テラーノベル
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休日。
国見家、リビング。
「今日、トランプ大会やるから!」
突然の妹の宣言。
国見英はソファに寝転がったまま、スマホから顔も上げない。
「……聞いてない」
「今言った!」
「拒否で」
「拒否権なしでーす!」
妹、にっこにこ。
母はすでにお菓子を並べ始め、父は「久しぶりだな~」なんて妙に乗り気。
どうやら。
逃げ場はない。
「ルール説明しまーす!」
妹、無駄にテンション高め。
「真剣衰弱対決!最下位は罰ゲーム!」
国見、嫌な顔。
「……絶対ろくでもない」
「安心して!」
「その言葉が一番信用ない」
父、笑いを堪えてる。
母、「英、諦めな~?」と完全に観戦モード。
「しかも!罰ゲームは私提案!」
その瞬間。
国見、確信する。
終わった。
人生が。
***
勝負開始。
父、異常に強い。
母、意外と記憶力ある。
妹、変なところで運がいい。
そして国見。
「……眠」
やる気ゼロ。
覚える気ゼロ。
半分寝ながらやってる。
「お兄ちゃん!ちゃんとして!」
「してる」
「してない顔なんだよなぁ」
結果。
一位:父。
二位:母。
三位:妹。
そして――
最下位。
「お兄ちゃんでーーーす!!!」
静寂。
「…………は?」
妹、大歓喜。
「よっしゃああ!!」
猛ダッシュで自室へ。
国見。
嫌な予感しかしない。
数分後。
妹が抱えて戻ってきたもの。
金髪ロングウィッグ。
ヒョウ柄トップス。
デカいアクセ。
ルーズソックス。
ギラギラのラメ。
国見、停止。
「……なにこれ」
妹、満面の笑み。
「平成ギャル♡」
「嫌」
「しかもなりきり必須!」
「嫌」
「キャラ崩したら延長!」
「最悪」
父、もう笑ってる。
母、写真撮る気満々。
「ほら着替えて~!」
「……逃げたい」
***
数十分後。
リビング。
現れたのは――
盛り髪。
濃いメイク。
ヒョウ柄。
ルーズソックス。
異様に似合ってしまっている顔面。
そして。
死んだ目。
妹、大爆笑。
「待ってwww似合いすぎwww」
母、腹抱えてる。
父、静かに動画回し始める。
国見、低温ボイス。
「まぢ、だるたんなんだけど~」
全員崩壊。
「声低っwwww」
「テンション終わってるwww」
「もっとギャルっぽく!!」
妹から指導。
国見、虚無。
「え~?それ盛れてなくなぁい?まぢ卍~」
棒読み。
死んだ目。
なのに地味にうまい。
「なんで完成度高いの!?!?」
結局その日。
家族写真。
謎のプリクラ風ポーズ。
妹の待ち受け。
すべて“平成ギャル国見”。
そして翌朝。
国見、起床。
鏡を見る。
――平成ギャル。
「……は?」
ウィッグ。
メイク。
服。
全部そのまま。
嫌な予感。
リビングへ行くと。
妹、満面の笑み。
「おっは~♡」
「……なんで」
「罰ゲーム、今日まで延長♡」
「は?」
「朝練もそのまま行ってね♡」
静寂。
「……嫌」
「キャラ崩したら三日延長」
「脅迫じゃん」
「がんばれ平成ギャル♡」
***
朝。
青葉城西。
校門前。
ざわっ。
ざわざわっ。
「あれ誰……?」
「え、ギャル……?」
「うわ、めっちゃ美人……」
「モデル?」
国見。
死んだ目。
虚無。
平成ギャル。
そして。
「…………だる」
一瞬。
通り過ぎた生徒、停止。
「…………え?」
「今の声」
「いや、まさか」
体育館前。
先に来ていた金田一。
「あ、おはよう国見――」
停止。
フリーズ。
二度見。
三度見。
「……………………え?」
国見。
死んだ目で通過。
「おはよ~♡まぢ眠たんなんだけどぉ~」
低音。
棒読み。
金田一、宇宙猫。
「…………く、国見?????」
続いて来た花巻。
「金田一おは――」
停止。
「……誰?」
松川。
「新入生か?」
及川。
