テラーノベル
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休日の午後、寮のリビングは静かだった。
スンミンはソファで本を読みながら、となりのアイエンにまったく目を向けない。
🦊「……ねえ、スンミナ」
🐶「ん?」
🦊「何読んでんの?」
🐶「推理小説。途中で話しかけられると集中できないんだけど」
🦊「でも俺のほうが気になんない?」
🐶「なにそれ。意味わかんない」
((ページをめくる音だけがしばらく続く))
🦊「……ねぇ」
((アイエンがソファで少し体を近づける))
🐶「……近い。読むスペースがないんだけど」
🦊「スンミナが俺を見てくれないからでしょ?」
🐶「見ないって決めたわけじゃないけど」
🦊「俺が話してるのに、目も合わせてくれない。ずっと本ばっか」
🐶「だからって邪魔するのやめなよ。ページ進まないでしょ」
🦊「……じゃあ、本閉じたら、俺の勝ち?」
((アイエンがスンミンの本の端にそっと指をかける))
🐶「ちょっ……ちょっと……イエナ?」
🦊「スンミナが俺のほう見るまで、もう動かない」
🐶「……子どもか」
((仕方なくスンミンが本を閉じて、アイエンの目をまっすぐ見る))
🐶「……はい、見た。これで満足?」
🦊「うん。でも、もっと見て」
🐶「……は?」
🦊「目だけじゃなくて、ちゃんと。俺に、スンミナの時間くれない?」
((じっと見つめてくるアイエンの瞳は真剣で、スンミンは一瞬だけ言葉を失う))
🐶「……仕方ないな。じゃあ、ちょっとだけ」
🦊「ほんとに“ちょっと”でいいの?」
🐶「……今日だけは、長めに見てやってもいい」
((スンミンが、アイエンの頭にそっと寄りかかる))
🦊「……え、ちょっと……スンミナ?」
🐶「動かないんでしょ。俺も、動かないって決めた」
🦊「…………かわいすぎるんだけど」
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