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何やら、急上昇ランキングに前作、二作とも入ってて…嬉しすぎて死ぬ…。
見たら、ものすごい♥の数で…。
皆様、神様ですか?頑張って書きます!
本作に関係ない話してすいません。
予想通り、涼ちゃんはスタジオに入ってからも切り替えられていなかった。
今日は何人か新しいスタッフさんがいて、気づく人は少なかったけど、俺や元貴にはすぐに分かる。
若井「涼ちゃん、ちょっと休む?」
若井「涼ちゃん、水飲む?」
若井「涼ちゃん…」
何してもダメ。周りとの会話はちゃんと笑って、合わせる時はキーボードに向かってるけど、音に張りはないし、焦ってるし、小さな音飛ばしが何度もある。
大森「ちょっと、止まって。」
元貴が何度目かのストップを掛ける。
大森「涼ちゃん…、切り替えてって。全然、音入ってこないよ?」
藤澤「…ごめんっ。」
大森「謝るんじゃなくて、音出して。」
元貴、厳しいぜ。でも、…その通りだな。
スタッフ「…?何かあったんですか?」
今日、初めて入ってくれたスタッフの一人が元貴に尋ねた。
生放送だったから、濁したり隠したりしても無駄だから、
大森「今日、涼ちゃんは寝坊して、朝の収録サボっちゃったんだよ〜。」
若井「で、落ち込んでんのね〜。」
藤澤「ああっ!バラさないでぇぇ!」
普段の感じで返してきたけど、元貴のイジリは流せてなさそうだ。膝に置かれた手が足に食い込んでいる。
スタッフ「ヤバいじゃないですか!あ〜でも、藤澤さんっぽい?って感じですね〜。」
ん…何か…。
大森「ん?でも、涼ちゃん、寝坊は初めてだよ。何か悩んでるのかね〜。」
貴方の作った曲に悩まされてんですよ。
スタッフ「藤澤さんは悩みとか無いでしょ!」
そのスタッフは笑いながら言う。
藤澤「そんな事ないよぉ。悩み多き年頃よ…。」
えっ!?何だよこいつ。失礼すぎないか?
俺が、元貴から見れば明らかにキレ気味になっているのがバレて、そのスタッフから離される。
大森「若井、涼ちゃんと合わせてて。」
涼ちゃんの側に行くと、笑顔が張り付いてる。
俺達は、音を鳴らす時は「しっかり切り替えること」を約束していた。全身で曲に向き合ってないと、ただの音階の羅列になる。元貴のその信念に寄り添い、曲を作り上げてきた。
上手くできなくて落ち込んでも、曲に向き合って音を出す。ずっとそうやってきたけど、涼ちゃんは今、それができてないからかなり重症なんだろう。
若井「涼ちゃん、キーボードパート難ぃよね。俺、ちょっと流して弾くから、合わせて。」
藤澤「…ん…、ここ、指引っ掛かっちゃうんだ…。」
俺が側に来て気が抜けたのか、笑顔が消えた。
若井「ゆっくりやるよ。」
暫く合わせて思った。本当に難しい。や、俺のギターも簡単なわけじゃないけどね…。
音を膨らませる所と絞る所の乱高下、高音のトリルを連続でこなしながらの、低音のメロディーライン…。
元貴、ドS過ぎる。
何度か流して、合わせられるようになってきたかな?と思ったのは俺だけではなかったみたいで、
大森「んー。一回皆んなで弾こっか〜。」
と、元貴が集合をかけた。
ちょっと短いですが、二話目終わりで〜す。