「え、美少女いるじゃん!?及川さんナンパ――」
国見、振り向く。
「うぇ~い♡」
死んだ目。
及川。
三秒停止。
「……………………国見ちゃん???????」
岩泉、到着。
「朝からうるせぇ――」
視線。
停止。
沈黙。
そして。
「…………………………は???」
誰一人。
昨日のトランプ大会なんて知らない。
だからこそ。
全員、本気で意味が分からなかった。
体育館前。
沈黙。
風だけが吹く。
及川、停止。
花巻、停止。
松川、停止。
金田一、まだ混乱中。
岩泉だけが、ゆっくり口を開いた。
「…………国見?」
平成ギャル、国見。
死んだ目。
虚無。
そして。
低音。
「まぢ、朝からテンアゲじゃなぁい?♡」
棒読み。
全員。
「「「「「怖っ!!!」」」」」
「え、待って、何!?ドッキリ!?!?」
及川、一歩下がる。
「国見ちゃん!?え!?どしたの!?家出!?洗脳!?!?」
「違います」
「じゃあ何!?」
「罰ゲーム」
即答。
だが。
もちろん意味が分からない。
「何の罰ゲーム!?」
「…………」
国見。
三秒沈黙。
言いたくない。
人生で一番言いたくない。
でも。
妹ルール。
“キャラ崩したら延長”。
つまり。
説明もギャル。
国見、死んだ目。
「え~?♡プラベのこと聞くとかぁ、ちょー無理なんだけどぉ~♡」
低音。
棒読み。
虚無。
花巻、しゃがみ込む。
「無理www腹痛ぇwww」
松川、壁に寄りかかる。
「朝から破壊力高すぎだろ……」
及川、肩震えてる。
「待って国見ちゃん、その見た目でいつものテンションなの反則www」
金田一だけ、本気で心配。
「く、国見……嫌なら着替えてこいよ!?」
国見。
少しだけ金田一を見る。
そして。
「やさぴ~♡」
低音。
金田一、爆散。
「うわぁぁぁ!?!?」
「お前なんでダメージ受けてんだよ!」
岩泉がツッコむ。
その時。
体育館の扉。
がらっ。
「あれ~?もう集まって……」
入ってきたのは顧問。
そして。
停止。
顧問、二度見。
三度見。
「……………………誰?」
全員、国見を見る。
国見。
死んだ目。
「国見英でぇ~す♡」
低音。
沈黙。
顧問。
「……熱あるか?」
「正常です」
「正常じゃねぇよ」
秒速ツッコミ。
***
そして朝練。
地獄、開幕。
「ランニング始めろー!」
全員走り始める。
だが。
前を走るのは。
ルーズソックス。
盛り髪。
ヒョウ柄。
異様に足が速い平成ギャル。
女子バレー部。
ざわっ。
「え、誰あれ」
「ギャル!?」
「え、綺麗!」
「……男子の列走ってない?」
そして。
国見、無表情で走りながら。
「まぢしんどたん~♡」
低音。
後ろ。
及川、腹筋崩壊。
「無理www走れないwww」
岩泉。
「笑うな!!ペース乱れてんだろ!!」
でも。
本人は至って真面目。
普通に練習。
普通にレシーブ。
普通にトス。
普通にスパイク。
なのに。
見た目だけ平成ギャル。
しかも。
めちゃくちゃ上手い。
一年女子、ひそひそ。
「え、あの人強……」
「でも誰?」
「先輩……?」
花巻、小声。
「説明めんどいなこれ」
松川。
「夢ってことにしない?」
及川。
「国見ちゃん盛れてるよ♡」
国見。
ぴたり。
止まる。
ゆっくり振り向く。
死んだ目。
「……きもたん♡」
低音。
一瞬、静寂。
そして。
体育館、大爆笑。
及川。
「岩ちゃぁぁぁぁん!!国見ちゃん冷たいぃぃぃ!!」
岩泉。
「当たり前だろ」
その時。
国見のスマホ。
ぶるる。
妹からLINE。
『キャラ崩してない?♡
動画送って♡』
国見。
無言。
スマホ閉じる。
そして。
人生を諦めた顔で一言。
「……まぢ、だりぃ」
朝練終了後。
更衣室。
「……で、国見ちゃん。そろそろ説明して?」
及川、にやにや。
花巻、まだ笑ってる。
松川、スマホいじりながら肩震えてる。
金田一だけ、未だに困惑。
