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「……あなたには、関わるなって……」
シュウから言われたことを、苦い思いで告げると、
「あいつ……どこまで、俺を追いつめたら……」
カイが、「くっ…」と、辛そうに呻くような声を漏らした。
「ねぇ…カイ、メンバーからは、どんな扱いを受けてるの?」
さっきのシュウの言動が頭から離れず、彼にせめて真相を打ち明けてほしいと願った。
「扱いも何もない……」
カイが低く言う。
「……ただ、元からいないメンバーとして、無視さてれるだけだ……」
「そんな……」と、思わず言葉に詰まる。
「……。……シュウは、俺を許せないんだ……。……俺の代わりに、自分がヴォーカルを降りることになって、プライドを傷つけられたと思ってる……」
カイが、胸の内を途切れ途切れに吐き出す。
「……でも、メンバーに引き入れたのは、シュウなんでしょう?」
「そうだ……だが、俺を受け入れてしまったら、あいつは、自分の居場所がなくなると思ってる……。……だから、いないメンバーとして、俺を無視するんだ……」
カイが話して、ふー……っと長く息を吐き出した。
「最初から、ずっとそうだ……」
カイが高架を支える石の柱にゆらりともたれかかり、タバコを唇にくわえた。
「俺は、いつも、ひとりなんだ……」
しゃべるカイに合わせるように、タバコが唇の端で上下にわずかに揺れる。
「カイ……」
呼びかけてそばに寄ろうとするも、
「もう俺には、近づかない方がいい……。あいつに、目を付けられたんなら……言われたように、もう関わるな」
彼は気だるげに煙を吹いて、私から目をスッと逸らした……。