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「あっ…と、酒飲む前に、一応年齢教えてもらえるか?」
グラスを持つ手を銀河に止められて、「大学の2年で、もう20歳になってるから」と、答えて返した。
「オーケー! じゃあ改めて、理沙に乾杯しようぜ?」
銀河がバーボンの水割りをステアしたグラスを掲げると、4人それぞれが思い思いに作ったものを、「乾杯──!」と、私のグラスにつき合わせた。
カクテルを一口飲むと、レモネードのような爽やかな口あたりでゴクゴクといけてしまいそうだった。
「……だけど、いつもこんな感じなの?」
ひと息をついてフロアを見回してみるも、私たちの座る中央の大きなソファーの他には、テーブル席などは一つもなく、私以外のお客さんの姿も全くなかった。
「うちは、お一人様の貸し切りが、当たり前なんだよ」
ストレートのバーボンを手にした流星が話す。
「つまり、貸し切りのみでしか、やってないっていうことだ。何しろ、俺たちがじきじきに選んだお客だからな。やっぱ丁重にお招きをしないとって感じで」
銀河が喋りながら、飲み干したグラスに氷を放り込む。
「だって、僕たちみたいなイケメン4人に囲まれたら、夢見心地にもなるでしょ? 僕ら4人の王子様が、招待したお客さんをお姫様気分にさせてあげる夢の空間を届けるのが、ここ、超イケメンホストクラブだからね」
バーボンのソーダ割りを手にした天馬が、相変わらずちょっと皮肉混じりに喋る。
「ねぇ理沙って、大学生なんでしょう? 学科はどこなの?」
天馬に尋ねられて、「英文科だよ」と、答えた。
「へぇー、英文科なら、英語とかペラペラなのか?」
流星が茶化すように口にする。
「別に、英文科だから、英語はペラペラってわけでもないから」
「ハハ、そうだよなァ〜」
面白そうに笑って言う流星に、少しだけイラっとしていると、
「こいつの言うことは、聞かなくていいからな」
銀河がなだめるようにふっと微笑んで、私の頭の上にぽんと手を乗せた。
その不意な温もりに、(……そんな急に優しくしないでよ)と、つい胸がドキドキと高鳴るのを感じていると、アイスボックスに氷を足して戻ってきた三日月が察したらしく、
「良い雰囲気なようですね」
と、口元をほころばせてにっこりと笑った。