「ほんとに大丈夫か……?」
国見。
死んだ目。
制服へ着替え――
られない。
なぜなら。
妹ルール。
**“学校終わるまで完全なりきり”**
しかも。
キャラ崩したら延長。
つまり。
制服 × 平成ギャル。
地獄。
ルーズソックス。
盛りヘア。
濃いめメイク。
デカいアクセ。
そして。
虚無顔。
「……人生終わった」
「いや始まってるwww」
及川爆笑。
***
教室。
がらっ。
国見、入室。
ざわっ。
空気、停止。
「…………え?」
「国見?」
「うそ」
「誰???」
「え、美人」
「待って、声出して?」
国見。
自席へ。
無言。
死んだ目。
女子、そわそわ。
男子、ざわざわ。
その時。
隣の席のやつが恐る恐る。
「……国見?」
国見。
低音。
「おはよた~ん♡」
棒読み。
教室。
静寂。
そして。
大爆発。
「wwwwwwwww」
「国見!?!?!?!?」
「待って無理www」
「なんで平成ギャルwww」
国見。
机につっぷす。
「まぢ朝から質問多すぎぃ~♡」
低音。
棒読み。
虚無。
女子、腹抱えてる。
男子、涙出るほど笑ってる。
でも。
一部女子。
ひそひそ。
「……てか普通に似合ってない?」
「顔面強すぎる」
「盛れてる」
「脚長……」
国見。
聞こえてる。
でも。
無反応。
ただ。
死んだ目。
***
一時間目。
数学。
教師、入室。
「はい席――」
停止。
視線。
国見。
三秒沈黙。
教師、メガネ外す。
かけ直す。
「…………誰?」
クラス崩壊。
「国見ですwww」
「先生、国見ですwww」
教師。
「…………国見?」
国見。
低音。
「うぇ~い♡」
棒読み。
教師。
静止。
「……帰るか?」
「行きたくな~い♡」
「授業だ」
「だるたん♡」
「英」
急に本名。
先生モード。
「何があった」
クラス静かになる。
国見。
一瞬だけ沈黙。
……言いたくない。
絶対言いたくない。
家族トランプ大会。
最下位。
妹提案。
平成ギャル。
人生終了。
言えるわけない。
だから。
「秘密ぅ~♡」
低音。
先生、頭抱える。
「……面倒くせぇ」
***
授業中。
問題を解く時間。
先生。
「国見。これ解け」
クラス。
ざわ。
“その格好で前出るの?”
国見。
ゆっくり立つ。
ルーズソックス。
じゃらじゃらアクセ。
ヒョウ柄。
そして。
普通に歩いて。
普通に解く。
カリカリ。
数十秒。
完璧。
教室。
「え」
「普通に頭いい……」
「ギャルなのに……」
国見。
チョーク置く。
低音。
「余裕たん♡」
棒読み。
後ろ。
及川クラスから聞きつけて覗きに来てる。
窓の外。
「国見ちゃん何してんのwww」
教師。
「及川帰れ」
「はーい!」
***
二時間目。
静かな授業。
みんな慣れ始める。
……はずだった。
突然。
国見スマホ。
ぶるる。
妹LINE。
『動画送って♡』
『ギャル感足りなくない?♡』
『昼休みプリ撮って♡』
国見。
静かにスマホ伏せる。
そして。
人生で一番低い声。
「……あいつ、後で覚えてろ」
教室。
静寂。
全員。
(あ、妹強いんだ……)
昼休み。
国見英。
現在。
平成ギャル。
継続中。
そして。
教室の空気。
未だにざわざわ。
「ねぇ国見、写真撮っていい?」
「盛れてる角度こっちじゃない?w」
「普通に似合うの腹立つ」
国見。
死んだ目。
パンを咥えながら。
「まぢ、だるたんなんだけどぉ~♡」
低音。
棒読み。
なのに。
地味に完成度高い。
女子、爆笑。
男子、腹筋崩壊。
そんな中。
教室の扉が、がらっと開く。
「く、国見!」
現れたのは――
金田一。
瞬間。
教室、にやつく。
「あ、彼氏来た」
「付き合ってないらしいよ~?」
「でも距離近くね?」
国見。
死んだ目で振り向く。
そして。
低音。
「金田一だぁ~♡」
教室。
ざわ。
(え!?)
