ0距離だ
最初の数秒は目を見ていられたけれど、気恥ずかしくなり顔を少し横に向ける
目を逸らす俺を見て元貴は爆笑していた
その姿を見て元貴は本当に意地悪なんだと改めて実感する
「若井今日かっこいいね」
悪戯っぽく微笑んで元貴が言う
思わず目を逸らしそうになるが何とか耐える
「まぁね」
と少し余裕そうな表情を作り放つ
「うん。めっちゃ」
元貴は俺以上に余裕そうで、俺の目を瞬きもせず見つめてくる
その瞳を見て元貴には勝てないな、と思い元貴の肩に顔を埋め、背中に手を回す
俺の行動を元貴は可笑しそうに笑う
「若井可愛いね」
耳元で普段とは少し違う声色で元貴は囁く
その声に過剰に反応してしまう俺がダサく感じた。