金田一、停止。
顔、真っ赤。
「えっ、え!?!?」
国見、近づく。
妹ルール。
**“キャラ崩したら延長”**
つまり。
平成ギャル続行。
「どしたん~?♡ 会いにきたぁ?♡」
低音。
棒読み。
虚無顔。
なのに。
距離、近い。
金田一、固まる。
「ち、違っ……!昼……一緒に……!」
国見。
じー。
数秒見つめる。
教室。
(うわ近い)
(え、空気甘)
(付き合ってないんだよね??)
国見。
ぼそっと。
「……昼?」
「あ、ああ!食堂行くかと思って!」
国見。
一瞬、考える。
でも。
ギャル。
やらなきゃ。
死ぬほど嫌だけど。
「え~♡じゃあ行こぉ~?♡」
低音。
棒読み。
そして。
自然に。
金田一の制服の袖、ちょん。
「はぐれたら困るしぃ~?♡」
教室。
静止。
金田一。
完全停止。
真っ赤。
「…………え」
国見。
死んだ目。
本音。
(早く歩け)
でも口は。
「いこぉ~♡」
低音。
教室。
大爆発。
「えええええ!?」
「何あれ!?!?」
「付き合ってないの!?」
「金田一顔真っ赤www」
***
廊下。
金田一、歩き方おかしい。
「く、国見……その……」
「ん~?♡」
低音。
「……近い」
国見。
ぴたり。
少しだけ見上げる。
「やだぁ~♡照れてんのぉ?♡」
低音。
棒読み。
虚無。
なのに。
距離近い。
金田一。
顔面爆発。
「て、照れてねぇよ!!」
国見。
じー。
そして。
小さく。
「……ふーん」
一瞬だけ。
ちょっと笑った。
ほんの少し。
金田一、停止。
(え)
(今笑った?)
(かわ……)
「……金田一?」
「っ!!?」
「顔、赤たん♡」
低音。
金田一、終わる。
***
食堂。
席につく。
国見、普通に昼を食べ始める。
見た目。
完全ギャル。
中身。
通常運転。
そのギャップがえぐい。
金田一、ちらちら見る。
国見。
「なに」
「あ、いや……」
「……変?」
金田一、慌てる。
「ち、違う!似合ってる!」
静止。
国見。
停止。
数秒。
「…………」
金田一。
(終わった)
(変なこと言った)
でも。
国見。
少しだけ目逸らして。
低音。
「まぢ?♡」
棒読み。
だけど。
耳。
ほんの少しだけ赤い。
金田一、フリーズ。
(え)
(かわい)
(今の反則じゃね?)
そこへ。
背後から。
「うわ青春~~~~~」
及川登場。
「付き合ってないくせに何その空気!?」
花巻。
「もう結婚しろよ」
松川。
「平成ギャル彼女おもろすぎ」
国見。
死んだ目。
「きもたん♡」
低音。
及川。
「国見ちゃん冷たぁい!!」
でも。
テーブルの下。
誰にも見えないところで。
国見。
眠そうに。
金田一の袖、ちょっと掴んだまま。
離してなかった。
コメント
13件
マジ!?私も頑張んなきゃ、、、!!
いいね923にしようとしたけど、辛すぎて500で終りましたー(笑)
死んだ目と低温ギャルおもろいwww 3年生好き♡